- 2023-7-8
- 勉強の集中力をアップさせるテクニック, 受験を突破する記憶術
こんにちは、中西です。
電子書籍が普及してからずっと議論になっているテーマの1つに
【 「紙の本」と「電子書籍」は、結局どっちが効率いいのか? 】
という議論があります。
私が運営している第二領域コーチングでも、メンバーさんは受験生や受験生でない方も含め、紙の本を習慣的に読んでいる人と電子書籍を読んでいる人に分かれています。
私自身は、もう紙の本をほとんど買わなくなって(主に置き場所の問題で)、本屋さんにも行かなくなったので、なんとなく
「もう紙の本はあまり読まれてないのかな?」
と勝手に思っていたのですが、意外と紙の本を読んでいる方はまだ多い印象です。(全体の売り上げは下がっていますが)
で、この「紙の本」vs「電子書籍」のバトルに、1つの結論を出した論文が発表されました。
以前からこれを調べた研究等は複数ありますが、最近の昭和大学の研究で、
【 「紙の本」と「スマホの読書」なら、「紙の本」の方が内容を記憶できて、読解力が高まる 】
ということが分かりました。
この論文は国際科学雑誌「Scientific Reports」に発表されています。
余談ですが、今回の論文は人気があったらしく、この国際科学雑誌の年間ダウンロード数で、全分野の2万以上の論文の中で7位だったそうです。
研究者がダウンロードしただけでなく、一般的にも興味のある人が多いテーマなのと、一部のメディアも取り上げられたことで、多くの一般人もダウンロードしたもよう。
▼本間元康講師らの論文が国際科学雑誌「Scientific Reports」の年間ダウンロード数TOP100にランクイン | 昭和大学
https://www.showa-u.ac.jp/news/nid00005142.html
※紙の本、内容記憶しやすく読解力高まる…スマホと比較 : 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220227-OYT1T50003/
ざっくりどんな研究だったかといいますと、作家の村上春樹さんの小説を学生に読んでもらい、その後に小説の内容に関する記憶や読解力のテストを行ったところ、
「紙の本を読んだ学生の方が点数が高かった」
という結果が出ました。
この実験の読書中、脳の前頭葉の動きも計測されていたのですが、スマホ読書の方が活発に動いていたそうです。
前頭葉が活発なら、そっちのほうがいいんじゃないか?と思ってしまいそうですが、この研究を主導した昭和大の本間元康氏(認知科学)によると、
「スマホで読書することで、脳が過剰に働き、注意力が散漫になっていた可能性がある」
とのこと。なんだかわかります笑
さらに、もう一つポイントがありまして、読書中に「深く呼吸した回数」は、紙の本がスマホ読書の2倍近くになっていました。本間氏によると、
「紙の本はリラックスして読書できる可能性がある」
とのことで、そのリラックスした感覚で読書できることが、深い呼吸につながり、記憶力・読解力アップに貢献したことが示唆されるようです。
この結果について東京大の酒井邦嘉氏(言語脳科学)は、
「媒体の違いで脳活動や呼吸に差が出ることを見つけた興味深い研究だ。紙媒体の方が集中して読めると考えられるが、様々な解釈ができるので詳しい研究が必要だ」
とのこと。
紙の本とスマホの電子書籍という「媒体の違い」によって、
「脳活動と呼吸に差が出て、それが読解力に影響する」
ことを発見したことは、確かにとても興味深いと思います。
個人的な意見としては、この内容は、あくまで記憶や読解力についての比較なので、確かに紙の本は、その点でメリットがある可能性が高そうですが、
一方で、スマホ読書や電子書籍による勉強は、紙の本では、到底できないような効率的な機能が山ほどありますので、その点も含めて、
どっちが効率的か(どっちが自分にとって合うのか)
を「総合的」に考えて判断したほうがいいと思いますね。
余談2ですが、私も久しぶりに自分の電子書籍の数を確認してみたら、1000数百冊入っていたのですが、これが全部紙の本だったらと思うとゾッとします(-。-;
家の中が紙の本だらけになって、その本だらけのストレスで集中力が低下してしまってもおかしくないです。いやほんとに(・・;)
余談の余談ですが、最近中学生になった姪っ子は
「電子書籍より、紙の本の匂いとページをめくる感触がワクワクする。大人になったら、いっぱい本を買いたい」
と言っていました。
感覚的なものですが、こういう子にあまり電子書籍を読ませるよりも、紙の本をたくさん読ませたくなりますね。
なんとなくその方が将来的にも伸びそうな気がします。これまでは直感的なものでしたが、研究でも徐々にそれが判明してきたわけですね。
それではまた。