- 2013-11-5
- おすすめ記事, 元アメブロ記事(13年2月~14年5月、修正中)
こんにちは!早稲田集中力研究会の中西です。
当会で運営しているOCP(受験勉強オンラインコーチング・プログラム)のほうで、私は受験生のコーチングと勉強状況のチェックを毎日行っています。
ご存じない方のために説明しますと、OCPとは自学自習における計画の達成率を最大化するプログラムで、専任のコーチが直接指導を行うプレミアムコースと、独自システムを利用してコーチングを行うスタンダードコースがあります。
先日、プレミアムコースのある大学受験生の女の子が、報告の中でかなりの長時間寝過ごしてしまったというコメントを書いていて、報告の最後にすごく気になる一言を書いていたのです。
その一言とは、「私は弱い人間なのかも」という言葉です。
さて、ここで問題です。
あなたがもしコーチの立場だとして、この受験生の女の子にどのようなアドバイスをするのが適切だと思いますか?次の中から適切だと思うものを選びなさい(複数選択可)
1、受験生にとって時間ほど貴重なものは無いですよ。もっとちゃんと早起きしましょうね。
2、そんなに長時間寝過ごすのは、志望校への思い入れが弱いからでは?本当に心からその大学に行きたいと思ってますか?それが一番重要ですよ。
3、どうやったらそんなに長時間寝れるんですか。この時期の受験生としてちょっとおかしいですよ。気合いが足りないです。もっと気合いを入れ直してください。気合・気合・気合じゃけん!
4、昨夜は早く寝ましたか?早寝しないと当然朝早く起きられないものです。一度生活習慣をチェックしてみてください。
さて、どれが適切でしょうか?
まず前提として、どの選択肢も絶対に間違いだとまでは言い切れないと私は思っています。上の4つはケースバイケースで、状況や相手によっては正解にもなりえる可能性はあります。
また、このブログを1ヶ月以上読み続けてくれている方なら、たぶん4を選んだのではないでしょうか。
実は、非常に意地悪な質問で申し訳ないのですが、この4つの中に私が行ったアドバイスはありません。
この受験生の「私は弱い人間なのかも」という書き込みをみたときに、私は上の4つのアドバイスだけでは改善できない、もっと深い部分に問題があるように感じたからです。
私が彼女に言ったのは、「自分の弱さに原因を求めない方がいいです」というものでした。
つまり、自分自身の「精神的な弱さ」が、うまく行っていない原因だと考えてしまう思考回路そのものが問題かもしれませんね、という指摘をさせて頂いたのです。
彼女の「私は弱い人間なのかも」という発言は、そのときの事象(今回なら長時間寝過ごしたこと)に対して、その原因を考えている間にたまたま出てきたワードではない可能性が高いのです。
もっと深いところで、ベースとして彼女が持っている物の考え方のほうにちょっとした問題があり、
その根本を改善しないことには、また次に同様の問題が起こったときに、同様の考え方をしてしまう可能性が高いなと。
「私は弱い人間なのかも」という言葉を見たときに、その発想が出てしまう思考のOS(=考え方の基本回路)がそもそも問題だと強く感じました。
ちなみに、私自身はそれがいいか悪いかはさておき、脳ミソのなかにこのような思考回路が全くございません。あるいはただアホなだけかもしれませんがヾ(´▽`)ノ、結果的にそれが幸いした部分があります。
何か失敗したときに「自分は弱い人間なのかも」と考える思考回路が、今の私にはほぼ全く無いわけでございます。
昔からそういう思考回路が無かったわけではなく、たしかに昔(10代くらいの頃)は考えたことがありますが、その後いろいろと経験し、研究をしてきた結果、
なにか失敗をしたときに、その原因が「自分の弱さ」などの精神的な問題だと考えるよりも、
肉体的・環境的・外的な要因を改善することで、そのほとんどすべてが改善して行ったからです。
経験的に「自分の弱さ」に原因を求めても、何も改善しないばかりか、その方向で悩み続けることで心の病にすらなりかねないことも分かってきました。
これは私だけの話ではなく、仕事や勉強を要領よく効率的に、高い生産性で行っている人の大半は、何か失敗したときに「自分の弱さ」などに原因を追求することがほとんど無いこともわかりました。
「この失敗は、何が原因なのか?」と考えるときに、外的な要因をいろいろと考えることがあっても、「自分の内的(精神的な)甘さ・弱さが原因に違いない。この自分の甘さをもっと改善しなきゃ」などと考える優秀な人は、私の知る限りほとんどいないのです。
もちろん人間ですから、まったくそういうことを考えないわけではないでしょう。しかし、失敗の原因を探ったり対策を練るときに、そこ(自分の精神的な弱さ)に意識を向けないということです。
また、勉強や仕事をうまくやる人は、かりに失敗が内的な問題だったと考える場合も、その原因を追求していく課程で「外的に」考え、「外的に」対処法を考えて行きます。
たとえば、「まだそこまで勉強に本気になれない」という内的な問題があるとき、「本気になれない自分の弱さ」を追求して「オレは甘い奴だ。もっと自分に厳しく!」などと内的に批判・追求するのではなく、
「まだ大学のことを詳しく調べてないし、合格後のキャンパスライフがどんなものかも知らないし、志望校見学にも行ってないな」
というように考え、そこから大学生活のことを調べたり、実際に志望校へ見学に行くといった形で対処する。
たとえば、勉強のやる気が出ないときに、「なんでこんな大事な時期にオレは真剣になれないんだ!」などと内的な箇所を批判するのではなく、
「そういえば昨日寝たのは1時だったな。てことは、5時間半しか寝てないわけだから、それが原因でやる気が落ちてるかも」と肉体的に考えたり、
「よく考えたらこの3日間はずっと家にこもって勉強してるな。気分を変えるために、久々に図書館にでも行ってみよう」と環境的な部分で原因・対策を考えたりと
「外的な作業」によって「内的な問題」を改善しようとしていきます。
ところが、思考が行き詰まってニッチもサッチも行かなくなる人は、こういう場合につい「この失敗はきっと自分の精神的な弱さが悪い。」というような方向で、内的に原因追求をしていく傾向が強いのです。
私の知る限り、精神的に行き詰まる人の思考パターンの多くは、このパターンです。
だから、上の彼女が「私は弱い人間なのかも」とチラっと書いていたコメントをみたときに、瞬間的に「あっ、これはちょっと危険だ」と感じたのです。これは「外的に考える人」には、ありえない言葉ですから。
で、「自分の弱さに原因を求めない方がいいです」とアドバイスした次第。
彼女のコメントを例にしましたが、この「自分は弱い人間なのかも」という考え方が頭をよぎるとしたら、これは根本的な思考のOSの問題だと私は思います。
この根本的な部分で考え方が間違っていると、どんどん行き詰まる方向に行きます。
でもその解決方法は難しくなく、これは「知識」さえあれば解決するのです。すなわち
【「自分の内面の弱さ」に原因を考えるより、「外的な部分」に原因を求めて、そちらを改善したほうが圧倒的にうまく行く確率が高い】
という「知識」です。
数年前から多くの教育機関で圧倒的な成果を出している行動科学でも、自分の内面的・精神的な弱さに原因を求めるプロセスはありません。すべて外的(肉体的・環境的など)要因が問題と考えて、その要因を改善していくアプローチです。
ある程度年齢を重ねていくと、経験的にそれが分かってくることも多いのですが、10代頃ですとそんな知識も経験も少ないですし、年齢を重ねてもそういう経験が少ないとかあまり深く考えたことがない場合は同じであり、
とくに真面目な性格の人ほど「自分の弱さ」をなんとか改善しようと、そっち方向で追求してしまいがちです。
が、この思考回路はいずれ行き詰まる危険をはらんでいる上、たいした根本的改善も得られない「ハイリスク・ローリターン」の考え方でもあるのです。
というわけで、今回の話は受験テクニックのような話ではないのですが、実はそれ以上に大切な、失敗に対処するときの根本的な考え方についてのお話でした。ご参考になれば。
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