こんにちは!早稲田集中力研究会の中西です。
この時期になると、高校生・大学受験生であれば、塾や予備校選びをされている方も少なくないかと思いますが、
私の経験上、予備校の授業というのは、よほど注意しておかないと
今後の一年間(もしくはそれ以上)をものすごくムダに使ってしまいかねないシステムになっていることが少なくないです。
とくに私が浪人したときに、予備校がどのような授業形態をしていたかといいますと、予備校の先生が制作した超うすいテキストが、全科目にわたって配布されるのですが、
たとえば国立大学を受験する場合ですと、全教科全科目にわたって20冊くらいのテキストが配布されます(しかもそれで一学期分)。
一つの「科目」だけでも複数のテキストが配布され、それぞれ別の講師から習うことになっていました。
たとえば、古文という一科目だけでも、3~4人の先生から習ったりします。現代文の先生も数人いました。漢文の先生も2人いました。他の科目も同様で、
とくに浪人生向けの予備校の授業というのは、合計すると毎日朝から夕方まで、ものすごい数の授業があり、ものすごい数の講師から授業を受けるシステムでした。
かなり高額の授業料を払っているので、いっけんすると、
「たくさんの先生から、たくさんの授業が受けられてお得やねヾ(´▽`)ノ」
などと思ってしまいそうになるのですが、あとになって私はこの形式のあまりの効率の悪さに、愕然とすることになります。
なぜこの科目ごとにテキストや授業がやたらたくさんある形式が、効率が悪いかといいますと、
1、テキストがたくさんあると、復習効率が極端に下がる
2、勉強計画を予備校のカリキュラムに合わせないといけなくなる
というデメリットがあるからです。これが受験勉強においては致命的なことになりかねません。
1というのは、ようするに予備校のテキストは上でお話したように、一学期(前期)と二学期(後期)で分かれることが多いですし、
さらに、春期講習、夏期講習、冬期講習までついてきて、そこでもお金を払って、またふたたび別のテキストが複数配布されます。
センター試験も受ける国公立大学受験生の場合、一年間で配布されるテキストはものすごい数になるのです。
人間の脳というのは、複数のことを同時にしようとすると注意が散漫になり、生産性が低下します。
もちろん、予備校の授業の場合は「同じ瞬間」に複数のテキストを開いて勉強はしませんが、
一つの科目に3つも4つもテキストがあると、それらすべてにおいて進捗具合やどこまで記憶しているか等の注意を向けないといけないので、
結果、かえってどれも中途半端にしか身につかない(;д;) ということが起こりがちなのです。
テキストが一冊にまとまっているか、バラバラになっているかというのは、それほど復習効率に大きく影響すると私は考えています。
脳というのはとてもよく出来ているように思えますが、案外頼りない部分も多く
「これ一冊を完璧に仕上げればいいんだな!」
とシンプルに思えればやる気も高まりますが、
「このテキストと、あのテキストと、こっちのテキストをこれから完璧に仕上げないといけないわけか。
といっても先生の教え方もバラバラだし、宿題がいっぱいある先生とちょっとだけある先生と、全く無い先生もいて、それぞれ進み具合もバラバラで・・・」
といった一つのことがバラバラした状態で進行すると、各テキストに向かう注意力や思考が分散して、やる気が低下してしまうのです。
浪人時代の私は、無数にあるテキストを前にして「こんなにいっぱい、どうすれば頭にまとまるんだ!?」と途方にくれたものですが、
結局それは、私自身の要領の悪さの問題だったのではなく、その予備校のサービスの根本的な部分が、
勉強の生産性の観点から考えて、本質的に大きくズレていたと、今では結論づけています。
2の「勉強計画を予備校のカリキュラムに合わせないといけなくなる」というのは、もうそのままなのですが、
予備校の授業というのは、一つの科目を一年かけて、クラスのみんなで先生から学んで進めていきます。
しかし、受験勉強というのはテキスト(参考書や問題集)を「徹底的に繰り返す」ことが勝敗を決めるわけで、
一年かけてようやく一周しているようでは、とても間に合わないのです。
一人で勉強すれば、さっさと一周目を終わらせて、二周目、三周目とどんどん進めていくこともできるのですが、
予備校のテキストの場合は、授業の進捗に合わせないといけませんから、授業をとばして独学で進めていくようなことをしない限りは、
「どんどん進めて、何周もしていく」という、合格のために必須ともいえる勉強法をとることが、非常にやりづらいのです。
そもそも受験生というのは、当然ながら、一人一人進み具合も理解度合いも違うわけです。
それを何十人、何百人がみんな一斉に学ぼうとするところに無理があります。
クラスをレベル別に分けていたとしても、一人一人の科目別の理解レベルや進み具合は、千差万別であり、
全教科全科目において、理解レベルや進み具合が完璧に全員が一致することはありえないです。
それでも一斉授業をするのは、一人の先生に何十人、何百人の授業をまとめてさせたほうが、コストの問題で効率がいいからです。
本来一人一人の理解度・進捗度に合わせて、それを理解した先生一人一人ついて教えるのがいいわけですが、
そんなことをしていたら、生徒が何百人もしていた場合、人件費や管理コストがべらぼうに上がります。
よって、とくに高度成長時代のようなやたら受験生が多い時代には、一人の先生がみんなに一斉に教える「一斉授業」の形式が、
あくまで経営の観点からみればですが、コスト的に圧倒的に効率がよかったわけです。
でも厳密にいえば、上記の通り、それでは受験生にとっては大変非効率なのです。
よって、近年は個別指導系の塾が台頭してきているわけですが、一斉授業の非効率な部分を考えれば、
個別指導・家庭教師、ネットの授業配信などは、「一人一人の進み具合、理解度合いにフォーカスした授業ができない」という一斉授業のマイナス面を補っているという意味では、とてもいいと思います。
話が少しそれたので戻しますが、ようするに、予備校における上記2つの要素(「テキストが多い」「勉強計画をカリキュラムに合わせないといけない」)というのは、つまるところ
「徹底して一冊のテキスト(参考書・問題集)を何度も復習する」という、受験勉強の必勝パターンを非常に実践しづらい
というのが、大きな問題ではないかと私は思っています。
逆にいえば、それらの課題が解決されている教育サービスは、受ける価値があると思いますね。
(たとえば、上にも書いたような、ネット配信の授業で自分の好きなペースで受講できるサービスとか、
自分が選んだ参考書・問題集を個別に教えてくれる個別指導・家庭教師、もしくはその進捗を個別にチェックしてくれる塾などですね。)
私が運営しているOCP(受験勉強オンラインコーチング・プログラム)は、これらの知識提供型の教育サービスとはまったくコンセプトが違うものなので、
(余談ですが、OCPのコンセプトは、「自学自習の計画の達成率を、極限まで高めること」という一点に尽きます。
初年度から2年連続東大合格者も出し、3年目の今年はスーパーバージョンアップを果たしますのでお楽しみに。)
よって私は予備校の売上が上がろうと下がろうと関係ない立場ですので、今回のお話は、受験生の読者さんにとってはポジショントークではない、比較的客観的な話として受け取っていただいていいかと思います。
あくまで私自身の経験と、これまで多くの受験生から得た情報を元に出した見解ですが、それほどおかしなことは言っていないはずです。
あまり他のサービスについてどうこう言いたくはないのですが、大昔からの業界の問題点の一つだと思うので、その観点でお話ししました。
なにせ予備校って何十万円、ヘタしたらもう一桁上の金額を払うこともある超高額の出費ですからね。その値段の買い物で万が一にも失敗してほしくないですし、読者さんには、選ぶなら納得の行く予備校・塾を選んでもらいたいわけです。
以上、これから予備校や何らかの塾なり通信教育を検討されている受験生は、参考にしてみてください。