- 2025-11-11
- 勉強の習慣化, 勉強を楽しむテクニック, 継続力
こんにちは、中西です。
このメルマガは2014年11月11日から日刊配信がスタートしましたので、本日で11年が経過したことになります。
3週間ほど前に4,000日に到達しましたが、その際に私なりの継続のコツをお話ししましたので、
今回は私の話ではなく、継続に関する研究で、今年発表された興味深い研究があるので、そちらをご紹介したいと思います。
これは京都大学が2020年に行った研究の追跡研究で、新たなことが分かったという内容です。
まず元の研究(2020年)では、高齢者を対象に
「鍵盤ハーモニカを4か月練習すると、記憶力や脳機能が向上する」
ことが明らかになりました。
(なお鍵盤ハーモニカとはいわゆるピアニカのことです。ピアニカはヤマハの商品名。ウォシュレットや宅急便みたいに商品名の方が有名になった例かと)
当時は、週1回、京都市内の老人福祉施設で4か月間にわたって鍵盤ハーモニカのグループレッスンを受けてもらう実験が行われました。
研究自体はその時点で終了していましたが、興味深かったのは研究の参加者の一部が同好会を作り、
研究終了後も練習を続けていたそうです(京都大学の研究室メンバーも指導の手伝いに行くなど、関係が続いていたとのこと)。
なんだかほっこりする話ですね。
しかも、その継続していた人たちは年に2回コンサートを開催するなど、かなり高い意欲を持って練習を続けていました。
この継続状態が4年ほど経った時、京大名誉教授で元の研究を取りまとめた積山薫教授が、
その方々の様子を見て「追跡調査で脳機能のさらなる変化を確かめよう」という話になったそうです。
こうして最初の研究から4年後まで継続していた人たちと継続しなかった人の認知機能や脳の構造を調べたところ、
途中で中止したグループでは、言語的なワーキングメモリー(作業記憶)の成績が低下し、脳の被殻という部位が萎縮していることが分かりました。
また、中止したグループでは小脳の活動範囲も狭くなり、低下していたことが確認されました。
被殻と小脳は、加齢で萎縮や機能低下が起こりやすい部分として知られています。
一方、4年後まで楽器を継続していた人たちの脳を見ると、認知機能も被殻も、
加齢による変化(萎縮や機能低下)が抑えられており、著しい低下は見られなかったそうです。
ちなみに、2020年の最初の研究の参加者の平均年齢は73歳でした。
4年後の追跡では、継続していた人たちの平均年齢は78歳になっていました。
中止した人たちの平均年齢は76歳で、中止した人たちのほうが年齢的には2歳ほど若かったのですが、
それでも継続していた78歳のグループのほうが脳機能の低下が見られなかったわけです。
研究によると、高齢期の楽器練習の効果を4年という長期にわたって実証的に調べた研究は、この京都大学の追跡が世界で初めてだそうです。
今回継続していた人たちが使用していた楽器は、鍵盤ハーモニカと電子ピアノの2つでした(他の楽器で同様の効果があるかは未検証)。
ただ、常識的に考えて、他の楽器でも似た効果は期待できるでしょう。
もっと言えば、楽器以外でも、手先を使ったり頭を使うことを「楽しみながら継続」している人は、脳の老化が抑制される可能性が高いと考えられます。
そういえば、高木ブーさんが92歳になっても元気に活動されているのも、ウクレレを現役で続けておられるからではないかと個人的には思っています(絵も趣味にされています)。
私の親戚にも、若い頃から絵を趣味にされている80代後半のおじさんがいますが、
その方も数か月前に久々にお会いした際、年齢の割にしっかり話をされていて驚きました。寝たきりや亡くなって人もいる年齢ですが、明らかに若く見えます。
今回の研究リリースのタイトルには「継続は力」と冒頭にありました。
※参考「継続は⼒:⾼齢期に始めた楽器練習の効果―4 年の追跡研究で⾒えた脳・認知機能維持―」
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2025-06/web_2506_Sekiyama-c1a09ed81d7f9c2210727d42ceb9ac6c.pdf
まさに、何らかの「頭を使うこと」を継続していることで、人はいつまでも元気でいられるのだろうと思います。
使わない筋肉が衰えるように、脳も同じということですね。
平均73歳から始めても遅くはなく、この研究でも「始めるのに遅いということはない」とまとめられています。
ただし、高齢で始めるのが遅くなくても「継続すること」が重要であることが、今回あらためて分かったと、報告では締めくくられていました。
遅く始めても良いでしょうし、何をやっても良いと思いますが、
「継続的に取り組む」
ことを前提にしておくのがポイントになりそうです。


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