- 2024-9-9
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こんにちは、中西です。
京都新聞で疲労の専門家による
「脳疲労」
についての記事が興味深かったのでご紹介します。
▼「デジタルうつ」にならないためには?
情報過多時代の脳疲労 専門家が詳しく解説
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1296217
日本疲労会が大阪市で開催した講演をまとめた記事ですが、
講師は疲労と老化に関する病態生理研究の第一人者、片岡洋祐・神戸大特命教授で、
「脳科学からみる疲れをためないライフスタイル」
というテーマで行われました。
片岡教授による脳の疲労メカニズムの解説で、とくに興味深かった部分を引用します。
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『(脳の)神経細胞はたくさんのエネルギーを使って活動しているが、
同じ神経回路を酷使する
など過度な神経活動は脳疲労を誘発する』
『疲労の初期サインは「飽きる」「眠くなる」「集中力の低下」』
『疲労を癒す薬はない。(慢性疲労を避けるためには)生活を見直さないとだめ。
休むときは休み、働くときは働く。メリハリのある生活が大切。
生活を見直すポイントとしては、
▼質の高い睡眠で脳を休息・修復
▼エネルギー代謝の改善と酸化や炎症を抑制する食材、細胞修復のためのタンパク質といった多様な食材
▼適度な運動で安心感や爽快感を得てストレスを軽減
『性格も関係する。疲労を解消しやすい人は、臨機応変に楽しんで生きていて自分で物事を決定できる「自己志向型」。
一方、疲労を解消しにくい人は、心配性・内気で悲観しやすく、完璧主義の「障害回避型・完全主義型」。
「同じ神経回路を酷使し続けないで、適度に切り替える」のが大切』
『脳を鍛えるためには「歩きながら計算」「料理」など物事を並行して処理することが効果的だが、
脳が疲れたら直列処理に切り替える。目の前のことを終わらせてから次に』
『脳疲労は社会問題。「デジタルうつ」になる情報過多の時代こそ、ぼーっとする時間が大切。
ぼーっとしている間に脳内の多くの情報が整理される。
子どももぼーっとしているときに脳が成長している」』
『スポーツジムなどでの運動による気分改善も研究で効果が確かめられており、こんな(効果のある)薬はない。
環境音楽による心の癒しもよい』
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・・・ということでしたが、上記の疲労の予防・改善のポイントを端的にまとめますと、
①メリハリのある生活が大事
②生活の見直しが大事
③睡眠・食事・運動がカギ
④性格が疲労に影響する
⑤1つずつやると疲れない
⑥ただし適度に切り替えも重要
⑦ぼーっとするのも大事
⑧運動・環境音楽でメンタル改善
・・・こんな感じですね。
わりと当たり前のことが列挙されているように思った人もいるかもしれませんが、
毎週たくさんの人をコーチングして様々な相談を受けていると、上記のラインナップがいかに重要かというのが、実感として非常によくわかります。
根本的なモチベーションや中長期的な目標があるのに、エネルギー(やる気)が低下している状況の人は、確かに上記のいずれかが欠けていることがほとんどです。
④の性格が疲労に影響する話も興味深いですね。
ちょうど前回のメルマガで、10万人の大規模調査の結果、
「肉体的には同じ動きでも(自分が楽しいと感じる)趣味趣向の活動をやる場合は、肩こりになりづらい」
ということがわかり、
「(活動時の)メンタルが肩こりに影響する」
というお話をしました。
ここは調査結果というより調査を踏まえての私の分析でしたが、まあ結果を見る限り普通に考えて間違いないかと。
今回の「脳疲労」においても同じで、
「性格」が物事を楽観的に見る傾向が強いか、悲観的に見る傾向が強いかによって、
疲労の解消のしやすさが変わるのは、やはり肉体と精神が連動している、ということでしょう。
⑦の「ぼーっとする」のが大事という話は、近年よく言われている
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
に通じる話かと思います。
デフォルトモードネットワークというのは、脳がぼーっとしている時に活性化される脳のネットワークのことです。
従来はぼーっとしてる時は脳が活動していないと思われていましたが、
実はぼーっとしている時に脳が非常に活発に動いていることが判明したのが、このデフォルトモードネットワークです。
散歩中や布団に入った時やシャワーを浴びている時に、いいアイデアが浮かぶことが少なくありませんが、
これらはまさにデフォルトモードネットワークによる脳の活動の典型でしょう。
したがって、ぼーっとしている時は厳密に言うと脳が完全に休んでいるわけではないのですが、
片岡教授の話にもあった通り、
「同じ神経回路を酷使するなど過度な神経活動は脳疲労を誘発」
「同じ神経回路を酷使し続けないで、適度に切り替えるのが大切」
とのことでしたので、脳が動いているにしてもぼーっとすることで、
それまでの集中している時と「使う神経回路の切り替え」が行われているはずですから、疲労の回復に繋がるわけです。
ぼーっとするのが苦手な人は、リラックスした姿勢で目をつぶるといいと思います。
仮眠に近いですが、眠らなくても目をつぶるだけでかなり脳は疲労回復しますので。
頭にいろいろ浮かんでも気にしなくていいです。無心になろうとしなくてOK。
なお、同講演会で「脳疲労のサイン」が資料にまとめられ、その内容も公開されていたので参考までに転載しておきます。
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<脳疲労のサイン>
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〇初期:飽きる、眠くなる、集中力の低下
〇中程度:作業に時間がかかる、うっかりミスが増える、怒りっぽくなる、まぶしく感じる
〇慢性期:人の話やテレビ・ラジオなどの話が理解できない
寝ても疲れが取れない、睡眠障害
ネガティブ思考、無気力、抑うつ、痛みの増幅
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というわけで、疲労の予防や解消のやり方が上手いかどうかで、1日の集中力やトータルの生産性も変わってきますので、
ぜひ当たり前だと思わずに一つ一つ本当にできているか、日々確認してみてほしいと思います。