- 2024-9-10
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こんにちは、中西です。
多くの人が「幸せ」を求めて生きているわけですが、
では幸せとは何なのか?
もちろん人それぞれ幸せの形はあるわけですが、同時に
「多くの人に共通する幸せ」
も存在しています。
それが近年の心理学(特にポジティブ心理学)や脳科学を始めとする科学的な研究で明らかになってきました。
ちなみにポジティブ心理学は、1998年にペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授によって創設された
「持続的な幸せ」
を追求する学問なので、比較的新しい学問分野と言えます。
脳科学的な観点でも、
「幸せホルモン」
が複数あることが判明しており(セロトニン、オキシトシン、エンドルフィンなど)、
そのホルモンが分泌する行動を取ることによって、人が幸せを感じる(≒幸せになる)ことが分かってきました。
こういった複数の科学的な観点から、特に幸せにおいては
「人との関わり」
が大きな鍵を握っていることが分かってきました。
逆に言うと、人との関わりをおろそかにしていると、幸せが遠のいていく可能性がとんでもなく高まっていきます。
その幸せにつながる「人との関わり」の中でも、近年研究が進んでいるのが、
【 人は「他人の幸せ」のために行動すると幸せになれる 】
のではないか?というテーマです。
今回はこのテーマについての研究を一つご紹介します。
この研究は、ニッセイ基礎研究所が2021年に発表したレポート、
「他人の幸せの為に行動すると、幸せになれるのか?―利他的行動の幸福度への影響の実験による検証―」
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/67315_ext_18_0.pdf?site=nli
にて、「利他的行動で幸福になる可能性について、因果関係を示した最も有名な研究」として紹介されていました。
どんな研究だったかというと、被験者は46人で、北米地域で行われた実験なのですが、実験は以下のような内容でした。
——————————————-
①実験が行われる日の朝、参加者は自分の幸福度を評価する。
②参加者はランダムに2つのグループに分けられる。
【Aグループ】5ドルか20ドルを渡され、当日の午後5時までに
「自分のために」
そのお金を使うように伝えられる。
【Bグループ】5ドルか20ドルを渡され、今度は当日の午後5時までに、
「他の人へのプレゼントか寄付」
に使うように伝えられる。
③ 午後5時以降に参加者はもう一度集められ、自分の幸福度を評価する。
——————————————-
・・・という感じの実験だったのですが、この実験の結果わかったのは、
【 自分のためにお金を使った人より、他人のためにお金を使った人の方が幸福感が高まった 】
ということです。しかも興味深かったのは、
【 他人のために使ったお金が5ドル(約750円)でも20ドル(約3000円)でも、結果は同じだった 】
という点です。
つまり、他人のために使って得られる幸福感は金額が多い・少ないは関係ないということですね。
「なるほど!だったら自分の幸福感のために、寄付やプレゼントはなるべく極限まで少額にしておこうかね!そっちの方がコスパいいやん!」
と一瞬思ってしまった私は、エゴの塊であることに気づきました(-_-;)
さらに興味深いのは、この実験に参加した人とは別の人たちに、
「お金を使った際に感じる幸福度」
を予測してもらったようなのですが、その時に多くの人は
① より大きな金額を使った方が幸せになれる
② 他人より自分にお金を使った方が幸福度が高まる
と回答していたのです。
ところが実際は全く違っていたと。
この結果からわかるのは、
【 人々は他人のためにお金を使うことによって得られる幸福感を、正しく予測できていない 】
という傾向があるわけです。
そうであれば日頃から実にもったいない「お金の使い方」をしている可能性が高いですし、
逆に言うと、この研究結果を頭に入れておくことで、
自分自身が(&他人も)幸せになりやすい「賢いお金の使い方」ができる可能性が高まります。
余談ですが、私は毎月甥っ子と姪っ子に漫画を数冊ずつ送っているのですが、完全に自分が楽しくて趣味でやっている自覚がありました。
その楽しさがどこから来てるのかよくわかってませんでしたが、今回の実験を見る限り、やっぱり自分の幸福感アップでやってるっぽいですね。
実験では被験者にお金を使ってもらって寄付かプレゼントを選択してもらっていましたが、どちらでも自分のやりやすい方でいいと思います。
というわけで、自分のためにお金を使うのも大事ですが、幸福感をアップさせたいなら、たまに
他人のためにお金を使ってみる
のは、お互いハッピーになれるので「一石二鳥の賢いお金の使い道」ということになりそうです。