- 2019-11-25
- 受験を突破するマインドセット
こんにちは、中西です。
先日は、江戸時代の天才思想家・石田梅岩が唱えた
「勤労の最大の恵みは『安らぎ』である」
という言葉を、勉強の集中力アップの観点で考察しました。
今回は、これについてさらに突っ込んで。
結局梅岩のこの考え方はどういう事かと言うと、
「肉体的なしんどさを受け入れることで、精神的な安楽(安らぎ)を得る」
ということだったわけです。
江戸時代ですから職業も限られており(士農工商)、今みたいに多種多彩に細分化されていないので、「自分に合った仕事(適職・天職)に就く」なんて発想もおそらくなかったでしょう。
つまり「生きていくため」に働かなけらばならなかったわけで、仕事を楽しむとか仕事で自己実現をする的な考えは、大半の人になかったと思われます。
とはいえ江戸時代の人も我々と同じ人間ですから、どういう考え方をベースにして仕事をするかという「働く思想」のようなものが必要だったはず。
多かれ少なかれ、働く上で何らかの思想が必要なのは古今東西変わらないので、そんな中で産まれた思想の一つが「石門心学」「都鄙問答」だったということでしょう(たぶん)。
現代とは比べ物にならないほど自然災害の脅威も大きかったわけですから、「いかにして心の安らぎを手に入れて幸せになるか」と言うのも簡単な問題ではなかったと思われます。
そこで梅岩が唱えたのが、冒頭の考え方というわけです。私なりに別の表現で言いますと、
「肉体的にはしんどくても、精神的には気持ちよく過ごせること」
を重視した考え方だと思うわけです。
「やるべき事をきっちりやる」というのは肉体的にはしんどいことも多いわけですが、それを達成できた場合、非常に高い確率で精神的な気持ち良さが手に入ります。それを目指すと。
肉体的にも精神的にも気持ちよくなる状態を目指すというのは、現実的ではないと個人的には思います。
なぜなら、何をするにしても目標を達成しようとする場合、「嫌なこと」もやらないといけない場合が大半だからです。
たまにそういったストレスを毛嫌いしすぎて、日常生活から全てのストレスを取り除こうとする人がいるのですが、 これは限りなく不可能に近いんじゃないかと思います。
最終的にそういう生活を手に入れることを目指すというのはありえますが、まだ人生が進化途上の状態の人が、全てのストレスを取り除こうとすると、
あらゆるタスクから逃げ出したくなるか、やるべきことをやらなくなるか、
甘~い言葉でいっぱいの非現実的な自己啓発やら、そういう思考回路の人達を狙った詐欺的な商売に引っかかる可能性が高くなっていきます。
(実際にそういう心理を巧みに利用した商売をしている連中は腐るほどいます)
ちなみに海外の研究で、ストレスがかかることをまず現実的に受け入れるタイプと、ストレスは一切ない方が良いと考えるタイプの生産性を比較した実験があるのですが、
この結果は見事にストレスの存在を受け入れてそこに立ち向かっている前者のタイプの人たちが、高い生産性を発揮することが判明しています。まあ、少し考えれば当たり前かと。
というわけで、本当の意味で「精神的な気持ちよさ」(心の安らぎetc)を手に入れるなら、
まずは自分がやるべきことを、それが多少嫌なことであろうが、しっかりとやるしかないという覚悟を持つのが重要になりますので、
夜寝る前に「今日は1日しっかりやりきれたなあヾ(´▽`)ゝ」という深い満足感と精神的な安らぎとともに眠りに入りたい人は、
「プロセスにおけるストレスから逃げない」
という覚悟(マインドセット)を持った上で、1日を過ごすのがポイントになります。
逆説的ですが、この覚悟を持つことで本当の意味の「安らぎ」が手に入る
・・・というのが梅岩の根本にある思想(労働観)だったといえそうです。
それではまた。