- 2019-10-9
- その他・雑談
こんにちは、中西です。
ニュースで大々的に報じられているのでご存知の方も多いと思いますが、
今年のノーベル化学賞に、リチウムイオン電池を開発した吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)が受賞されましたヽ(´▽`)/
記者会見も少し見ていたのですが、終始にこやかにコメントされて、数分おきに会場で笑いが起こるくらい話も面白く、和やかで興味深い会見でした。
調べてみたところ、リチウムイオン電池は1991年から量産化されていますが、1985年にすでにリチウムイオン電池の基本形を吉野氏が開発されていたようです。
当時の吉野氏はまだ37歳。ここから34年もたってようやく認められたわけですね。ご本人は携帯電話すら最近まで持っていなかったそうですが(笑)
リチウムイオン電池はパソコンや携帯電話(スマホ)に利用されていますが、会見で吉野氏が話しておられたのは「電気を蓄える」のが1番の機能だということです。
その結果、パソコンや携帯から電気自動車にまで利用されるようになりました。
電気自動車はリチウムイオン電池でないとできないようです。結果、電気自動車自体が蓄電器として機能します。
それが普及すると、巨大な蓄電システムが自動的にあちこちに出来ることになるので、結果的に太陽光発電や風力発電といった、不安定で変動が激しい発電も普及しやすくなるとのこと。
個人的に興味深かったのは、記者からの「ご自身はどんな学者だと思うか?」という質問への回答。
「頭の柔らかさと、執着心。この柔と剛のバランスが重要です。大きな困難にぶつかっても、まぁなんとかなるかなという柔らかさと、あきらめない心が大事」
とのことでした。
ようするに「相反する要素」を同時に持つことが大切ってことですね。これは超優秀な人たちが口をそろえて言ってる気がします。
私がITベンチャーで働いていたときにも、師匠であるその経営者の方から繰り返し言われました。「大胆さと繊細さ」「大きな目標(夢)と小さな積み重ね」・・・こういった相反する要素を持たないと物事はうまく行かないとのこと。
あとで知ったのですが、「易経」でもこういうことが言われているようです。
吉野氏の回答でもう1つ興味深かったのが、最近よく指摘される日本の論文数の減少に関する意見を求められ、次のように回答されていた点です。
「目標に向かって行う役に立つ研究。これは大事。
その一方で、好奇心に基づく真理の探求をする人も絶対に必要。誰もが気が付かない新しい現象を見つける人。そういう人はとんでもないものを見つける可能性がある」
・・・という話。これ、たしか別のノーベル賞受賞者も言ってました。
ようは「いっけん無駄に思えるけど、好奇心のおもむくまま行う研究」も重要で、むしろそういう無駄に見えるような研究からの方が、画期的な発見がよくある、という話。
これは個人の勉強(インプット)でも同じだと思うんですよね。
よく巷で有名な読書法なんかをみると、「目的を持って読書をしよう」みたいな話を非常によく聞くのですが、こういう勉強って「すぐに役立つためのインプット」なんですよね。
この繰り返しでずっとインプットしている人は、目の前の課題は効率的に処理出来る可能性が高まりますが、
一方で、人が驚くようなアイデア・発見・発想を生み出す可能性は低下します。脳みそに「無駄(いっけん無駄に見えること)」が全然入っていないので、まあ当たり前なんですが。
私自身も大昔からこの「すぐには役立たないインプット」(「無用の用」ともいいます)をかなり重視してるので、無駄な引き出しの多さだけはそのへんの仕事ができる風な人にはまず負けないかなと。アイデアだけなら無限に出せますし。
ノーベル賞受賞者が毎回のようにこの「無駄の重要性」を強調されるのは、やっぱりいわゆる専門バカになってしまうと、画期的な新しい物を生み出せないってことだと思いますね。
というわけで、本日はとても明るいニュースでした。吉野氏が開発したリチウムイオン電池とノーベル化学賞受賞は日本の誇りですね。
それではまた。