- 2017-7-9
- おすすめ記事, その他・雑談, 受験が終わった後について, 受験の意味を考える
こんにちは、中西です。
本日は日曜日ですので、恒例の雑談系ネタで。
(このメルマガは日曜は
雑談系ネタになることが多いです)
今回取り上げたいのはこちらの記事。
▼大学の学費が高騰を続ける2つの理由
~少子化、デフレなのになぜか~
http://president.jp/articles/-/22490
どういう話かと言うと、長年少子化と
デフレが続いているにもかかわらず、
大学の授業料が上がっている現象は
なぜなのかと言うことを分析している記事です。
経済の原則で言えば、需要が減って供給が
多い場合は、価格が下がっていくはずなのです。
今回の例で言うと、大学の数が多くなりすぎて、
かつ生徒が減っているため、通常であれば
授業料はどんどん安くなっていくのが自然です。
ところがそうはならずに学費(授業料)は
上がっていて、今後さらに上がる可能性が高い
・・・と言うことなのです。
ちなみにどれぐらい授業料が上がっているか
と言うと、国立大学の授業料は1990年の約
34万円から現在は53万5,800円まで、約6割
も上昇しています。とんでもない上昇率です(;゚ロ゚)
で、なんでこんなことになってるかと言うと、
日本総研経営戦略クラスター長・主席研究員
の東秀樹氏によると、
「国の政策転換が学費の値上げにつながっている」
とのこと。
国立大学の運営費と言うのは、多くは国の
「運営費交付金」
でまかなわれています。ちなみに16年度は
国立大学の収入に占める、この
運営費交付金の割合は44%でした。
この国からの運営費交付金や生徒からの
授業料等で国立大学は運営されています。
ところがこの国から貰える運営費交付金が、
近年減ってきているのです。
運営費交付金を減らす代わりに、
「受益者負担を増やそう」という流れ
になってきていました。
「受益者負担が増える」と言う事は、つまりは
「生徒側が支払う授業料が上がる」
ことを意味します。
先の東氏によると、
——————————————
「15年12月、文部科学省は、このまま
交付金の削減が続くと、国立大学の授業料が、
31年度には年間約93万円になる
と試算を公表し、物議を醸しました。
のちに文部科学省はあくまで計算上の数字
で実際に上がることを決定したのではない
と撤回しましたが、
財政が厳しいなか、今後政府がどれだけ
教育に財源を割くことができるかは
難しい問題です」
——————————————
とのこと。
本来、長期的に国を発展させていくことを
考えれば、
デフレで国民の貧困化が続いている状況を
踏まえると、国立大学の授業料はできるだけ
安い方が良いに決まっているわけです。
ところがそうはならずに、授業料は昔よりも
6割も上がっていて、さらに今後も上昇する
見込みが高いと。
数%程度の授業料アップであればまだ良い
のですが、なんせ以前と比べて6割もアップ
していて、さらに今後もそれが増大していく
可能性が高いわけです。
そのアップした授業料分の負担は結局
誰がどういう形で負担してるかと言うと、
最終的には学生が「奨学金」と言う名の
借金を抱える形で、
その何百万円もの借金を大学卒業後に
日々の生活費から返済して行く形で
負担をしているわけです。
20代の少ない給料の中から毎月奨学金を
返済していくのは非常に大変で、これが
大きな社会問題にまで近年なっている事は
ご存知の通り。
これが健全な教育の状態だとは
私にはとても思えないわけです。
では、そもそもなぜこんな流れに
なってしまったのでしょうか。
それは上記の東氏の発言の最後にも少し
書かれていますが、要するに
「財政が厳しい」ために
「教育費に使う財源がない」
というのがその背景にあります。
「国の財源が足りない」
から、国立大学の運営費として使う
「運営費交付金を国からは
これ以上出せない・減らすしかない」
という話になってしまい、それが授業料の
大幅アップと言う形で学生側に負担が
のしかかっているわけです。
その結果、学生が新社会人になるときに
多大なる借金を抱えることにつながっている
・・と言う形で、日本中の多くの未来ある
若者を苦しめていることに結果として
なっているのです。
ところが私に言わせれば、この
「財源が厳しい」
という根本的な認識自体が間違っています。
そもそもなぜそういう認識になるのかと言う
と、要するに
「2020年までにプライマリーバランスの
黒字化目標を達成しなければならない」
と言う発想が根本にあるからです。
この
「プライマリーバランスの黒字化目標」
というものがどれほど愚かな目標かと言う
ことについては、以下の記事で詳しく書きました。
▼愚かすぎる「骨太の方針2017」に
国民全員が怒り狂うべき理由(雑談)
この「プライマリーバランスの黒字化目標」
についてのより詳しい指摘を、先週の木曜日に
京都大学大学院教授で内閣参謀関与の
藤井聡氏がこちらの記事で発表されていました。
初心者の人には私の記事の方が分かりやすい
かもしれませんが、より詳しく知りたい方は
藤井氏の記事をご覧になってみてください。
この記事に現在の(というかここ十数年の)
日本経済が抱える問題の最重要ポイントが
書かれていますので。
ちなみに上の記事では、先週の7月5日に
自民党2回生の衆議院議員28名が
「デフレ脱却に関する提言」をまとめ、
官邸と自民党執行部に提出した
と言う話が書かれています。
ようやく、ようやく、政治家でこの提言が
できる人間が出てきたのかと言う気がしますが、
(でも若手議員だけ)
今からでも理解して動こうとしているこの
28名の方々は本当に素晴らしいと思います。
ただ見方を変えると、国会議員でこの問題を
まともに理解・認識できている人はまだ
たった28名程度しかいないと言うことなの
かもしれませんが(ノ_-。)
というわけで、まだ全然書き足りないのですが、
以前から指摘している「PBの黒字化目標」と
言う、これ以上ないほどの、歴史に残るレベルの
愚かすぎる目標設定が、
どれほど私たちの実生活や人生に
深く深く、マイナスの影響を及ぼしているか
と言うことがわかる一例だと思い
紹介させていただきました。
私はこの問題は非常に根が深い、この国を
20年以上にわたりあらゆる面で無駄に停滞
させてきた根本原因であり、
かつ、このまま放置しておくと間違いなく
この国を自国では何もできない発展途上国
に没落させていくことになる(というか
とっくに始まってますが)
根本的な大問題だと考えていますので、
一人でも多くの方に理解してもらうために
今後も時々ですがお話ししていくかと思います。
それではまた。
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