- 2016-3-4
- おすすめ記事, その他・雑談, 受験が終わった後について, 大学生活について考える, 志望校・進路の決め方
こんにちは、中西です。
この1週間ほど、
好きなこと論シリーズ
を続けています。すごく好評です。
前回は、「書くことが嫌い」な私が
何年も書き続けられる理由は、
「1日の中で『書く時間』の比重を意識しているから」
という話をしました。
この「比重」について、個人的に
参考になる事例が2つあるのでシェアします。
数日前に芳林堂書店が倒産する
ニュースがありましたが、
ちょうどその日に私は芳林堂書店で
ある本を見つけて衝動買いしました。
現代日本を代表する漫画家、
浦沢直樹さんのインタビュー集です。
彼への12時間半にもわたるインタビューを
掲載したどでかい電話帳みたいな本で、
たしか3000円近くしましたが
その10倍くらい価値がある超面白い本でした。
その中で、浦沢さんの現在の仕事ペースに関する、
こんな話があったのです。
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インタビュア
「今後のペースは月2本くらいが
ちょうどいいだろうと思われていた?」
浦沢さん
「1日4枚くらいがいいなって感じ。
漫画を描くのが楽しいとか、漫画が好きだとか、
そういう気持ちをここからキープしていくには
そのぐらいがよかった。それ以上やったら
嫌いになるかもしれないなと思って。
もうこれ以上痛めつけてやる仕事じゃないし、
楽しいと思いながら描ける物量の上限が
そのぐらいだったね。」
「浦沢直樹 描いて描いて描きまくる」(小学館)P225
—————————————-
・・・つまり、浦沢さんの場合
「1日4枚」という“比重”
であれば、仕事として漫画を描くのを
楽しみ続けられるが、それ以上だと
「嫌い」になる可能性があると。
この部分を読んだとき、以前似たようなこと
を言っていた人を思い出しました。
老人介護の仕事を
「完全に趣味」「楽しくてしかたないわ」
と意味不明なことを言い続けている私の母です。
母にとって老人介護はそんなにも
「好きなこと」なのですが、
一つだけ注意していることがあると言います。
それが
「社員になって仕事を増やしすぎないこと」
だとか。
母は十数年、派遣社員として
週4くらいでやっていて、
訪問介護で一日10件近く回る
ことも あるのですが、
それでも社員としてやると
「1週間ぎっしり入る」ことになるようです。
いくら「好きなこと」でも、
そこまで仕事が入ると続けられなくなるから、
今のペース(=比重)を守っている
という話。 結果、十数年も、このハードな
仕事を楽しそうにやっています。
当代一流の漫画家さんと、
普通の田舎の介護士さんという
大きな違いはありますが、
【「好きなこと」が「嫌いなこと」に変わるラインを見極め
「好きなこと」をやる“比重”を意識している 】
という点では共通しています。
私の例は「好きなこと」ではなく
「嫌いなこと」(=書くこと)をやれるライン
の見極めとその比重の話でしたが、
いずれにしろ
【「比重」の見極めを間違えると、
自分にとって大切なことが続けられなくなる 】
ことをよく理解していて、
その時間配分に対し 慎重に注意している点が
本質的に共通しているといえます。
これが
「長期的に楽しみながら続けていく」
ための 現実的妥協案(解決策)の1つになると
私は考えているのですが、どうでしょうか。
好きなこと論シリーズ、次回に続けます。
To be continued
※追記:次回の記事はこちら⇒サラリーマンは「好きなこと」をやれない?