- 2015-3-4
- おすすめ記事, 勉強のやる気アップ法, 勉強のモチベーションアップ, 勉強の集中力をアップさせるテクニック
「集中力」「やる気」「モチベーション」の違い。あなたはわかりやすく説明できますか?
こんにちは、中西です。
「勉強の集中力」について考えるときに、多くの人が混同している言葉があります。その混同のせいで、ますます問題解決が遠のいている言葉があるのです。
それは「やる気」と「モチベーション」という言葉です。
つまり「集中力」「やる気」「モチベーション」という、これら3つの言葉をどこか混同して(もしくは区別できずに)使っている人が少なくないということです。専門家的な立場の人でも混同している人がいます。
ちなみに私がこの3つを混同することはありません。以前、自分なりにこの3つについての違いを考え続けて、ようやく3つを明確に見分ける「わかりやすい基準」を見つけ出したからです。この基準を持つと、二度と混同しなくなります。
この基準を一度でも持つと、その後はもう、今の私のように3つとも全然違うものにしか見えなくなるでしょう。
なぜ、この「3つ」を混同してしまう人が多いのか?
そもそもなぜ、多くの人がこの3つを混同してしまいやすいのかというと、「モチベーション」も「やる気」も「集中力」も3つとも違うものでありながら、完全に無関係のもの同士でもなく、それぞれが「相互に関連している部分もある」からです。この部分が話をややこしくさせています。
本当に全く完全なる別物であれば、誰でも区別がつくのです。りんごとトマトといちごを間違える人はいないように。しかしこの3つは、たこ焼きとお好み焼きともんじゃ焼きぐらいのレベルでちょっと似ているのです(わかりにくい?)。そんなややこしさがあるので、混同する人がいるのだと考えられます。
そこで今回は、以前私が無い頭をひねりまくってようやく気づき、それ以降ひそかに自分基準として持っていた、この3つを明確に区別できるようになった「ある基準」をご紹介したいと思います。
この“基準”の話をするのは今回が初。調べてないから知りませんが、ネット中を探し回っても同じ話はないでしょう(たぶん)。ただ、あくまで私の中で持っている自分基準を参考までにご紹介するだけなので、学術的な話ではない点はご了承を。
“ある基準”を導入すると、ハッキリと3つの違いが見えてくる
くわしく解説すると長くなりますので、結論からいいます。
この3つを見分けるときは、
「時間軸」
を導入すると、ハッキリと区別できるようになるのです。
どういうことか?
つまり、こういうことです。
—————————————————————————–
<「集中力」「やる気」「モチベーション」の違い> (中西の見解)
—————————————————————————–
過去・・・モチベーション
↓
直前・・・やる気
↓
現在・・・集中力
—————————————————————————–
・・・以上です。これで全てです。
【追記】イラストを作成しました。
・・・ピンと来ましたでしょうか?
勘のいい方なら、この簡単な図式を見ただけで、一気に霧が晴れるように違いが明確になったかと思われます。「時間軸」という基準でみると、実に簡単に3つの違いがハッキリと見えてくるのです。
辞書の定義はどうなってる?
ではまだピンと来ていないあなたのために(笑)、もう少しくわしく説明します。
以下にこの3語の辞書的な意味を引用しますが、上の図式をもう一度見て頭に入れたうえで、以下の辞書の意味を読んでみて下さい。
「モチベーション」 = 動機づけ。物事を行うための、動機や意欲になるもの。刺激。熱意。(大辞林)
「やる気」 = 物事をやりとげようとする積極的な気持ち(大辞林)
「集中力」 = ある物事に気持ちや注意を集中させる能力(大辞泉)
辞書的な意味も、そのまま読むだけでは3つの区別がつきにくいのですが、先の図式を頭に入れた上で「時間軸」という指標を取り入れてこの3語の意味を読むと、かなり明確に違いが見えてくるはずです。
「モチベーション⇒やる気⇒集中力」の流れで「勉強の集中力」は完成する
つまり、
過去・・・モチベーション
↓
直前・・・やる気
↓
現在・・・集中力
という時間の流れの中で、
【 モチベーション⇒やる気⇒集中力 】
という順番で、最終的な「集中力」が完成されているのです。
「『モチベーション』も『やる気』もあるのに、『集中力』だけが無い」は十分ありえる
これをもしピラミッド型の図で表現するなら、一番下の土台に「モチベーション」があって、その上の2段目に「やる気」がのっていて、一番上の頂上に「集中力」がのっているイメージです。
ピラミッドは、下の段が無いと上の段は作れません。よって、「『モチベーション』が無いのに『やる気』だけがある」という状態は基本的にありえませんし、「『やる気』が無いのに『集中力』だけはある」という状態も基本的にありえません。あったとしてもそれは土台の無いニセモノの集中力なので、長続きすることはありません。
また逆に、「『モチベーション』も『やる気』もあるけど、『集中力』だけが無い」ということも起こりえます。ピラミッドの頂上の「集中力」だけがのっかっていないパターンです。
このあたり、多くの人が勘違いしているので注意が必要です。
「『モチベーション』と『やる気』があれば、勉強に集中できる」と考える人が多いのですが、そうとは限らないということ
です。それは集中力の構成要素のせいぜい50%未満の話にすぎません。残り半分以上は、勉強に集中することに特化したノウハウや考え方が必要になるのです。ピラミッドの一番上の「集中力」までしっかりのせることで、「勉強の集中力」は完成します。少なくとも私はそう考えています。
つまり「モチベーション」と「やる気」の問題をクリアできても、勉強に集中できるかどうかはまた別の問題をクリアする必要があるということですね。したがって、もし「集中力」をアップさせるためのテクニカルな方法が間違っている場合は、「勉強のモチベーションもやる気もあるのに、集中力が続かない・゚・(ノД`;)・゚・」という状態は普通にありえます。
モチベーションは「過去」⇒ やる気は「直前」⇒ 集中力は「現在」
これを受験勉強でたとえると、「モチベーション」というのは、もっとも最初にくるべき「受験勉強をする動機」のことですから、大学受験なら「大学に進学したい!」「この大学(学部)にどうしても行きたい!」といった気持ちのことです。これは「時間軸」でいうと、初期段階(上の図でいう「過去」)に来るものです。
「やる気」というのは、そのモチベーションが前提としてあった上での、「物事をやりとげようとする積極的な気持ち」のことですから、時間軸でいうと「モチベーションより後」で、かつ「勉強するよりも前」に来ます。勉強の「直前」に、その気持ち(やる気)の発火点が来ないといけないわけです。
「集中力」というのは、机に向かったあとの「まさに今、勉強している状態」の話ですから、時間軸でいうと(この表現でいうところの)「現在」でしかありえません。したがって机に向かう前のアドバイスと、机に向かったあとの「勉強の集中力」のアドバイスは当然違って来ないといけないのです。
「集中力」「やる気」「モチベーション」の3つを区別できていない人は、必ずアドバイスを間違える
ところが、このあたりをしっかり区別できていない人は、こう考えてしまいます。「本当に心からやりたいことさえ見つかれば、勉強に集中できるはずだ」とか「やる気さえあれば、勉強に集中できるんだ」と。前者は「モチベーション」と「集中力」を混同し、後者は「やる気」と「集中力」を混同しています。これが“不幸”のはじまりです。
ときどき指導者の立場の人でもこれを言っている人がいて、「本当に心から自分のやりたいこと(行きたい大学)が見つかれば、集中できるのです」(「モチベーション」と「集中力」の混同)とか「勉強に集中できないのは、お前のやる気が足りないからだ!」(「やる気」と「集中力」の混同)といった、私から見ればナンセンス極まりないというかトンチンカンとしか言いようがない(よく言っても50点未満にしかならない)アドバイスが全国で横行してしまうのです(なぜそれを知ってるかと言うと、たくさんの全国の高校生や受験生が、先生からされたアドバイスを教えてくれるから)。
「モチベーション」や「やる気」と、「集中力」を混同してしまった人は、勉強に集中できない原因を他に見つけることができないため、集中できないのは「本心からやりたいことをやっていないからです」とか「やる気が無いからだ」とか「忍耐力」「精神力」「意志力」が足りないからだ・・・という結論へ持っ行くしかありません。ああ。。。。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。
くり返しますが、集中力の維持・向上には、その部分に限定した考え方とノウハウが必要なのです。
何より問題なのは、生徒さんがその間違ったアドバイスを真に受けた場合、「自分は意志弱くてダメな人間なんだ」という結論になるか、「心からやりたいことを見つけられていない自分」や「やる気が無い自分」を責めるか、心のスイッチを入れるために迷走しまくるか、・・・といった結果にならざるを得ず、最終的には、自信喪失・自己嫌悪・セルフイメージ低下・可能性を開花させられない、といった最もあってはならない(と個人的に思っている)結果を引き起こしてしまいます。
くどいですが、実際にそういうアドバイスをされている先生が全国にたくさんいることが判明しているから言っております。
そういうアドバイスが横行してしまう原因は、私はこの「集中力」「やる気」「モチベーション」の3つを明確に区別できていないために、「それぞれに別の対策」があることに気づかず、ごっちゃにした理解のままで指導者の方がアドバイスをしてしまっているからではないかと思っています。
「あいまいな定義」からは、「的外れな現実」しか生み出せない。「言葉の定義」は鬼重要。
このブログは教育関係の方にもたくさんお読みいただいてますが、もし教育関係の方で生徒さんへのアドバイスとして使えそうだと思ってくださった方は、ソースが私でよければ(笑)ご自由に引用くださいませ。個人的には指導者さん側でこの3つがごちゃごちゃの方が多いと、生徒さん側に深刻な問題を引き起こしてしまう可能性があると考えていますので。
というわけで、「集中力」「やる気」「モチベーション」というこの3つの言葉は、それぞれが相互に関連しつつも、3つとも全く別のものでもある・・・というややこしさがあるので取り扱いに注意が必要です。とくに今回は、
「『モチベーション』と『やる気』があっても、『集中力』を維持できるとは限らない」
という点を一番強調しておきたいと思います。「志望校に合格したい!」「勉強をしっかりやりたい!」と強く思っていたとしても、勉強に集中できるとは限らないということです。
そしてモチベーションもやる気もあるのに集中できない場合は、「意志が弱い」「精神が弱い」とか「忍耐力が無い」からではなく、
単に「勉強の集中力」を引き出す考え方やノウハウを知らないだけ
というシンプルな理由なのです。
その「集中力」についての考え方やノウハウはこのブログの過去記事に無数にアップしていますし、こちらの教材でもさらに詳しく説明しています。ただ今回は、具体論の前に、このテーマにおける「言葉の定義」の重要性を理解していただきたかったので、今回は3つの言葉の違いを理解するための指標を書かせていただきました。
この「時間軸」で分けた上で3つの違いを明確化する方法は、私自身は小難しい定義を考えるよりはよほどわかりやすい指標ではないかと考えていて、以前から自分基準として持っていたものです。
上記のとおり学術的な定義ではありませんが、3つの違いを明確にする上で1つの指標にはなるかと思います。参考になれば幸いです。
関連記事
本気になれば集中できる?