- 2025-11-9
- 運動の話
こんにちは、中西です。
前回・前々回と筋トレについてお話ししました。
前々回は「筋トレがメンタルを安定させる話」。
前回は「筋トレに美肌効果があることが世界で初めて認められた研究の話」をご紹介しました。
今回もこの流れで、筋トレについて個人的に意外だった研究をご紹介します。
私は最近、スクワットとともに、鉄アレイで腕の筋肉を鍛える習慣も再開しました。
使っている鉄アレイの重さは5kgなので、大した重さではありません。
5kgでは負荷が足りない気がして、7kgとか10kgのダンベルを買おうかと考えていたのですが、
最近、興味深い研究を見つけて、重いダンベルを買うのはいったんストップしています。
どういうことかというと、私はこれまで
「筋肉をつけるには強い負荷をかけないといけない」
と思っていました。
ダンベルなら「重ければ重いほど筋肉がつきやすい」と考えていたのです。
ところが、最近の研究でこの考え方には誤りがあることが分かってきました。
結論から言いますと、
【 軽い重量でも限界まで行えば、重い重量と同じくらい筋肉が強く太くなる 】
ということが判明していました。※参考:本メール下部に記載
これはノルウェー体育大学が今年4月に発表した研究です。
研究の目的は、「軽い負荷でも筋肉は太く、強くなるのか」を科学的に検証するというものでした。
特に、これまでの研究では筋トレ経験者を対象とした実験が少なかったため、
この研究ではトレーニング熟練者を対象に、低負荷と高負荷の効果を比較しました。
参加者は平均26歳の男女14名で、いずれもトレーニング経験者。
期間は9週間で、週2回のトレーニングを実施しました。
面白かったのは、1人につき片足ずつ条件を変えてトレーニングを行った点です。
つまり、左足と右足でトレーニング条件を変え、片方の足は高負荷(3〜5回で限界に達する重量)、
もう片方の足は低負荷(20〜25回で限界に達する重量)で行いました。
いずれも「限界まで追い込む」という形式です。
その結果、軽い重量でも限界まで行えば、重い重量と同じくらい筋肉が強く太くなることが分かりました。
もう少し厳密に言うと、高負荷では筋肉の「力強さ」がつく方向で効果があり、低負荷では「持久力」がつきやすくなる違いがあったようです。
しかし、筋細胞レベルでの変化は負荷の大小にかかわらず同様であり、「筋肥大の道は1つではない」と研究者たちは結論づけています。
ざっくり言えば、
「限界まで負荷をかけるなら、回数が変わるだけで、軽い重量でも重い重量でも同じように筋肉がつく」
ということです。
従って、最初の私の例で言えば、5kgはやや軽い感じがしますが、40回ぐらいやっているとだんだん筋肉が限界に近づいてくるので、
そのあたりでやめれば、例えば2倍の10kgのダンベルを同じように限界くらいまで持ち上げるのと、筋肉のつき方としては同じようになる、ということです。
論文の結論では「高負荷を扱えない人にとって、低負荷トレーニングは有効な代替手段になりうる」とありますので、
たとえば高重量が扱えない初心者の方や高齢者、あるいは怪我の回復中の方でも、
軽い重量は意味がないわけではなく、可能な範囲で、回数を増やして負荷をかけることで、筋肉をつける十分な効果が得られるということになります。
この研究は、トレーニング目的や体力に応じて柔軟に負荷を選べるという科学的根拠を提供したもので、
個人的には長年の疑問が解けたような気持ちです。
ということで、筋トレで筋肉をつけたい場合は「重量の重さ」よりも「限界までやり切ること」がポイントになります。
私のようにダンベルでもスクワットでも、一回一回の負荷が軽くても、
自分の限界レベルまでやることができれば、重い負荷と同じように効果が出ます。
重い負荷が苦手な方は、負荷が軽くても構いませんので、回数を増やして限界まで頑張ってみるのもおすすめですね。
※参考:
Comparable Strength and Hypertrophic Adaptations to Low-Load and High-Load Resistance Exercise Training in Trained Individuals: Many Roads Lead to Rome
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.04.28.650925v1.full


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