- 2025-8-17
- その他・雑談, メンタルの話, 仕事の話, 働き方・キャリアの話, 内省の話
こんにちは、中西です。
お盆休み中に普段あまり喋らない人たちとたくさん話をしたのですが、その中で印象に残ったことがありました。
一人はある経営者さんとの話。
知り合ったのは数年前の方ですが、この方に私が運営しているコーチングプログラムの概要を話の流れで伝えることになり、
最初に「コーチングってご存知ですか?」と念のため確認してみました。
私の中では当然9割以上の確率で知っているだろうと思ってはいましたが、その方とコーチングについて話したことは一度もなかったので、
知っている前提で喋るのもどうかと思い、念のための確認という感じで聞いてみたのです。
ところが「いえ、知らないです」と即答されて、数秒絶句してしまいました。
絶句してしまったのは、そういう返事が返ってくるとは想定していなかったからで、その方がご存じないこと自体は悪いことでもないです。
ただ私の中で「経営を長年されている方だし、従業員もおられるので当然知っているだろう」という前提で聞いてみただけだったので、意外な答えに一瞬返事ができなくなってしまった形でした。
もちろんその後はコーチングがどういうものかというのはざっくりと説明させていただきましたが、
私自身「コーチングというのは社会人なら大体誰でも知っているだろう」とどこかで思っていた節があったので、自分の見識や想像力の狭さを反省した次第です。
その数日後ぐらいに今度は学生時代の友人と話をしました。
また話の流れでコーチングプログラムの概要を伝える状況になったので「コーチングってわかる?」と聞いてみました。
この学生時代の友人は、ある都道府県の非常に高い役職を担っていて、超難関資格が必要な職業なのですが、おそらくその職業の中でもトップクラスの社会的地位だと思われます。
さらに海外でも仕事を同時にしている立場というのもあり、いろいろと詳しい人間なので、
「この友人はコーチングぐらいはさすがに知っているだろう」とは思いましたが、前回の件もあり念のため最初に確認してみたのです。
ところが、この友人の答えも「え、コーチング?知らんわ」でした。
私はまたまた絶句してしまい、また一からコーチングとは何かについてざっくり説明することになりました。
そして再び反省(。´Д⊂)
このメルマガの読者さんは、さすがに世間一般よりも高い確率でコーチングをご存じでしょうが、
世間一般的には、どうやらまだこの程度の認知率なのかもしれません。
私自身がコーチングを最初に知ったのは2000年代の初頭ぐらいでした。
その当時はコーチングの情報も少しだけあり、アメリカから入ってきてはいましたが、まだ導入している企業は稀な状況でした。
ただ私が入った会社がその業界で日本で初めてコーチングを導入した会社だったので、研修などもすでに受けていましたし、
どうやって会社の中でコーチングを実践していくかという勉強会なども行われてました。
その後に勤務した中小ベンチャー企業でも上司や社長から直接コーチングを受けていましたし、
さらに後に一時期派遣社員をやっていた時も、大手の誰もが知る会社でしたが、そこでもコーチングは導入されていて、私自身は上司からのコーチングを受けていました。
なので知識ベースでも実体験ベースでもコーチング歴は20年以上になりますし、
その後独立して自分でやり出してからも事業としてコーチングを行ってきました。
なので組織で実際に導入しているかどうかは別として、「コーチング」という概念や言葉自体は「もうほとんどの社会人が知っているだろう」ぐらいに勝手に思い込んでおりました。
ところが今回のお盆休みに立て続けに「コーチングを知っていそうな人」が、体験がないどころか「言葉すらも知らなかった」ことで、
私の中では軽いカルチャーショックのようなものがあったわけです。
こういうことは私に限らず、誰もが陥りがちな「認識の罠」だったりします。
コーチングは一例なのですが、こういう感じで自分が普段接している人や情報の中で認識を構築しているうちに、
いつの間にか狭い範囲で全体像を判断してしまい、判断を誤るということがあります。
この現象のことを「エコーチェンバー現象」とも言います。
これはたとえばSNSなどで自分と似た意見を持つ人ばかりをフォローしていると、自分の意見が反響して、そこに集まってくる情報が正しいと信じ込んでしまう現象のことです。
閉ざされた空間で音が反響する「反響室(エコーチェンバー)」のように、狭い範囲でいつの間にか自分の意見が強化されていって、他の意見が見えにくくなる状況を意味します。
自分のコミュニティに居続けると、それ以外の世界のことがだんだん分かりにくくなり、いつの間にか視野狭窄に陥ることも少なくありません。
例えば同じ高校の友人、同じ大学の友人、同じ会社の同僚、同じ職業の友人など、何らかの共通点があるからコミュニティとして成立しているわけですが、
その特定のコミュニティからの情報しか収集していないと、だんだん世の中のことがわからなくなっていきます。
その最も醜悪な形は与党(自公)の議員でしょう。
与党の議員は、同じ政治家や官僚、大企業の経営者や利権組織とばかり付き合っていて、ほとんど国民と絡まないため、
日本の一般庶民がどのような状況に陥っているか、どのような点に苦しんでいるか・不安を感じているか、がどんどん見えなくなっていきます。
その閉ざされた空間の中で政策を実行していくため、国民の感覚とはかけ離れた政策を次々と実行していく。その結果が、日本の30年の衰退につながりました。
これも一つの(最悪の形で表出した)エコーチェンバー現象、もしくは「認識共同体の罠」ということです。
とはいえ、この罠には、誰もが陥る可能性があります。
このリスクを回避するには、時々自分が普段いるコミュニティとは別のコミュニティ、別の世界の人と会話をするのが有効ですね。
ネットを使えばさまざまな業界を見られると思うかもしれませんが、これも錯覚であることが少なくなく、
自分の知っている範囲や関係している範囲内での情報アクセスしかしていないことが多いのです。
実はネットの莫大な情報の中でも、「自分の認識できる範囲内」でしか情報を収集できていないことがほとんどです。
まして近年のSNSやプラットフォームのアルゴリズムは、一度自分が興味を持った対象の「関連のもの」が次々と出てくる仕組みになっています。
YouTubeで特定の動画を見たらそれに関連する動画が大量に流れてきたり、
Xやインスタなどで特定の情報に触れていいねやブックマークなどをしていると、その関連の似たような情報が次々と表示されたり、
Amazonで特定の本を買ったら似たような本のおすすめばかりが出てきたりといった現象です。
これはユーザーから利益を得たいプラットフォーム側からすれば効率的なのですが、必ずしも我々ユーザーにとって効率的とは限りません。
その意味では、Amazonを利用するぐらいなら、時々大手の大きいリアル本屋さんに行く方がいいということになります。
あるいは大きくなくても街の本屋さんに時々行ってみる。ブックオフなどの中古本屋さんでもいいです。
私も時々行きますがリアルの本屋さんの場合は、普段自分が全く見ることもないようなジャンルの本にも比較的気軽に触れることができるため、
自分の思考や発想の幅を広げるきっかけになりやすいわけです。「想定外」の情報に触れられるので。
あるいはSNSでも「多様なジャンル」の人をフォローする。
YouTubeもおすすめ動画や登録したチャンネルの動画ばかり見るのではなく、
自分から普段見ないようなキーワードで検索して、それで出てきた動画を見るといったことで、ある程度以上対策も可能です。
要はエコーチェンバー現象に陥るリスクが常にあるという自覚があるかどうかがポイントになるかと思います。
その自覚がないと、極端な考え方に偏っていても、周りにそういう同じ考え方の人が多いので、それに気づきにくくなったりするわけですね。
先ほどと似た例でいうと、その典型は閉ざされた組織の中で「財政健全化が絶対正しい!」と信じ込んだザイム真理教の財務官僚でしょう。
彼らは財務省という組織の閉ざされた空間の中で学んだことが絶対的に正しいと思い込み、
現実を見るのではなく、その教義(理論)に現実を無理やり当てはめようとする人たちです。受験秀才の末路ともいえます。
これもエコーチェンバー現象の最悪のパターンです。
そこまで極端に最悪なパターンでなくても、このエコーチェンバー現象は誰でも陥るリスクがあるので、
最近「自分とは違う立場の人や、普段触れない変わった情報に触れていない気がする」という人は、
いつもとは全然違うジャンルの人・情報・作品などに触れてみると気づきは少なくないと思います。


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