- 2020-6-23
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こんにちは、中西です。
前回は「仮眠の姿勢」の話でした。今回もこの流れで睡眠系の話を。
何か嫌な出来事があったときに、よく
「嫌な事は寝て忘れよう!」
というふうに考えて寝て対処する人がいます。
確かに起きているといつまでもその嫌なことを想い出してしまいそうですし、寝れば意識がなくなるので忘れられるような気がします。
ところが最近の研究で、
「嫌なことがあった後に寝ると、むしろ逆効果になる可能性がある」
ことが判明しました。
「逆効果」と言うのは、その記憶が強まって頭に刻み込まれてしまう、と言うことです。
嫌なことを忘れられるかどうかは集中力にも少なからず影響しますので、これは集中力の観点でも覚えておきたいところ。
マサチューセッツ大学で、年齢18-30歳、女性68人・男性38人の計106人を対象に行われた実験で、
まず最初にいろいろな種類の写真を見せて、その時の感情の反応と興奮・覚醒状態を9段階でチェックしてもらいました。
この9段階と言うのは「幸福な気持ち、嫌な気持ち、悲しい気持ち、平静、興奮」といった内容です。
その後被験者は2つのグループに分けられて、
1つのグループは12時間起床したまま、もう一方のグループは12時間のうちに睡眠をとりました。
それで12時間後に記憶のチェックを行ったところ、
嫌な気持ち・悲しい気持ちを感じた写真の記憶率は、起床していたグループより睡眠を取ったグループの方が高く、
さらにその気持ちの情動反応も、同じく睡眠を取ったグループの方が維持・保存率が高いことがわかりました。
つまり一言で言うと
「嫌なことがあった後に寝てしまうと、忘れられるのではなく、むしろ記憶に定着してしまう可能性が高い」
と言う事になります。
これは記憶と睡眠の関係を考えれば当然とも言える結果で、
近年の研究で人間の脳というのは睡眠をとることで、それ以前の記憶を整理し定着させる機能があることが判明しています。
たとえ嫌な記憶であっても、睡眠をとるとその記憶も定着してしまうと言う事ですね。
したがって記憶のメカニズムを踏まえて考えるなら、嫌なことがあった場合は、寝るのではなく何か別のことをすればいい、ということになりそうです。
特に印象的な新たに記憶に残りやすいことを経験すれば、相対的に嫌な方の記憶が薄まっていく可能性があります(これは私の見解)。
ただし日常的ないつもやっていることを行っても記憶に残りにくいので、本気で嫌なことをできるだけ記憶から消したいなら、
なるべく日常から離れた「非日常の状況」の方がいいでしょう。
例えば映画を見に行ったり、普段あまり行かないようなカフェやファミレスに行って、普段あまり読まない本や漫画を読んだり。
普段行かないカラオケで歌ったり、普段行かない自然のある場所に行ったり。
ちょっとしたことでも非日常の経験を積むことでそちらの記憶が残りやすくなります。
「傷心旅行」なんていう言葉もありますが、上記の脳のメカニズムをふまえると、
失恋して心が傷ついたときに非日常の典型である「旅行をする」というのは、理にかなっていると言えるわけです。
極端な話、その嫌なことがあった後に、人生で1度あるかないかのとんでもなく素晴らしい出来事が立て続けに起こったらヽ(´∀`*)ノ
そっちの新しい記憶の印象の方が強く残って、嫌な記憶も相対的に薄れていく可能性が高まります。
そう考えると、この場合に1番良くないのは、新しい経験を何もせずに、ぐだぐだとそのことばかり考えたり、寝て忘れようとすることですね。
そういう時はなかなか普段と違うことをする気持ちにならないこともありますし、
また状況によっては静かに何もしないほうがエネルギーが充電されることもあると思います。
しかし解決方法としてよく言われる「嫌なことは寝て忘れる」と言うのはあまり効果がないと考えられますので、
そういう状況に陥ったときはこの話を思い出してみてほしいと思います。
そういう気持ちをいつまでも抱えたままだと、集中力もなかなか高まりませんからね。
メンタルと集中力は密接に関係しているので、こういった形で「メンタルをケアするコツ」も、事が起こる前に覚えておくのが重要になります。
それではまた。