- 2015-11-6
- おすすめ記事, 効率的な勉強法~中上級編~, 過去問の勉強法
こんにちは、中西です。
今回は、高3の受験生から
届いた質問に回答します。
同じような悩みを持っている人も
多いかと思いますのでご紹介。
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こんにちは。現在高校3年生のMです。
質問させていただきたい事が
二つあります。
まず一つ目は、
これからの勉強の仕方として、
新しい参考書に手をつけない方がいいのかどうか、
ということです。
私は、今まで第一志望のA大学に
特化したような参考書をやっていませんでした
(それなりのレベルの「○○○(参考書名)」はやりました)。
なので、これからは
そういう参考書をやった方がいいのか、
それとも今までやってきたものを
繰り返しやる方がいいのか悩んでいます。
二つ目は、これから赤本を解いていく上で、
自分が受けようと思っている大学だけでなく、
同じレベルの受けようと考えていない大学の
赤本も解いた方がいいのかどうか、
ということです。
長くなりましたが、
答えてくださるととても嬉しいです。
ぜひお願いします。
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・・・という質問になります。
では、以下が私の回答です。
<一つ目の質問への回答>
私が感じたのは、本来なら自分の状況を冷静に見つめて個別に判断しなければならないことを、「パターン」として認識しようとしていて、
そのパターンに当てはまる回答を探している点が根本的に少しズレてしまっているように感じます。どうもベースとなる思考の部分に課題があるように思うのです。
つまり「もうこの時期だから」とか「新しい参考書だから」と言った理由で、「この時期に新しい参考書をやるべきなのか、やらないべきか」と判断しようとしている思考パターン自体が違うということです。この意味、わかるでしょうか。
たとえば、その検討中の「新しい参考書」がどういうものかにもよるのです。「新しい参考書だからダメ」ということにはなりえません。
たとえば、「この時期」であっても、受験に重要な分野をまだマスターできておらず、その分野を短期間でマスターできる薄い参考書であれば、
「この時期」に「新しい参考書」を買ったとしても、
【 本番までに完璧にやり終わる見込みがあるなら 】、
その参考書をやってもいいのです。
ようするに、その人の状況やその参考書の内容によるので、一概に「この時期に新しい参考書を買ってはいけない」などとパターン的に断言することは出来ないということです。
ただし、考え方のポイントはあって、それは上にも書きましたが、その参考書を
【 本番までに完璧にやり終わる見込みがあるかどうか 】
です。この点を考えてみてください。
(当たり前ですが)それが本当にやらないといけない参考書であり、かつ、本番までにそれをしっかりと完璧にやり終わる見込みがあるなら、やった方がいいわけです。
もちろん、参考書の最初から最後まで全部やる必要は必ずしも無いので、他の参考書ではどうしても補えなかった必要なページだけを完璧になるまで繰り返しやる、ということでも構いません。
一番大事なのは、参考書というのは完璧になるまで繰り返さないと意味がない、という点です。中途半端にやるくらいなら、やらない方がいいと思います。時間が無駄になる可能性が高いから。
もし今までやってきた参考書が、まだ中途半端なのであれば、それを本番までに完璧になるほど繰り返さないといけません。
その参考書を完璧にやったら、その科目(分野)の対策としては十分なのか、あるいは、もう1冊やらないと対策としては不十分なのか。
それを見極め、もう1冊買うのであれば、その新しい参考書(orその中の試験対策として必要なページ)を本番までにしっかり完璧にやれる可能性があるどうかを考えてから、購入してください。
結果的に完璧にやり終われるかどうかは別として、現時点でどう考えても本番までにやり終われない可能性が高い参考書を買っても、それは時間を無駄にすることになりますから。
いずれにしろ、途中までやっているものを、途中で終わらせるのは一番もったいないので、それが本当にやるべき参考書なら、しっかり繰り返しやり込むことは必須です。
まとめると、試験までの残り日数と、他の科目の勉強にかかる時間もざくっと見積もり、
1、途中までやっている参考書を完璧に仕上げる時間
2、1の時間+新しい参考書を完璧になるまで繰り返す時間
という2つの時間を検討してみてください。
1は必須の時間ですので、2の新しい参考書をしっかりやれる時間があるのかどうかの検討と、その新しい参考書をやった場合に、試験の点数にどれくらいプラスになるか(大まかでもOK)。
それを総合的に考えて、やるかどうかを判断してください。
<二つ目の質問への回答>
二つ目の質問は、再度確認しますと、
「自分が受けようと思っている大学だけでなく、
同じレベルの受けようと考えていない大学の
赤本も解いた方がいいのかどうか」
というご質問。
この質問も、一つ目の質問と同じで、自分の状況に合わせて考えるべきものを、「パターン」に当てはめて答えを探し出そうとしている点が、根本的に間違っているように感じます。
一つ目と二つ目は内容的には別の質問をしているのですが、ベースとなる「問題解決のための思考」の部分(が間違っているという点)で、2つの質問は共通しているのです。少なくとも私にはそう感じられます。
突き放したように聞こえるかもしれませんが、この質問の回答は、ものすごーく簡単にいえば、「自分の状況と残り時間をよく考え、自分の頭で考えろ」というのが答えですm(_ _)m。
理由はもうそのまま、「自分で考える以外に、答えは出ないこと」だから。Mさんは、そんな自分で考える以外にないことを、Mさんのことなど何も知らない他人の私(中西)に質問してしまっている、ということです。
たとえば、なぜ「同じレベルの受けようと考えていない大学の赤本も解いた方がいいのか」と思ったのでしょうか。その疑問が頭に浮かんだ理由・過程を、よく考えてみてください。
ようは、最終的に、自分の志望校の試験本番で、合格できるレベルまで問題を解けるようになればいいわけです。難しい話ではありませんね。
受験勉強とは、その「合格レベル」に達するために、必要なこと・効果の高いことをやっていくだけのことです。
当然、やってもそれほど試験の点数に結びつかない分野の勉強・時間対効果(かけた時間に対する効果の高さ)が低い勉強などは、優先順位を考えれば、受験勉強から排除すべき可能性が濃厚になります。当たり前ですね。
質問の「同じレベルの受けようと考えていない大学の赤本」というのも、「同じレベル」というのが、どの程度「同じ」なのかにもよりますし、「レベル」とは何かにもよります。
たとえば偏差値が「同じレベル」だからといって、試験の出題傾向が似ているとは全く限りません。傾向が似ていないのであれば、それをやる必要があるのかどうかなんて、言うまでもないわけです。
逆に出題傾向が志望校と似ていたとするなら、たしかに時間があるならやった方がベターかもしれません。
が、志望校の過去問をやる時間や、やりかけの参考書・問題集を完璧にやり切るという最重要事項を差しおいてまで、その「同じレベルの受けようと考えていない大学の赤本」をやるために時間をさく価値があるのかどうか、です。それを考えてみてください。
やるな、と言っているわけではなく、他の優先順位の高いやるべき勉強(志望校の過去問、やりかけの参考書・問題集)をいったん脇においてでも、その「同じレベル」というだけで受けもしない大学の赤本の問題はやる価値があるのか?ということです。この基準で考えて判断してみてください。
あなたの状況や赤本の内容によっては、「この赤本は志望校と傾向が似ているな。少し時間をとってでも、やっておいたほうが良さそうだ」という判断になる場合もあるでしょう。
しかし、参考までに個人的な経験則を最後に伝えておくと、併願校(いわゆるスベリ止め校)ならまだしも「受けもしない大学」の赤本を、他のまだ残っている大事な勉強を差し置いてまでやる意味も、やる時間的余裕も、ふつうはあまり無いことが多いです。
ただし、自分の志望校の過去問の数が異常に少ない場合とか、その志望校の試験傾向にふさわしい問題集が全然無い場合は、苦肉の策として「同レベル」の「受けもしない大学」の過去問をせざるを得ない状況もあるかもしれません。しかしそんなことは、他人の私に分かるわけが無いのです。
以上をふまえて、あなたの場合はどうでしょうか・・・ということです。考えてみてください。自分の頭で。本当にしっかり考えれば、絶対に自分で答えは出せるはずです。
長々と書きましたが、今回の一番のポイントは、
「自分の状況と残り時間を考慮して、自分で考えましょう」
という点です。
必ず1つの答えが用意されていて、すぐに解答を見れば答えがわかる。これが受験です。
そんな作業にドップリ浸って、そんなパターンで問題を解いていくことにずっと脳が慣らされてしまうと、自分で考えようとする習慣がなくなり、何でもすぐに答えを誰かに聞こうとしてしまう思考習慣が出来上がってしまうと。さらにそんな思考習慣が出来上がっていること自体に気づいていない場合も多いと。
ある意味で、これは教育が長年抱えている問題です。「答えは必ず1つある」「答えはすぐに誰かに教えてもらえる」といった悪い意味での受験脳の思考パターンが、皮肉にも、その受験自体の足かせになってしまうということです。ああなんて・・(。´Д⊂)
身も蓋もないように聞こえるかもしれませんが、上に書いた回答くらいは、受験生でも自分で少し考えれば、答えが出るようなことしか書いてませんからね。
前にも書きましたが、あなたの状況は、世界中であなたにしかわかりません。
よって、「自分の頭で考える」癖を付けておかないと、本番までのどこかの時点で判断を誤り、高い確率で本番までに足元をすくわれてしまうのです。
今の3倍くらいのイメージで「自分の頭で考える」癖をつけることを心がけて行ってください。
結局、ヘタな一般論や一般的なテクニックを知るだけよりも、「自分の頭で突破口を考えること」が最強の受験勉強法なのですから。
それではまた。
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