- 2025-3-27
- 睡眠効率アップで集中力UP
こんにちは、中西です。
前回、前々回と「昼寝のメリット」についての研究をご紹介しました。
前々回は、「昼寝をすることで問題を解く力(問題解決力)が高まる」というテキサス州立大学の研究。
前回は、「昼寝をすることで老化スピードが遅くなり、習慣化することで約3年から6年老化スピードを遅らせる」ことができるという、イギリスの大学の研究でした。
この流れで今回は、同じく昼寝(仮眠)における有効性の高い寝具や姿勢について調査した国内の研究をご紹介したいと思います。
結論から言いますと、
【 仮眠においてはビーズソファーを利用することで、仮眠にとってベストな姿勢になり、睡眠効率が高まる 】
ということが判明しました。
※参考「仮眠におけるビーズソファの有用性」(早稲田大学)
https://www.waseda.jp/fsps/sps/news/2022/05/13/5642/
これは早稲田大学の研究ですが、
「どんな寝具(ソファー)と姿勢が昼寝に一番いいか」
というテーマで、特にビーズソファーに注目して、昼寝中の体や心への影響を調べたようです。
もともと昼寝は集中力や疲労回復に良いと多くの研究で判明していましたが、一方で
「どんな姿勢で、どんな寝具で仮眠をとるとベストか」
という点は、あまり研究されていなかったようです。
夜の睡眠にも「質の高い睡眠」と「質の低い睡眠」があるように、
仮眠にも「質の高い仮眠」と「質の低い仮眠」があるというのは容易に想像できます。
今回の研究は、それを寝具と姿勢という観点で調べたものになります。
実験内容は、健康な若い男性14人を対象に、同じ人にビーズソファーとウレタンソファーの両方で昼寝をしてもらう方法を取りました。
ちなみにビーズソファーとは何かというと、ソファーの中に発泡ビーズ(細かいプラスチックの丸い粒)がたくさん入ったソファーのことです。
このビーズソファーに座ったり寝転がると、ビーズが体の形に合わせて変形し、流動的に動くタイプのソファーになります。
ぴったりフィットしますし、圧力も分散されやすく、感覚としてはふわっと包まれるような感覚もあるのがビーズソファーの特徴です。
沈み込むような状態になりますが、柔らかすぎず、しっかり支えてくれる感じで、
家庭用のソファーとしてだけでなく、オフィスのリラックススペースや、最近では仮眠室や休憩室のような場所でも使われ始めているようです。
このビーズソファーとウレタンソファーの両方で同じ人に昼寝してもらい、脳波や筋肉の緊張、心拍(自律神経の働き)などを計測しました。
その結果、ウレタンソファーに比べてビーズソファーの方が首の筋肉の緊張が低く、リラックスできていること、
またストレスの指標も低い値でリラックスできていることが分かりました。
一方、睡眠の深さについては、両者で差がなかったようです。
つまり、ビーズソファーは「リラックス効果が高い」ということがデータの測定で判明しました。
理由としては、体の形に自然にフィットするので首や背中に負担が少なくなること。
また、姿勢を保ちやすいため、深すぎない、ちょうど良い眠りがとれることが仮眠に合っているようです。
一方でリラックス度は高いため、心も体も緊張がほぐれやすいという特徴があります。
したがって、昼寝や仮眠をとるのであれば、ビーズソファーは仮眠の睡眠効率を高める上で非常に効率が良いということになるわけですね。
今回の研究は、最初にお話しした通り、「どういった寝具が良いのか」という観点と、
「どういった姿勢が仮眠効率アップにつながるか」
という点も研究テーマになっていました。
その点で言うと、ビーズソファーは姿勢が仮眠にちょうど良かったようです。
自然な斜め45度ぐらいの、仰向けと座っている状態の中間くらいの角度の姿勢になっていて、
首・肩・背中への負担が少なく、筋肉の緊張も少ない状態を保ちながらもリラックスできて、副交感神経が優位になり、
睡眠の質も深すぎず浅すぎず、ちょうど良い状態になるというのが、ビーズソファーの姿勢が仮眠に合っている理由とのこと。
一方でウレタンソファーは姿勢が崩れやすく、首に負担がかかる傾向があるため、仮眠中でも筋肉がやや緊張して、リラックスしにくい状態だったようです。
結論として、仮眠に向いた良い姿勢というのは、
背中を45度ぐらい(座面と背面の角度が135度くらい)にして、通常の座っている角度よりもかなり傾けた状態で、半リクライニングのような姿勢を保つのが良いということになります。
そうすることで、首・背中・お尻が自然に支えられて無理がない体勢になり、リラックスもできて、睡眠も深すぎず浅すぎず、ちょうど良くなるようです。
ビーズソファーはこの姿勢を無意識に取りやすいポーズになっているとのこと。
ただ、これはビーズソファがいいというより、ビーズソファだと仮眠にベストな姿勢になりやすい、ということだと思いますので、
この姿勢を保てるなら、別の寝具・器具でも良いわけです。
実は私も仮眠をとるときは、リクライニングチェアで、まさにこの研究で仮眠効率が良いとされた姿勢をとっていたので、ちょっと驚きました。
興味のある人は、リンク先のビーズソファーに寝転がっている男性の写真を見てみてください。
私が普段使っているメインの椅子は、背もたれを180度まで倒すことが自由にできるので、135度よりたぶんもう少し傾ける感じです。
水平にしてしまうとがっつり眠ってしまうため、水平より少し傾けた状態で、足は伸ばせるようにしています。
椅子の近くのソファーに足をかけるか、椅子についている「オットマン」という足を伸ばすための器具があるので、それらを利用して足も伸ばして仮眠をとっていました。
科学的にも、どうやら私がやっていた仮眠の姿勢はベストだったようです。
ということで、昼寝や仮眠に向いた寝具としてはビーズソファーになるようですが、
ビーズソファーでなかったとしても、同じような姿勢を保てるのであれば、ほぼ同じような効果を得られると思いますので、
ぜひ「仮眠効率が高まる姿勢」で仮眠をとることも意識してみてほしいと思います。