- 2023-11-21
- 受験を突破する健康管理術, 受験を突破する生活習慣術
こんにちは、中西です。
前回は、「腰痛はウォーキングで改善・予防できる」という話でした。
勉強や仕事に長時間取り組んでいると、腰痛のリスクが高まります。
それを予防し、腰痛になった時に改善できるのがウォーキングでした。
今回は、この流れで「腰痛と姿勢」について考えてみます。
一般的に「姿勢が悪いと腰痛になる」と思われています。
しかし、結論から言いますと、
【 「腰痛の原因は姿勢が悪いから」というのは、単なる思い込み 】
である可能性が高そうです。
海外の理学療法士のグループが、医学雑誌に論文を発表しています。
▼“Sit Up Straight”: Time to Re-evaluate | Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy
https://www.jospt.org/doi/full/10.2519/jospt.2019.0610
以下の公益財団法人も、同様の見解を発表しています。
▼姿勢を“直す”と腰痛予防になる?|公益財団法人 明治安田厚生事業団
https://www.my-zaidan.or.jp/health-watch/detail.php?id=9b85716610bd8922171d5991a99bd442&tmp=1695268831
まず、「腰痛は姿勢が原因である」という医学的証拠は無いようです。
個人的には、この時点で結構驚きです。関係ないんかい!と(゚д゚;)
むしろ、海外では、
【「姿勢の良し悪し」と腰痛には関係がない 】
と言う見解が広がっているとのこと。上記の記事では、
「猫背は腰痛になりやすい」
「背筋を伸ばした姿勢は腰痛になりにくい」
といった一般的な考え方も否定されています。
腰痛に関しては、特定の「正しい姿勢」を維持しようと頑張るよりも、
【 なるべく体を動かす 】
ようにして、必要に応じて姿勢を変える方が良いようです。
つまり、「姿勢の正しさ」の問題ではなく、
「長時間じっと同じ姿勢で動かないこと」
が最大の問題だということ。
確かに座っている状態は、立っている状態よりも、腰にかかる負担が10倍のようですが、
だからといって、ずっと長時間同じ姿勢で動かず立っているのも腰には良くない、ということなのです。
念のため、腰痛と姿勢が関係ありそうな研究がないか調べてみましたが、私が探した限り見当たりません。
唯一以下のような国内の論文がありました。
▼大学生の腰痛経験の有無と姿勢の改善意識との関連性について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_C-86_1/_article/-char/ja/
▼同じ方の腰痛に関する理学療法士に対する調査研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/36/6/36_807/_pdf
一見、腰痛と姿勢が関連しているような研究なのですが、よく読むと、
腰痛と「姿勢」の関係ではなく、
腰痛と「自分の姿勢認識」の関係
の研究でした。
つまり自分の姿勢が悪いと自分自身が感じているかどうかと、腰痛の関係性を調べた内容です。
「自分の姿勢は良くない」
という“自己認識”と腰痛には相関が見られても、
それは「腰痛の原因は、姿勢の悪さ」ということにはなりません。
被験者たちが、一般的に誰もが考えている思い込みで「自分の腰痛は姿勢が悪いから」と考えている場合も、この研究では腰痛との関係性があることになります。
論文の結論にも
「腰痛経験者ほど、自分自身の姿勢認識が悪いことがわかった」
とありますので、あくまで自分の姿勢に対する「認識」と腰痛との関係の研究でした。
この研究はこれで意味があるのかもしれませんが、「腰痛と姿勢の悪さ」の因果関係を証明したものではありません。
というわけで、私たちは腰痛は「姿勢の悪さ」が原因になっていると考えてきましたが、
どうやら、姿勢の悪さではなく、
「動かないこと」
が、根本的に腰痛の原因になっている可能性が高そうです。(スポーツや重労働での腰痛を除く)
腰痛を予防するなら、「正しい姿勢」にこだわるのではなく、長時間じっと座り続けるのをやめ、
前回ご紹介したウォーキングを始め、
【 なるべくこまめに体を動かす 】
ようにした方が良さそうです。