こんにちは、中西です。
試験の本番でそこそこ複雑な問題を解い
ているときに、途中で
「この解き方で本当に大丈夫か?」
と思うことがあります。
解き方にちょっと不安を感じたり、
なんとなくどこかがおかしい気がしたり。
この嫌~な直感は単なる気のせいの場合も
ありますが、実際に解くプロセスでどこか
おかしなことがあって、
それを脳が潜在意識レベルで敏感に察知して、
嫌な感覚を抱かせることも少なくありません。
以前、将棋の羽生善治さんが「直感は7割
くらい当たる」と何かの本でおっしゃって
いましたが、
私が受験生のときも問題を解いているとき
のこういう嫌な予感はわりと当たることが
多かったです。
ところがそういった嫌な予感がしても、
問題を解いているまっ最中は、脳がその思
いついた解法プロセスに没頭しているため、
「どこが間違っているのか」
に気づけないことがよくあるのです。
この場合、解法における悪い意味での
“思い込み”のようなものが発生していて、
「この問題は、このプロセスで
解いていくのがいいはず!」
と一度思い込んでしまったせいで、その
解き方の落ち度や穴が見えなくなっている
ことがあります。
ようするに間違った方角に行ってしまった
ために、問題を解きながら
「何かちょっとおかしい気もする」
と心のどこかで感じつつも、その方角に
向かって走っているため、自分の状況を
客観的に見れなくなっているのです。
この状態で、たとえば見直しをしたとしても、
自分の間違いに気づきにくいことが多いです。
なぜなら脳が間違った解法モードに入っていて、
その間違ったフィルターを通して見直しを
してしまっているからです。
結果、「何かおかしい気もする」とどこか
感じつつも、自分の間違いには気づきにく
くなります(・・;)
この状況に陥ったときに自分の間違いに
気づくためには、
「しばらく時間を空けてから見直す」
のがコツです。
何かおかしい気がする。
けど、どこがおかしいかわからない。
この場合、そのままの脳のモードで考え
続けても間違いに気づきにくいので、
いったん別の問題を解いてみるわけです。
そうして別の問題を解いているうちに、
脳がそっちに気をとられ、元の問題から
一度意識が離れます(←ここ重要)。
できればそれを2つ3つ続けて、しばらくの間、
「何かおかしい」と感じた問題から
脳を引き離してしまうわけですね。
その間、脳は元の問題のことを一度忘れて
しまいますので、そのリセットされた状態
で、もう一度、元の問題を見直してみます。
すると不思議なことに、さっきは気づかな
かったその問題の解き方の間違いに気づい
たり、正しい解き方を思いついたりするこ
とがあるのです。
この方法論は「記憶の定着率」を高める
ときも同じ要領。
記憶の定着率を高めたい場合も、
ずっと覚えたいことに接し続けるより、
「いったん忘れてから、再び触れる」
と長期記憶に残りやすくなる、
という脳の性質があります。
画期的なアイデアを思いついた人の話を
聞いても、
「何時間も考え続けたあと、
いったん休憩のために外に出て
そのことを忘れたあとに、
再び考え始めたら急にアイデアを
思いついた」という話が多いです。
私自身の経験を振り返ってみても
この話はよくわかります。
私の場合はアイデアもそうですが、
一番よくあるのがこのメルマガを
含めた「文章の執筆」のとき。
一度書き上げた文章は、その書いた
直後にもう一回読み直しても
脳がその文章に没頭しているままの
モードなので、文章のアラが見えてきません。
ところが、書き上げたその文章から
一度離れて別の作業をしたあとに
再度文章を見直すと、
その文章を初めて読む人の感覚に近い、
新鮮な気持ちで読めるようになり、
文章のおかしな点が発見しやすくなるのです。
これらの話を総合的に考えると、どうやら
「一度没頭したあと、いったん忘れて、
再び元に戻ったときに、うまく行く」
というのが、脳の性質であり、脳をうまく
活かす成功パターンである可能性が高そうです。
というわけで、試験のまっ最中に
「何かおかしいかも(・・;)」と感じるのに
どこがおかしいのか分からないときは、
いったんその問題から離れてみてください。
しばらく別の問題を何題か解いたあと、
元の問題に戻ったときに、
没頭しているときには気づかなかった
問題点や解決策に気づくことが少なく
ありませんので。
それではまた。