こんにちは、中西です。
本日は日曜日ですので、雑談系ネタで。
(このブログ・メルマガは日曜日は雑談系になることが多いです)
11月26日放送の「林先生が驚く 初耳学!」(TBS系)で、東進ハイスクール講師の林修先生が「ネット検索ばかりしているとバカになる」というテーマの話をされたそうです。
私はこの番組は見てなかったのですが、ある記事でこの話を読んで、確認のためYouTubeで実際の番組も観てみました。
その内容をまとめると以下の通り。
▼筑波大学大学院の逸村教授の実験
「読書時間が毎日ゼロの学生」→ほとんどコピペで論文を作成
「読書時間が毎日2時間の学生」→論文になっていた
▼東京大学教養学部で、学生から提出されたレポートの文章の約75%がネットからのコピペだったことが判明
以上の話を元に、「ネット検索」に対する林先生の見解としては、
▼コピペに慣れすぎると、情報の取捨選択をする際に「読みやすいものは拾う、難しいものはカットする」となりがち。
▼集めてきた情報を適当につなぐ頭になってしまうと、論理的な思考はできない
▼文章の論理展開には熟練の技術が必要
▼論理的な思考力を養うためには、「本を読むこと」が重要
・・・とまあこんな話でした。
結論からいうと、私の意見としては「本を読むことが重要」なのは激しく同意ですが、「論理的な思考力」と「ネット検索」は関係ないのではないか、ということです。
上のまとめを読むと分かるとおり、林先生が「論理(論理的思考力)」というものを非常に重視されていることがわかります。
いかにも現代文の先生らしいといえばそうですが、「論理的な思考力」が重要だという話と、「ネット検索ばかりしているとバカになる」という話が、私の中でどうもつながりません。
「毎日2時間読書をする学生」の論文は、しっかり論文になっていたのは、「論理的な思考力」があったのが要因というより、単に「知識の総量」が原因ではないかと思うわけです。
また「ネット検索ばかりしているとバカになる」という話にはかなり疑問があります。
この番組では「ネット検索」という行為と、東大生の「コピペ問題」を完全に同一視して話が展開されていましたが、この2つは別々に考える必要があると思うのです。
「ネット検索」するからといって、「コピペ」をするとは限りません。「コピペ」を一切しない人間でも、今時「ネット検索をよくする」ことなど普通にあるからです。
正直、この2つをごちゃ混ぜに扱っている時点で、個人的にはあまり参考にならない話のように思います。
そもそも東大生はいい意味でも悪い意味でも要領が非常にいいので(要領がいいから東大に入れる)、「時と場合に応じて、ネット検索(&コピペ)をするときと、そうでないときを使い分けている可能性」も十分考えられます。
つまり「東大生がネット検索ばかりしてバカになった」のではなく、(いいか悪いかはさておき)極力要領よく(最低限の労力で、手を抜いて)レポートをこなそうとしている可能性です。
レポートは、残念ながら「コピペで対処すればいい程度のもの」と東大生に認識されているのではないかということです。
もっといえば、「学校に出すレポートなんて、その程度に適度に手を抜いてやればいい」と、“受験勉強で要領を極めた東大生らしさ全開の判断基準”をベースに、要領よく最低限の労力でレポートを提出しようとして、その結果、75%が「ネット検索」を使ったのではないかということです。
もしそうだとすれば、「ネット検索ばかりすること」が原因ではなく、かなり深い大学の構造的な問題がことの真因の可能性が高くなるわけですが、この詳細をここで考察するのは面倒くさいのでバッサリカット<(_ _)>
私がこの話で一番強調したいのは、「本を読むことが重要」だという点です。
林先生は、番組で「本を読むこと」が「ネット検索ばかりすること」より重要な理由として、現代文の先生らしく「(ネット検索だけでは)論理的な思考力が養えないから」という説明でした。
正直私は、なぜ「読書で論理的な思考力を養う」ことがそれほど重要なのかよくわかりません。読書を毎日のように継続していなくても「論理的な思考力」くらいは養えるのではないかと思うからです。また、「ネット検索」と「論理的な思考力」が関係している話もピンと来ません。
しかし、結論的には、林先生の見解と同じように、私は「ネット検索ばかり」して「本を読まない」人はダメだろうと思っています。
その最大の理由は、「論理的な思考力」などは関係なくて、インプットする情報の「緊急性と重要性」で説明がつくからです。「ネット検索ばかり」していると、このバランスが崩れることになります。
「ネットで検索する」という行為は、「今すぐ回答がほしい」と思ったことを調べる行為であり、それは「緊急性が高い」情報だということです。
もちろんそれが自分にとって重要なテーマのこともあるでしょうが、「検索」はあくまで「今すぐ回答がほしい」という“緊急性が高い”情報を調べることが大半です。
つまり、「ネット検索ばかりしている」人というのは、常に「今すぐ回答がほしい緊急のネタ」ばかりを拾っていることになります。別の言い方をすると「目先の情報」ばかり集めているということです。
ということは、検索から拾える情報には、「緊急性は無いけど、自分の人生にとって長期的に重要になる情報」はほぼ含まれないのです。
「ネット検索ばかりしている人」の話が薄っぺらいとしたら、その理由はここにあります。
「ネット検索ばかりしている人」は「論理的な思考力」が養えていないからバカになるのではなく(そういう側面もあるのかもしれませんが)、検索ばかりして「緊急度が高い今すぐ必要な情報」ばかり入手し、「緊急度は低いが、自分の人生にとって重要度が高い情報」をじっくりインプットすることを長期にわたりすっ飛ばしているから、薄っぺらいバカになっちゃうヽ(゚▽゚)/ということです。
「本をよく読む人」が「ネット検索ばかりする人」に長期的には勝つ可能性が高い理由は他にも複数ありますが、「論理的な思考力」の有無というより、(頭にインプットする情報の)「緊急度・重要度の情報量の違い」で十分説明がつくのではないかと思いますね。
それではまた。