- 2017-5-19
- おすすめ記事, その他・雑談, 受験が終わった後について, 受験の意味を考える
こんにちは、中西です。
先日、NPO法人ほっとプラスの代表理事で、
ベストセラー「下流老人」の著者でもある
藤田孝典さんが今年出版した
と言う本を読んだのですが、実に怖い本でした。
簡単にいうと、今現在、日本中で広がって
いる貧困問題の現実にスポットを当てた本です。
今の日本では、餓死するような生命維持で
精一杯の「絶対的貧困」は存在しないわけ
ですが、
健康で文化的・人間的な生活が送れない
「相対的貧困」というものが激増している、
という話。
「若者の貧困」「中年の貧困」
「女性の貧困」「老人の貧困」
といった章立てで、実際にこの国で起こっ
ている貧困の事例と、各人の収入や多数の
データを駆使して、かなり詳細に分析されていました。
私自身の学生時代や社会人になったあとの
えぐい貧乏経験や、これまで見聞きしてき
た話ともかなりリンクする部分があり、
リアリティがめちゃくちゃありましたね。
恐怖心をあおるような本ではなく、膨大な
数の普通の人の事例(つまりどこにでもい
る人の貧困の実態)だけを、
淡々と、しかし丁寧にわかりやすく紹介し
ている本だけに、よけい怖かったです(;゚ロ゚)
900円(税別)の本ですが、非常に事例が
豊富で、きわめて密度の濃い本だと思います。
アルバイトや非正規労働の話、ニート・引
きこもり、高学歴プアの急増、資格難民、
ブラック企業・保育・シングルマザー・
生活保護などの話、奨学金や各種社会保障
制度の話、お金に困ったときの対処法・相
談窓口なども多数紹介されているので、
こういったテーマに興味のある方は
一読をおすすめします。
個人的には、高校生はやや微妙ですが、
これから社会に出る大学生はもう必読レベル、
教育関係の方にもぜひ読んでほしいと思う本でした。
本題へ。
冒頭で藤田氏の本「貧困クライシス 国民
総『最底辺』社会」を絶賛しましたが、
実は、この本の内容にやや疑問というか、
多少の違和感もありました。
現在の貧困の膨大な事例と、貧困になった
場合にどういう支援を受ければいいか、
どんな公的サービスがあるかなどが網羅さ
れ紹介されているので、本当に良書だと思
うのです。が、一方で
「有給休暇を取ろう」とか
「権利意識を持って将来の年金受給額をチェック」とか
「最低賃金が1,500円になるよう選挙で声を上げよう」
という話があり、著者自身も最低賃金を
1,500円にするためのデモに参加されてい
たりするのですが、個人的にはこの点には
どうも違和感があったのです。
とくに「最低賃金が1,500円になるように
選挙で声を上げよう」というくだりは、
かなり違和感がありました。経営者の方な
らこの違和感は全員わかっていただけると思います。
たしかに私も大学時代に時給が750円だった
ときは、時給1000円が“大台”でしたし、その頃は
「いつか夢の時給1500円になりたい(。´Д⊂) 」
などと、仕事をしながら毎秒思っておりました(←仕事しろ)。
なので最低賃金を1500円にするよう訴える
気持ちも、痛いほどわかる部分があります。
しかしその数年後に考え方が変わったので
上記のような訴えやデモには違和感しかありません。
その違和感の正体は何かというと、
「会社が時給1500円を自分に支払うだけの
価値がある仕事を、自分は出来ているか」
という視点が欠けている点です。少なくと
も今の私にはそう見えました。
なんとなく藤田さんは大学卒業後にどこか
の企業で勤務されたご経験が無い方ではないか
と思ってプロフィールを見てみたのですが、
そういった経歴はとくに書かれていませんでした。
学生時代から続けておられた社会的弱者の
支援活動を卒業後も継続された形のようです。
私自身は「給料」と「自分の労働」に対す
る上のような考え方(自分は給料分の仕事
をできているのかという考え方)を、ある
ベンチャー企業に勤務しているときに社長
から教えていただいて以来、
どこかに雇用されている(or仕事を請け負
っている)ときはその考え方が頭から離れた
ことがありません。
かりに時給1500円もらっているなら、諸々
含めると、実は1時間に3000円分ほどの貢献
を会社にしないと、会社は赤字なのです。
それ以下の労働しか出来ていない人間なのに、
それでも雇ってくださるなら、実は本当に
ありがたい話だと考えないといけないのです。
誤解されそうですが、これはブラック企業
に搾取されるような奴隷的な考え方とは、
全く次元が違うものです。
むしろそれとは逆の、自分自身が会社に依
存しないで、客観的に見て給料以上の価値
のある労働ができるだけの人間になろう、
という発想です。
ようは本当の意味で、長期的に経済的に豊
かになることが大事なわけで(貧乏になり
たい人などいないはず)、
ある意味で、学校も受験勉強も、そのため
に存在していなきゃ意味が無いとも言える
わけです。
将来的な経済面を一切考えないで、単に
「純粋に学問をしたいため」だけに大変な
大学受験や各種学校に通う人など極めて少
数派でしょう。
つまりは卒業後に資本主義社会で生きていく
ために勉強するわけで、その観点がまった
くないのに勉強に集中したって意味はないでしょう。
そしてこの資本主義社会で、ある程度以上
「経済的に豊か」に生きていくためには、
学生とか社会人とか一切関係なく、全員が
「勉強」
を継続的に行っていく必要があります。
ただ、その「勉強」の“質”(やり方)
が非常に重要になるのですが・・・・
・・・・少し長くなりそうなので、
続きは次回で。
To be continued
追記:続きをアップしました⇒学校では教えてくれない「経済的に豊か」になるインプットの秘訣(重要)