こんにちは、中西です。
ここ数回は、経済産業省も効果を認める
内省(リフレクション)
を軸に、さまざまな事例をご紹介しています。
内省(リフレクション)には「振り返り」の要素が含まれていますが、
この点で言うと、ビジネスや学習の枠組みで
「PDCAサイクル」
というものがあります。
これは「計画→実行→評価→改善」を回すことで成果を上げていくという、ビジネスや勉強における有名なサイクルです。
ただし、これは前例がある程度通用した時代・分野における話で、
変化のスピードが早く、先が見通せない現代においては、課題解決だけでなく、
「前提そのものを疑って、新しい答えを自ら作っていく」
ということも重要になってきます。
この点を踏まえて、PDCAサイクルの代わりとして作り出されたのが
「AARサイクル」
というものです。
このAARとは、見通し(Anticipation)を持って行動(Action)し、内省(Reflection)をする。
そしてまた次の見通しに入っていくという形で、スピード感を出して成果を上げていく手法です。
①Anticipation:自ら楽しいことを考える、予測する、見通し(仮説)を立てる
②Action:実践する
③Reflection:振り返る
このAARサイクルは、OECDが提唱する学習プロセスとなっていて、
「見通し(仮説) → 行動 → 振り返り」
の3段階のプロセスを循環させることで、効果的な学びが実現できるという枠組みになっています。
このサイクルは、ようは「見通しを立てたら、さっさと行動する」と言う点で、不確実性の高い現代に対応する能力を育むために設計されたものです。
AARサイクルとPDCAサイクルは、両方とも「改善のプロセス」を示すものではあります。
ただ、その適用対象と方法に違いがあります。
AARサイクルは「個人における学習・成長プロセス」にフォーカスしたもので、
「見通し→ 行動→ 振り返り」
を通して、変容を促すのが特徴となっています。
一方でPDCAサイクルは、「組織や集団におけるマネジメント」で利用されるもので、
「計画 → 実行 → 評価 → 改善」
を繰り返すことで、成果を目指すものになります。
よって、AARは「まず行動した上で、その後に振り返りをする」形で、柔軟に対応するのがポイント。
特に、個々の学びや成長に適しているのです。
このAARのサイクルにおいては、「内省(リフレクション)」が重要なポイントになってきます。
PDCAサイクルにあってAARサイクルにないのは、「計画」の部分です。
計画をしないわけではないですが、「計画」よりもまず行動して、その上で経験を振り返りながら改善する
・・・というサイクルになっているので、コーチングとも相性が良く、近年では自己成長や業務改善のサイクルとして活用されることが増えています。
コーチングは、もともと「セッションが終わったら、まずはやってみる」という形になることがよくありますが、
計画をじっくり考えるよりも、とりあえずやってみて、その上で振り返って内省して、また行動に移すというスパンに近いので、
まさにAARサイクルの方がコーチングには相性がいいと言えます。
ちょうど本日のセッションでもそういう方がいて、あるメンバーさんが本年度の目標をテーマ別に合計30個近く作ったのですが、
それをどう計画に落とし込んでいくかということを、やる前に考えていてもわからないことだらけなので、
「とりあえず、この1週間、その30個近いタスクをバンバン実践してもらって、その上で振り返ってみて、どうなるかを見ていきましょう」
というところで、コーチングが終わった方がいました。
こういうパターンはコーチングではかなり多くて、「一旦やらないとわからない」ということが、そもそも少なくありません。
なので、まずは一旦やってもらって、その上で振り返った方が、何日もかけて緻密な計画を練ったり、頭の中だけでグダグダ考えているよりもはるかに速いのです。
現実的にも進めていけるので、普段からコーチングではこのAARサイクルorそれに近いことをやっている感じです。
特に私がやっているのは週間目標を設定してもらう1週間単位のコーチングなので、月1回ぐらいのコーチングとは違うため、
余計にAARサイクルのように、まずは試した上で、振り返って、改めて見通しを立てる…というのが合っているという実感がありますね。
というわけで、これまで「PDCAサイクル」という枠組みが一般的でしたが、
変化の激しい時代、特にAI時代になってくると、スピード感も尋常じゃなくなってくるので、
仮説や見通しをまず立てた上で、とりあえず一旦すぐに試してみて、その上で振り返って、次にどうするか考える
…というAARサイクルを、よかったら参考にしてみてほしいと思います。


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