- 2018-11-25
- その他・雑談
こんにちは、中西です。
今日は日曜日なので恒例の雑談系ネタで。
(このメルマガは日曜日は雑談系になることが多いです)
昔、私が会社員をしてた時にAさんという先輩がいました。
年は私より10歳近く上でしたが、すごくキャラの濃い人で、人間的にも面白い人でした。
若い頃はそこそこ不良の親分肌の学生だったようで(悪いことやる方ではなくヤンチャ系)、その雰囲気は確かに残ってました<(_ _)>
私とは正反対のタイプでしたが、私はそのAさんが大好きで、同じチームで机も近かったので気にかけてもらってました。
ところが、Aさんがある日突然会社を辞めてしまったのです。
Aさんは退職後、経営が傾きかけていた某団体の役員になりました。
その後半年ぐらいして、私が忙しすぎて事務所で一人で休日出勤していたら、突然半年前に退職したAさんが入ってきました(°□°;)Aサン?
随分風貌が変わっていて、高そうな服を着て、超いい車にも乗っていました。
どうやら転職先の傾きかけていた某団体で、経営再建がうまく行ったようでした。
誰もいない休日の事務所で、私とAさんが2人で近況話をしていたところに、Aさんの元上司(=当時の私の上司でもある)が事務所に来ました。
「ん?中西、なんでお前が日曜にいるねん」
と言われたのですが、まあアホすぎて日曜も仕事してる旨伝えました。
その後Aさんとその上司は、私が仕事してる机から少し離れた位置で、久々の会話を楽しんでおられたのですが、休日で静かなので話が聞こえてくるわけです。
上司「Aさん頑張ってるなぁ。でもお前のやったことは人をリストラしただけやからな。経営の実力は無いんやから云々」
・・・聞き耳を立てていたわけではないのですが、Aさんの転職後の状況が大体わかりました<(_ _)>
Aさんは組織内部の人間にはなかなか出来ない「リストラ請負人」のような形で役員として外部から入って、多くの人材をリストラして経営再建をしたのです。
当然その分のすごい報酬も手に入れて、羽振りがよかったと。
その後しばらくして、私はある仕事でAさんがいるその団体にも行ったのですが、思ったより規模の大きい、古くてしっかりした組織でした。
優しくていい人が多そうな組織だったので、Aさんのようなちょいワルな雰囲気のワイルド系役員が外から入ってきた方が、バッサリ人を切りやすかったのだと思われます。
そのとき思ったのは「Aさん大丈夫なんだろうか・・・」ということです。
想像してみたんですよ、「自分がもしAさんだったら?」と。
実は一流の経営手腕があるわけではない。けど外部から入った強みで思い切ったリストラを敢行し、それにより経営再建が成功。
潰れかけていた組織を立て直し、高額な報酬を手に入れたヽ(´▽`)/
そして周囲は、経営再建によって自分の“経営手腕”を認めている。
この状況で、私がAさんの立場なら、どう考えるだろう?と。
あくまで私の場合ですが、私がAさんの状況にいたら、
「この自分の立場を誰にも譲りたくない。経営再建の実績をもとにこの組織に居座って、できる限りこの組織にいるうまみを利用しつくそう(`▽´)」
・・・と考えてしまうだろうなと。
つまり最初に大きな実績を出したことで、自分が実力以上に評価されている上に、他の職場でこれ以上の待遇を受けられないなら、その地位に居座って、その組織に寄生してしまうだろうなぁと。あくまで私の場合ね。
実はAさんとお会いしたのはその日が最後で、その後どうされてるか全く知りません。
ただその時「自分がAさんだったら?」と想像したときに、私ならその組織に寄生してしまうと思ったので、Aさんのことが心配になったのです。
その時にとても心配になった気持ちは、今でもハッキリ覚えています。
・・・で、勘のいい人なら、私が何を言いたいか、もう分かったかと思います。
カルロス・ゴーンが捕まったときに、Aさんのことを思い出したのです。
状況がすごく似てるな、と。
そもそもゴーンは、スーパー敏腕経営者として20年近く日産のトップに居座り続けてましたが、本当にそれだけの実力があったのか。
これは私の仮説ですが、実はゴーンには最初からたいして経営の実力なんてなかったんじゃないのかと。
しかし最初の大規模リストラで経営再建が成功し、日本中が自分のことを評価している。
私がゴーンの立場なら、やっぱりこう思いますね。
「こんなにおいしい立場を逃すわけにはいかない。この実力以上に高い評価を利用して、この組織に居座り、うまい汁を吸い続けようっと(`▽´)」
最近のベストセラーで
「人生は、運よりも実力よりも『勘違いさせる力』で決まっている」(ダイヤモンド社、ふろむだ著)
という本があります。
人間がいかに他人に対して「錯覚」をしていて、その「錯覚」が人生を変えているか、を考察した本。
非常にいい本で、日本中の学校に配りたいくらいの良書です。絶賛おすすめ。
で、ゴーンはまさにこの錯覚を利用した「勘違いさせる力」に長けていただけなのでは?ということです。
顔つきも異様でとんでもなく仕事ができそうな風体です。が、今改めて冷静に見れば、ただの強欲な人間の人相やん、と(;゚ロ゚)ワルソウ
上の本では「錯覚資産」という概念が提唱されています。一部引用すると、
「『自分の得になるような他人の勘違い』(=錯覚資産)は、生涯賃金に換算して、何千万、何億円ものお金を生む」
ゴーンはこの錯覚資産で何億円どころか100億円ほど生んだんじゃないか、ということ。さらに、
「企業は、実力のある人間を採用し、いいポジションにつけているつもりになっているが、実際にはほとんどの場合、錯覚資産が大きい人間を採用し、いいポジションにつけているからだ。
『実力がある』からよいポジションを手に入れられるのではなく、『実力があると周囲が錯覚する』から、よいポジションを手に入れられているという部分が大きいのだ。これが意味するところは、あなたが思っている以上に、重大だ。」
(引用「人生は、運よりも実力よりも『勘違いさせる力』で決まっている」ダイヤモンド社、ふろむだ著)
ゴーン容疑者は、リストラによる経営再建によって「実力があると周囲が錯覚」してしまった今世紀最悪の例かもしれません。
ただ、これは身近なスケールでも頻繁に起こっていて、たとえば「高学歴だと仕事ができそう(悪いことしなさそう)に見える」ということもあります。
実際は高学歴で仕事が全くできない人もいれば、犯罪で捕まる現役学生が3ヶ月で5人も出る難関有名大学があったりします(ーー;)KO
私自身の経験でも、早稲田出身ということで錯覚された経験がかなりあります。逆に、高学歴の学生を錯覚してしまった経験もあります。
受験生の唯一の救いは、受験の合否に限っては、錯覚資産では通れないということです。(面接はヤバいけど)
つまりペーパー試験の受験の勝負は、極めて公平だということです。
その公平さは本来いいことのはずですが、社会の実態とはあまりにもかけ離れている(社会の実態が「勘違いさせる力」で決まる要素が大きい)ために、結果として、
「受験でうまく行った人が、社会でうまく行くとは全く限らない」
「受験でダメだった人が、社会で活躍しまくることがある」
という社会人ならほぼ誰もが知ってる(けど学校や塾では言われない)不都合なギャップが発生しているわけです。
とりあえず受験生の皆さんは、ここまでの話を最低限の予備知識として、受験突破を目指すべきだと個人的には思いますね。
じゃないと、とくに大学受験では、合格後に「受験の成功法則」と「社会の成功法則」があまりにも違いすぎて、そのギャップに苦しみかねませんので。
これらをある程度理解して頭の片隅に入れた上で、素晴らしいほど公平な「受験ゲーム」を今は徹底して楽しめばいい、ということです。
それではまた。