- 2024-11-4
- 休日のすごし方
こんにちは、中西です。
前回は「旅行がアンチエイジングになる」という研究をご紹介しました。
この流れで、今回は「新しいタイプの旅行」についてお話します。
半年ほど前に親の誕生日があり、その時にVRをプレゼントしました。
4万円ほどしたので結構な値段でしたが、高齢なのになかなか運動をしてくれないので、運動習慣になればと思いプレゼントしました。
私のコーチングプログラムのメンバーさんの一人が、VRでゲームをしながら運動をする習慣を持っていた方がいたので、
単調でつまらない運動でも、ゲームなら体を動かしながら楽しめると思ったからです。
ところが、しばらくしてVRの利用状況を親に聞いたところ、ゲームで運動するよりも映画と旅行を楽しんでいるということでした。
特に旅行で世界のあちこちに行っていて「まるで本当に世界旅行をしているようだ!」と言っていました。
私にはその発想は全くなかったのですが、VRで世界旅行を楽しめるとしたら、こんなにコスパの良い旅行もないと思います笑
そういう楽しみ方を発見できたのであれば、それはそれで良いと思っています。
調べてみたところ、実はこの
「VRで旅行を楽しむ」
という方法は、私が思っていたよりも研究が進んでいるようです。
大学で研究が進んでいたり、公的機関がVRの企業と共同でプロジェクトを進めていたりしていました。
今回はその一部をご紹介します。
※参考:本メール下部に記載
まず一つ目は、東京大学のプロジェクトです。東大がVRの技術を使った
「疑似旅行のプロジェクト」
に2019年からチームで取り組んでいました。
東大のそのチームの一員の方が、以前介護施設に勤務していたそうで、
「体が不自由な高齢者の方にも旅行の感動を味わって生きがいを感じてほしい」
と思ったのがきっかけで、このプロジェクトが進んだようです。
ただこの話は2019年の報道なので、その後の5年間でVRによる疑似旅行はかなり進歩したと言えそうです。
実際、東大のVR旅行の研究は現在かなり進んでおり、2023年に発表された研究によると、
東京大学の先端科学技術研究センターと、全国において「そよかぜ」のブランドで高齢者介護事業を展開している株式会社SOYOKAZEが、共同でVR旅行の効果を検証しました。
結論として、この研究の結果、
【 VR旅行を体験した高齢者は「見る力」(視空間能力)と首の動き(頸椎可動域)の改善が見られた 】
ことが分かりました。
つまり、「見る力」と「首の動き」が改善して肉体的な健康効果も確認できた、ということです。
この研究は「認知機能」と「身体機能」の観点で実験が行われましたが、おそらく「メンタル」の点にも非常に良い影響があると考えられます。
また、別の報道では、島根県の江津市の介護サービス事業所で、外出が難しい71歳から99歳の高齢の入居者10人がVR技術を使って
「観光地や思い出の土地を巡るVR旅行」
を体験した話が掲載されています。
これを見る限り、高齢者はVR旅行で十分に旅行を楽しむことができていることが伺えました。
疑似体験であっても、生きがいを感じられる可能性がありそうです。
これは私の親のVR旅行のリアクションを見ていても同じように感じますね。
もちろん実際に旅行に行った方がより良いかと思いますが、身体的にそれが難しい人にとっては、
こういう形で「擬似的に楽しむ」のも非常に良いことだと個人的には思います。
余談ですが、自然散策もVRでメンタル改善効果が認められていますので、
前回お話した「旅行療法」も、VRでその効果は一定以上得られると考えられます。
さらに、東京大学の先端科学技術研究センターの研究者が、Facebook Japanと神戸市も巻き込んで、
VRを活用した「未来の福祉プロジェクト」
をスタートさせていました。
(Facebookも親会社のMeta社としてVRゴーグルを出していて、MetaQuestという商品として有名です。先述の私が親に贈ったのもこのMeta社のMetaQuest)
このFacebook Japanと東京大学と神戸市が共同で進めたプロジェクトの内容は、
神戸市の特別養護老人ホームで外出が難しい入居者を対象に、VR旅行の体験会を開催するというものでした。
このように、私が想像していた以上にVRによる旅行体験は研究が進んでおり、公的機関もプロジェクトに動き出しています。
今後さらに多くの高齢者施設や介護サービスで利用されていく可能性が高そうです。
また、高齢者でなくても若い世代でも、VRで旅行を楽しむのも悪くないと思います。
時間的な制約、家族の方など環境的な要因、経済的な問題などで実際に旅行に行くのが難しい人も、
VR旅行なら好きなタイミングで気軽に安全に楽しむことができます。しかも気に入った場所に何度でも行けるヾ(´▽`)ゝ
VR旅行は今後ますます普及していくはずですので、
旅行したいのになかなか難しい状況の人は、よかったらVR旅行も検討してみてください。
※参考
「高齢者施設でのVR旅行で視空間能力と頸椎可動域を改善
― 視空間機能障害のリハビリテーションに役立つ可能性 ―」
(東京大学先端科学技術研究センター)
「「VRを活用した未来の福祉プロジェクト」 発足後、初となるVR旅行コンテンツが神戸市との連携により完成」(Meta社)
「VRで高齢者も「世界旅行」 東大の研究チーム」CNN
「VRで念願のニューヨークへ、介護施設の入居者が仮想旅行を体験」朝日新聞