- 2023-10-8
- 効率的な勉強法~中上級編~, 効率的な勉強法~基礎編~, 受験を突破する記憶術
こんにちは、中西です。
前回は、「手書き」が勉強において記憶効率が良いという話でした。
具体的には、2021年に発表された東京大学と日本能率協会マネジメントセンターとNTTデータ経営研究所の共同研究で、
【 スマホなどのデジタル機器に入力するよりも、紙の手帳やノートに手書きする方が、記憶の定着率が良い 】
ということが初めて判明した、という話。
▼紙の手帳の脳科学的効用について
~使用するメディアによって記憶力や脳活動に差~(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00001.html
※詳しい研究内容のPDF
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20210319sakaikunisobun01.pdf
前回の内容が非常に好評だったので、今回もこの流れで、「勉強における記憶効率」に関する話を。
このテーマで最近の研究を少し調べてみたのですが、興味深く信用度の高い研究が出ていました。
アメリカのアイオワ州立大学の研究者たちが、過去100年以上に及ぶ学習効率に関する研究をまとめて再分析したところ、
最も成功しやすい鉄板の勉強法が2つ見つかりました。
それが何だったかというと、以下の2つ。
——————————————-
①分散学習(間隔を空けて覚える)
②想起練習(形を変えて思い出す)
——————————————-
過去100年以上に及ぶ200本以上の学習効率に関する論文を調べ尽くしたら、結局のところこの2つが、記憶を定着させる勉強法として最強だったようです。
▼参考: Forgetting is natural, but learning how to learn can slow it down • News Service • Iowa State University
https://www.news.iastate.edu/news/2022/10/19/learning-forgetting
※The science of effective learning with spacing and retrieval practice
https://www.nature.com/articles/s44159-022-00089-1
①の分散学習というのは、1日とかで一気にまとめて覚えるのではなく、何日にも分けて覚えていく方が記憶に定着しやすいということです。
試験前日の一夜漬けは良くないということですね。
実際試験の一夜漬けで覚えたことは、試験が終わったら一気に忘れてしまう経験がある人も少なくないかと笑
ある研究では、3週間にわたり外科手術のトレーニングを少しずつ学んだ医学生は、同じトレーニングを全部1日で学んだ医学生に比べて、
2週間後と1年後のテストで優れた成績を収めました。
(3週間に分けることで、小分けにされた勉強をするために「前回の復習」を度々することになるため、1年後という長期記憶への定着率も上がったと考えられます)
②の想起練習は「検索練習」ともいいますが、これは一度覚えたことを「思い出す」ことです。
ポイントは覚えた時の形で思い出すのではなく、「違った形式」で思い出すということ。
例えば「教科書をもう一度読み直す」とかではダメ。これは確かに思い出すことにはなりますが、インプット(記銘)した時と同じ形で思い出すだけです。
そうではなく、インプットで教科書を読んだなら、思い出す想起練習(検索練習)では、教科書を読む以外の、例えば
問題を解く、一問一答、暗記カード、まとめ直し、自分で解説、小テスト、模擬試験、学習マップ(マインドマップ)etc
…といった形でアウトプットするわけですね。
2つともベタといえばベタですし、特にこれと言って珍しい勉強法ではありませんが、数ある勉強法の中で結局この2つが記憶を定着させる点で最も効果が高かったということです。
何か新しい勉強法をやるにしても、この2つのポイントはしっかり押さえた上で実行すれば、最も避けたい
学習効率の点で大きな失敗をするリスク
は劇的に下がると考えられます。
逆に言うと、この2つのポイントを押さえておけば、勉強法選びなどであまり難しく考えすぎなくても良いと言うことになるでしょう。
というわけで、前回の話と合わせれば、今回の
「分散学習」と「想起練習」(検索練習)を「手書き」でやる
と、一番いいのかもしれませんね(´ー`*)
個人的には「想起練習」の「思い出す」の部分の効率が飛躍的に上がるなら、手書きではなく、スマホのアプリなどでもいいかと思います。
確かに、手書きは記憶の定着率がデジタル機器より上がりますが、手書きにしたせいで、インプットに多くの時間がかかり、想起練習の時間が減る位なら、
手書きにかける時間をスマホなどのデジタルで短時間で済ませ、
その分「思い出す」(想起練習)の回数を増やす
ことで、より記憶の定着率が高くなる…ということもあると思います。
いずれにしても、今回紹介した2つの外してはいけないポイントは押さえた上で、自分に合ったやり方を選んでいってください。
それではまた。