- 2023-10-10
- 効率的な勉強法~基礎編~, 参考書学習テクニック
こんにちは、中西です。
勉強で内容を記憶するときに
「想起練習」(思い出すこと)
が最も重要なテクニックと言う話をしました。
アイオワ州立大学が過去100年以上の論文を200件以上調べ尽くして出た結論です。
ただ、この時に注意しないといけないのは、心理学で
「流暢性(りゅうちょうせい)の罠」
と呼ばれる現象です。
「流暢性」と言うのは、ヒトが情報を適切に、素早く、たくさん処理して出力する能力のこと。
そして「流暢性の罠」とは、覚えた内容をその場ですぐに思い出せると、今後もいつでも思い出せるように錯覚してしまう心理を指します。
ところが、実際はそうなるとは限らず、インプットした直後は思い出せても、しばらくすると思い出せなくなることがあるわけです。
これを防ぐには、自分の記憶を疑って、完全に長期記憶になるまで何度も「想起練習」を繰り返すしかありません。
よくある誤解のパターンとしては、
「一度忘れたら思い出すのが大変だから、忘れる前に復習しよう」
という考え方です。気持ちはわかるのですが、記憶の定着と言う面では間違っています。
一度忘れてしまって、思い出すのが大変な状況を経験する方が、その後に長期記憶になりやすいのです。
平たく言えば、
「思い出すときに、苦しんだ方が記憶に定着しやすい」
ということ。
この「思い出す時の苦しみ」から逃げれば逃げるほど、記憶への定着率が悪くなっていきます。
教科書に蛍光ペンで色分けして線を引くだけでは、ほとんど勉強になっていないのは、この
「思い出す苦しみ」
から逃げて、実は楽しているだけだからですね。
ノートを取るだけではダメなのも全く同じ理由。
「思い出す苦しみ」がそこにはないからです。
また、別の例として、めちゃくちゃ面白い授業をする予備校講師の授業なども「流暢性の罠」にはまりやすいです。
理由は簡単で、話が面白い(わかりやすい)せいで、授業中は理解した気持ちになってしまうからです。
先生の教え方が面白いことと理解できたかどうかは別ですし、
理解できたとしても、理解することと記憶に定着することもまた別です。
つまり先生の授業が面白かったからといって、実際は自分の頭に記憶として定着したわけでは全くないにも関わらず、
「面白かった」ことによって、「理解して頭に入った」と誤解してしまうわけです。
これも「流暢性の罠」と言えるでしょう。
というわけで、「想起練習」が最も効果的な勉強法の本質である事は間違いありませんが、そこには
「流暢性の罠」
という「覚えた気になってしまう錯覚」があらゆるところに存在していますので、どういった勉強をやるにしても
「思い出す苦しみ」
から逃げない覚悟を持って、しつこい位に念入りに自分の記憶を確認することが、
勉強をする上で1番重要なポイントだといえます。
それではまた。