こんにちは、中西です。
今日は日曜日なので雑談を。
大々的に報道されているのでご存知の方も多いと思いますが、1週間前に東京で歌手活動をしていた女子学生の冨田真由さんが、刃物をもった男に刺傷される事件がありました。
この事件の報道をいくつか見たのですが、ほとんどのメディアはこの事件の真相(or最重要ポイント)の部分に全く触れられていないと感じましたので、今回はこの話をします。
メディアの報道を見ると、容疑者の男の異常性や、男の過去の話、事件までのその女性とのやりとり、あるいはファンとの関係性・距離感の話など、いろいろな角度からこの事件が報じられているようです。
が、今回このような事件が起こった真相は、実はそういった容疑者の人格的な部分やファンとの関係性の部分よりも、むしろそれらとは別の“たった1つのある原因”によるものだと私は考えています。
その原因とは、
【 ツイッターで相手をブロックしたこと 】
です。これが今回の事件が起こった“引き金”ではなく、事件が起こった原因の“ほぼすべて”だと私は考えています。
もちろん彼女が男のツイッターをブロックしたことは報じられていますし、男の人格におかしなところがあったのも間違いないでしょう。
ところが、この「相手をブロックしたこと」が本事件が起こった理由の“ほぼすべて”だと認識できているメディアは皆無だと思われます。
なぜ私がそれが真相だと断言できるかというと、私自身が女性にブロックをされたことがあるからです。
完全に私の恥をさらすことになりますが(笑)、うら若き乙女の読者さんも多いこのブログ読者の皆様に、この事件の真相を知る重要性を理解してもらわないといけないので過去の恥をさらします(ノд-。)
以前、割と仲のいい知り合いの女性がいたのですが、当時の関係性としては友達以上~恋人未満ぐらいの感じでした。二人で食事をしたりカラオケにも行ったりしていたので、まあたぶん向こうも私のことを嫌いではなかったはずです。
ある日彼女とメールのやりとりをしていたときに、私がちょっと不用意な発言をしてしまって彼女を怒らせてしまったのです。そこで彼女がとった行動は、私からのメールの「受信拒否」でした。
それまで普通にメールのやり取りをしていたアドレスにメールを送ると、突然英語の長文でエラーメール(「このアドレスには届きませんでした」的なことが英語で長々と書いてあるメール)が返ってきたわけですΣ(゚д゚;)
最初何かの間違いかと思ったのですが、時間を置いてから何度か送ってもやはりエラーメールが返ってきました。返ってきたメールの英語の文面をよく読んでみると、どうやら自分のアドレスが受信拒否をされたらしいことがわかったのです。
改めてその前に送った自分のメールを読み返してみたところ、相手を傷付けた可能性がある内容があったことに気づきました。
で、問題はここからなのですが、私がこのときどういう感情に襲われたかというと、言語化するのが難しいのですが、あえて表現しますと
「自分自身の存在そのものを全否定された、過去に感じたことの無いレベルのすさまじいショック」
という感情でした。そのショックは失恋したときの絶望感(;д;) にも似ているのですが、根本的なところで何かが大きく違う感情なのです。
あとになって冷静になってからわかったのですが、失恋したショックと何が違うかというと、失恋の場合、普通は告白して「ごめんなさい」と言われたとか、付き合っている相手から「ごめん、友達に戻ろう」とかなんとか、いろんなパターンがあるにしても、基本的にこちらの人格は最低限尊重された上で断られるわけです。
ところが、「受信拒否」というのはそれとは違い、自分の存在そのものの“全否定”とほぼ同じなのです。
もし私が受信拒否をされた経験が無かったら、おそらくこういう話を聞いても「受信拒否されたくらいで大げさな。器ちっさ!」とか「失恋のほうが辛いよ」などと思ったと思います。
しかしここは最も重要なポイントなのであえて強調しておきますが、ある程度の好意を持っている相手から受信拒否をされたことがわかったときの、あの“自分の存在を全否定されたような絶望感”は、実際に好意がある相手から受信拒否(ブロック)された人間にしか恐らくわからない感覚だと感じます。想像する以上の、ものすごい絶望感に襲われるのです。
たぶん拒否設定をしたほうの本人は、そこまで相手の人格まで全否定したつもりは無いのでしょう。しかし拒否された側は、自分を全否定された、どうしようもないほどの絶望感に襲われるのです。
この拒否する側とされた側の感情レベルの大きな違いが、取り返しのつかない事態に発展する可能性があるのです。
理解しておかないといけないのは、人間にとって自尊心や承認欲求というのは、もっとも強いレベルの感情だということです。
自らの存在そのものに関わる根源的な欲求であり、その欲求が無い人は存在しません。たとえ、どうしようもない最悪の人格の持ち主であっても、です。
もっとも大切な自らの尊厳(自尊心)を踏みにじられたと感じた人間の心は、必ずその尊厳を取り戻そうとします。
結果、何らかの行動に移らざるを得なくなるのです。自らの尊厳を踏みにじられて、そのまま放置しておくことは人間にはほぼ不可能だということです。
そのとき、人間の心が尊厳を取り戻す方法は、大きく分けて3つあります。
1、相手に自分の尊厳を否定したことを取り消してもらう
2、相手を誹謗中傷して自分のバランスを保つ
3、尊厳の否定に耐え切れず、自分の存在そのものを消す
のいずれかです。(3は厳密には尊厳を取り戻せていませんが、尊厳を全否定されたことで「心が何らかの行動をとってバランスを取ろうとしても自尊心を取り戻せず、最悪の結果を導いた」という意味では、本質的に同じです。)
私のような自分に非が無いか自省でき、非がある場合は謝罪もできるジェントルマンなら1を選びます。
実際、私は受信拒否をされたことがわかったあと、ショックを受けましたがかなり反省し、彼女に別ルートで連絡を取って謝罪しました。その後すぐに関係は修復しましたヾ(´▽`)ノ。
今思えば、彼女への謝罪の気持ちはもちろんありましたが、それ以上に、全否定された自分の自尊心を取り戻そうとしていたのだと感じます。
一方で、2のように、存在を否定されたときに「相手を誹謗中傷する」方法を選ぶ人がいます。
自分の存在を下に落とされたので、相手も落とすことでバランスを取るわけです。非常にゆがんだ心理ですが、人間は自分の自尊心が一番大事ですから、相対的に相手を落とすことでバランスを保つのはある意味で仕方ないかもしれません。(ネットでよくバトルをしている人たちがいますが、あれもたいがい根本の動機はそれでしょう)
通常はこのあたりまでなのですが、「自己コントロール力」や「常識」や「相手を配慮する心」が著しく欠落している人間は、これくらいではすまない場合があるのです。
本質的には「自尊心を取り戻す」という同じ意味の行動をするわけですが、その“手段”が常識を逸脱する危険性があるのです。つまり言葉による誹謗中傷ぐらいでは終わらずに、それを“相手に危害を加える行動”にまで移してしまうということ。
その場合、よくてストーカー、最悪は「相手の存在を消すことで、自分の自尊心のバランスを保つ」というパターンになります。
そういえば、以前ある作家のファンの女性がストーカーになってしまった事件があったのですが、彼女が更正したあとのインタビューで、「ストーカーが悪いことだとわかっているのに、相手の家まで行ったり、いろいろ嫌がらせをしてしまった」と反省しながら話していました。
どう見ても普通の女性でしたが、その彼女がストーカーになったきっかけが、「作家宛てに送ったファンレターが度を過ぎていたため、郵送で送り返されてきた瞬間」からだったというのです。
作家の男性はそこまでのつもりは無かったのでしょうが、彼女からすれば好意のある相手からファンレターを返されたのは、自分の存在の全否定と同じだったのでしょう。結果、彼女の自尊心は自らの尊厳を取り戻すために“行動に移らざるを得なくなった”のです。
ストーカー行為は、専門医によると脳の本能的な部分から生み出されるようで、クスリの中毒患者と同じで、理性で止めたいと思っても止められなくなります。
つまり、好きな作家からファンレターを返送されて自分の存在を全否定されてしまったその瞬間から、彼女の心(脳)は自尊心を取り戻すために“ストーカーせざるを得なくなってしまった”のです。上の3パターンでいうと、1と2の間くらいの心理状態でしょう。
私にはその女性ストーカーの心理が非常によくわかるのです。上で私に対して受信拒否をした彼女に「別のルートで連絡をとって謝罪した」と書きましたが、もし仮にその「別のルート」を持っていなかったらどうなっていたか?
まず間違いなく、どんな手段を使ってでも彼女に連絡を取ろうとしていたのは確実ですし、通信手段が無い場合は、彼女の家の前で待ち伏せしてでも謝罪をしようとしたはずです。
それくらいに、好意のある相手からの受信拒否というのは、精神が崩壊しそうになるほどの耐えられない絶望感なのです。私の場合は、手段が「謝罪」なのでなんとか理性を保っているといえますが、そこまでの自己コントロールが出来ない人間は“ストーカーにならざるをえない”という流れになります。
繰り返しますが、人間にとってそれほどまでに自尊心は最重要の位置を占めており、それを全否定されたとなると必ず何らかの手段で自尊心を取り戻さずにはいられなくなるのです。この人間の心のメカニズムをよくよく理解しておく必要があります。ブロックするという行為は、ブロックする側の想像をはるかに上回る絶望感とすさまじいショックを相手に与えてしまい、必ず相手に何らかの行動を取らせてしまうということを。
もうおわかりだと思いますが、その最悪のパターンが今回の事件でした。
つまり「ツイッターをブロックした」のが、最悪の事態を招いてしまった今回の刺傷事件の真相だったということです。
しかし私が見た限り「ブロックすることの恐ろしさ」をどこもしっかり報じていません。
報道では「容疑者の人格が異常」とか「おかしな奴は必ずいるからファンとの距離を考えるべき」とか「ブロックが事件の引き金になった」というくらいの見解が大半のようですが、私は「ブロックが本事件の原因のほぼすべて」だと思っています。
逆にいえば、ブロックさえしなければ、今回の刺傷事件は起こらなかった可能性が非常に高いのです。少なくとも私はそう感じました。(プレゼントも返送されたようですが本質的にはそれもブロックと同じ)
では彼女はどう対応すれば良かったのかについては、正直そこまでははっきりわかりません。ただ間違いなく言えるのは、逆説的ですが「危ないと感じる相手ほど、絶対にブロック(受信拒否・着信拒否)はしてはいけない」ということです。これだけは間違いないです。その前提の上で、別の対処法を考える必要があります。
冗談抜きでこのブログ・メルマガはたくさんの女性が読まれていますし、まあ男性にしても同じですが、とにかくそれほど自分に好意を持っている相手をブロック(受信拒否・着信拒否・物を返送)するというのは危険な行為にあたりますので、ぜひ今後のためにも覚えておいてほしいと思います。
それではまた。
追記
冒頭で「メディアでは報じていない」と書きましたが、今少し調べてみたら一人だけ私と同じ見解の方がいました。ストーカー対策のNPO法人の方のようです。
読んでみたら私の上記の見解と基本の部分では完全に同じでした。同じ見解を発信されている方はおそらくこの方だけだと思われますが、やはりプロの目から見ても今回の記事の内容は間違いないようです。
私には書けなかった対策の部分にまで話が及んでいましたので、以下に参考までに転載しておきます。本文と合わせてご覧頂くとより理解が深まると思います(下線部は中西にて追加)。
「ツイッターのブロックや着信拒否をするのは危険」ストーカー相談の専門家に聞く / NPOヒューマニティの小早川明子さんの意見(弁護士ドットコム)
「ツイッターを読むと、最初は好意があったけども、リプライされなかったり、プレゼントしたのに送り返されたり、ブロックされたりして、どんどん感情が悪化する流れをたどっています。全体として、加害者心理がどうなっているのかを眺めないといけません。
つまり、加害者の心理的危険度を測ることが重要です。行為だけみれば、違法ではないかもしれないけど、心理的危険度が高いということがよくあります。
――心理的危険度が高いとはどういうことでしょうか?
たとえば、女性にフラれた男性が家に引きこもっていたケースがありました。わたしが家庭訪問したとき、その男性は部屋で布団をかぶってうずくまっていました。布団をはいでみたところ、彼の手首は自傷行為でギザギザになっていた。女性を襲うための凶器も準備されていました。
外から見たら、引きこもっているだけなので、警察は踏み込めません。だけど、彼はすでに殺意を持っていた。その段階まできていたのです。
別のケースでは、交際を申し込んでフラれた男性が、女性に「告白なんかして、申し訳なかった」「不快なことをしてすみません」というメールを送った。ふつうはそれでおしまいだけど、半年にわたって「許してください」という内容のメールを送りつづけたのです。
つまり、謝りつづけるというストーキングです。被害者も自分がどれくらい危険なのかわからない。しかし、ある日、女性が家に帰ったら、男性が彼女を襲おうと侵入していたのです。
●窓口を開けることが大事
――今回の事件で、ツイッターのブロックやプレゼントの送り返しは、加害者の感情を逆なでさせてしまったのでしょうか?
決定的だったのは、ツイッターのブロックだと思います。加害者はその前に「なぜブロックしないのか」という内容の書き込みをしています。あれは、「ブロックされたくない」という心理のあらわれでしょう。ブロックされるのが恐いんです。ところが、本当にブロックされて、絶望的になったんだと思います。
一般的にいっても、ストーカーに対して着信拒否やブロックをしてはダメです。着信拒否するなら、その前に別の連絡窓口を作っておいたり、ツイッターをブロックするならツイッターそのものをやめないといけない。
他の人にはリプライしているのに加害者だけを無視している状況でした。書き込み内容からして仕方ないのですが、加害者からすれば、どんどんストレスがたまっていく状況。ブロックは良くなかったと思います。
――プレゼントについては?
プレゼントも渡されたときに、受けとらないでほしかったです。そうでなければ、送り返すときがチャンスだったと思います。可能であれば、彼女ではなく、誰か別の人が、直接プレゼントを返す。その際に注意をするという方法です。
「贈り物はいただかないことにしています。でも、あなたがあまりに熱心なのでいったん預かりました。が、そのあとあなたからの返信の要求や感謝が足らないなどの苦情が強くなってしまい、彼女も実はずっと苦しんでいるのです。プレゼントはお返しいたしますが、これは悪意ではありません」と説明してあげたら、自分は歯牙にもかけられていないという渇望感が少しは癒えるし、本当は好きなのだから反省も期待できます。
いずれにせよ、窓口を開けるというのは非常に大事です。プレゼントだけ送り返したら、「迷惑だ」「嫌いだ」「眼中にありません」というメッセージのように伝わってしまう。それは、相手を怒らせてしまいます。
ただ、被害者のほとんどは、初めてストーキングを経験する人です。こうした指導・アドバイスできる人が回りにいればよかったと思います。とても残念です。」
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