- 2025-10-18
- ChatGPT, 働き方・キャリアの話
こんにちは、中西です。
AIによる進化が、日々すさまじい勢いで進んでいます。
この進化のプラスの側面と同時に考えなければならないのは、
「AIに仕事を奪われる」
というマイナスの側面です。
AI には明らかに、このプラスの面とマイナスの面が共に大きく存在しています。
今年の初め頃に発表された「AI 2027」の論文では、ハーバード大学の学者やAI起業家を始めとするAIの超専門家たちにより、
今後2027年末までの3年弱の期間に起こることが予想されていましたが、
その予測があまりにもヤバいということで、世界中に衝撃を走らせました。
(その内容の一部は以前このメルマガでも紹介しましたが、論文の途中からは月単位で予測されていて、世界中の各都市でAI により 大量解雇された人たちのデモが起きる話もありました)
それから半年以上経過した現在の状況を見る限り、このままですと「AI 2027」の予測は来年以降、かなり高い確率で当たるだろうと、個人的には思っています。
実際、ニューヨーク・タイムズなど海外の記事でも、大学を卒業したてで年収2,000万円の給料を得ることができるとされていたコンピューターサイエンスを学んだ学生が、
卒業しても仕事が見つからず、最低賃金のメキシコ料理のファーストフード店で働かざるを得ない状況になっていることを伝えていて、話題になっていました。
このAIによる解雇問題について、国内トップエンジニアの中島聡さんという方が、有料メルマガでおっしゃっていましたが、
マイクロソフトが業績が良いのに大量の人を解雇した件は、エンジニアの仕事がAIに奪われていることと深く関係しているようです。
単純なコーディングなら、人間より着実に仕事をしてくれるAIも普通にあるようですし、
これまでなら教育を兼ねて大学を卒業したてのジュニア・エンジニアに任せていた単純なコーディングも、今ではAIに任せた方が効率が良くなってきたとのことでした。
この状況が、マイクロソフトをはじめとするITテック企業の大量解雇につながっていると分析されています。
たしかに現時点では、まだどのようにAIを使っていくべきかは、はっきり見えていない部分があります。
しかも、すごいスピードで変化し続けています。
ただ、AIをうまく活用すれば、エンジニア一人当たりの生産性を上げることは十分可能、ということはすでに明らかです。
そうであるなら、経営者としては生産性を上げることを前提に、まず人員整理をして、
残った人たちに「生産性を上げざるを得ない圧力」をかける、という流れは当然というのが中島氏の見解でした。
これは日本の高度成長もそうでしたが、「人手不足を生産性の向上で補う」ことで、経済成長が成し遂げられるわけです。
したがって、人手不足というのは、基本的には経済成長や生産性向上の大チャンスにもなっています。
今の日本も人手不足の状況ではありますが、そのおかげで、様々な生産性向上の施策を取らざるを得ない業界や企業が続出しているわけです。
この結果、一人当たりの賃金も上がっていくというのが、高度経済成長や経済成長一般のパターンなのですが、
中島氏の分析を見る限り、マイクロソフトらのITテック企業が大規模な人員整理をしているのは、
「AIをうまく活用すれば生産性が上がるのは明らかだから」
ということです。
それが具体的にどのような形で成し遂げられるかはともかく、まずは人を減らして、
人手不足に近いような状況を自ら作り出すことで、従業員が生産性を上げざるを得ない環境に持っていく。
これは、ある意味で非常に合理的と言えると思います。
日本の企業で、ここまでドラスティックなことができる企業がどれだけあるのかはよく分かりません。
少なくとも、GAFAMなどの世界トップクラスのIT企業は、そのような対応をどんどんしてきているわけです。
ただ、高度成長の時との大きな違いは、高度成長期は5年後、10年後にも経済成長していることが、政府の政策なども含めて、十分な見込みが立っていた点です。
今は、そういったことが全くわからない、不確定な時代になっています。
中島氏によると、ここまで不確定な状況ですと、すぐには仕事ができず、教育しなければならない大学を出たてのエンジニアを雇うのは、
企業にとって賢い選択肢ではないことも明らかとのこと。
この話はエンジニアの話でしたので、圧倒的にAI革命の最前線にいる人たちだからこそ、他の職業の人たちよりも早くその影響が出るわけです。
しかし、AI革命の影響は、最終的に全ての業界に及びます。
真っ先にアメリカのエンジニアがそのような状況になっているからといって、アメリカだけの話とか、エンジニアだけの話などということは全くありません。
そこは非常に注意しなければならないと思います。
要するに、AI革命による影響のされやすさの問題であり、今後、IT系以外の職種にもどんどん広がっていくのは明らかです。
先日もお話しした通り、私が以前やっていた電話オペレーターの仕事も、まもなく大半の人が人員削減されるのは、ほぼ確実な状況になってきています。
実際、業界の人の話も聞きましたが、そういったオペレーターをAIにシフトする話が、裏でどんどん進んでいるとのことでした。
先ほどの中島聡氏の言葉(有料メルマガの公開記事)から一部引用しますと、
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『同様の変化は、必ず他の仕事にもやってくるし、その変化に乗り遅れた企業は市場から淘汰されます。
特に、報告書を書く、議事録をとる、プレゼン資料を作る、翻訳・通訳する、帳簿に入力する、データを集計する、調査するなどの単純作業・提携業務は、
ことごとくAIによって置き換えることが可能になりつつあります。
その結果、「これまで100人で行っていた仕事を数人でこなす」などの大きな生産性の向上が、十分に可能になるのです。』
——————————————-
こういった話を聞く限り、やはり日本国内には、まだ正常性バイアスに陥っている人が、ものすごい数いるように思います。
この場合の正常性バイアスというのは、
「今の会社で、今の仕事を今後も続けられるであろう」
という正常性バイアスです。
もちろん仕事内容にもよりますので、一人一人が
「自分の仕事はAIに置き換えられる可能性はどれくらいあるのか」
「置き換えられた場合に自分は首を切られるのかどうか」
「首を切られた場合はどうすればいいのか」
といったことを考えていくしかありません。
正常性バイアスに陥らない方法はいくつかあると思いますが、一つは過去の歴史から学ぶことです。
過去に起こった大きな災害などの歴史や、人々が遭遇した不遇な状況――例えば、戦争、事故、事件、自然災害、病気、不況、倒産。
こういったマイナスの出来事に遭遇した人たちの多くは、「まさか自分がこんな最悪の状況に遭遇するとは思わなかった」という感想を述べています。
身近な人間関係においても、離婚や友達関係の破綻などを全く想像することもできなかった、と後になって振り返る人も少なくありません。
とにかく人間というのは、自分に降りかかる不幸の確率を、あまりにも楽観的に考えてしまう生き物のようです。
私自身もいろいろありますが、就職氷河期の中でも「超」がつく就職氷河期のタイミングで就職活動や社会に出ることになってしまいました。
今の売り手市場の時代には信じられないレベルの苦しみを、かなり長い期間、味わいまくりました。
このメルマガでは、その体験の1%も書いていませんが、その超就職氷河期の時期になるまで、私自身は自分の人生がこういう形で進んでいくなどとは夢にも思っていませんでした。
最終的には、そういう境遇を味わったことが良かったと心底思っていますが、それはあくまで結果論であり、私の運の良さもあるだけです。
少なくとも、自分の人生では予想もしていなかったことが起こるというのは、おそらくこの地球上に生きている限り、
どんな人も、そういう想定外の不幸に見舞われるリスクから完全に逃れることはできません。
それでも注意していれば、ある程度、最悪を予測しておくことは可能です。
AIによる大量リストラ時代に突入することも、ほとんどの人が想像したくないことではあるでしょうが、
よほど特殊な仕事に就いていて、そうならない自信が客観的な根拠とともにある人でない限り、
AIによって自分自身がリストラされることは想定しておくべきではないかと、私は思います。
それが「AIリストラの正常性バイアス」に陥らないということのはずです。
100年前の世界大恐慌も、日本のバブル崩壊も、阪神大震災も、ITバブル崩壊も、9.11も、リーマンショックも、3.11も、コロナ不況も、
事前に正確に発生を予測できた人はほとんどいませんでした。
そういった大災難を乗り越えられたのは、日頃からそういったことが起こる前提で準備をしていた人たちだけだと思われます。
AIの大量リストラ時代も、「起こらない」前提ではなく、「起こる」前提で準備していた人だけが、おそらく生き残ると思われます。
「まさか自分が生きている間に、こんな事態が起こるとは夢にも思わなかった」
そんな言葉を言わないで済むように、日頃から最悪の事態も想定しておいた方がいいですね。
※参考
中島聡が警告。米国で初任給2千万円だった情報工学の新卒生がファストフード店で働くしかなくなった現状から学ぶべきこと
https://www.mag2.com/p/news/654145


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