- 2024-3-26
- メンタルの話
こんにちは、中西です。
本日、違法賭博への「億単位」の送金問題で大谷翔平選手が会見を開きました。
この大事件について様々な推測がされていましたが、結論だけ言うと、通訳の水原氏が嘘をついていたようです。
違法賭博の業者に送金があった事実を大谷選手は全く知らず、億単位の借金を背負った水原氏が自らやった窃盗事件。結局これが真相とのこと。
この水原氏に対して「彼はなんて馬鹿なことをしたんだ。世界トップクラスで成功した通訳なのにもったいない」と言っている専門家や著名人が多いです。
ただ、それはもう当たり前の話で、そんなことより一般人はもっと別のところを教訓にした方が良いのではないかと思います。
特にギャンブル依存症、とりわけ「取り返そうとする心理」の怖さです。
心理学でサンクコスト効果というものがありますが、これがまさに、お金・労力・時間を投資した結果、その投資した分を(状況が悪化しているにもかかわらず)「もったいない」と言う気持ちが働いて、不合理な判断をしてしまう心理を指します。
ギャンブルや投資でこの心理にハマると厄介で、特に損をしたときの悔しさは、(私はギャンブルを一切やりませんが)これ以上ないほど悔しいであろうことは容易に想像がつきます。
損を取り返そうとして、さらなる賭けに有り金を全部使うのはもちろん、お金を借りてでも取り返そうとする。
私の知人にも過去にそういう人がいて、根は真面目な人なのに、損をしてから有り金を可能な限り全部使い果たそうとするんですよね。その上でまた負けると、さらに何とかしてどこかからお金を持って来れないかとまで考えてしまうのです。
当時はなぜそんなことをするのかわからなかったですが、今ならはっきりわかります。破壊された自分自身の自尊心・承認欲求を取り返そうとしているのです。
第三者として見ると愚行にしか見えないのですが、損をしたときの悔しさと言うのは、おそらく「自分自身を全否定された」のに近い感覚だと思われます。
人間の本能とも言える承認欲求・自尊心が粉々に破壊されるに等しいわけで、(自覚の有無にかかわらず)当人にとっては「自分の存在そのもの」に関わってくる話とも言えるのです。
その本能を破壊されるということは、生命体としては死ぬのと同じことなので、なんとかして防御しようとする心理が働くわけです。
以前聞いた依存症の専門家の話によると、脳には「理性の部分」と「本能の部分」があり、依存症に陥る人は本能の部分がダイレクトに破壊されるため、その後は理性でどれだけ抑えようとしてもほぼ不可能になるようです。
その後は泥沼から抜け出せなくなるのですが、水原氏もこのパターンだった可能性があります。
これは、「弱い人間だからなる」わけではなく、誰もが陥る可能性のある罠なのです。ギャンブルで大損したら私もなるはず。
ギャンブルはもちろん、投資にしろ事業にしろ、仕事や受験にしろ、ゲームの課金や恋愛や人間関係にしろ、「クソ、なんとしても取り返したい!!」と強烈に悔しい感情が湧いてきたときは、
1度冷静になってサンクコストの罠にはまっていないか、自分の状況を客観的に&真剣に見つめ直した方が良いですね。