こんにちは、中西です。
よく受験直前期のアドバイスで「試験日と同じ時間割で勉強しよう」という話が出ることがあります。
つまり日本史が朝10時40分から始まるなら、その同じ時間から日本史の過去問を1年分解いてみる・・・といったことですね。
割とよく聞くアドバイスですが、果たしてあなたはこれをしっかりやっているでしょうか。
私がこれまで受験生たちの直前期の勉強を見てきた経験則でいうと、過去問をやるときに本番と同じ「制限時間」で解くことは誰でもやりますが(当たり前)、このように時間帯(時間割)まで正確に合わせて過去問を解く練習をしている人は少ないです。
私が高3のときのセンター対策でもそれはやりませんでしたので、やらない人の気持ちがわかるのですが(笑)、やらない人はどう考えているかというと「当日その時間帯で頑張ればいいのであって、本番前の勉強でわざわざ時間帯まで合わせる必要はないかな。制限時間の対策で十分だろ」と考えているのです。
この部分をわりと軽視している受験生が多い理由は、おそらく「なぜ本番さながらの時間帯(時間割)で勉強する必要があるのか」について、“明確な理由”を説明してくれる人がいないからではないでしょうか。
先生に「みなさん、本番と同じ時間割で過去問を解いておきましょうね。大事なことですよ」と言われれば、なんとなく「たしかに本番さながらに解くのは大事かも」ぐらいは誰でも思うわけです。
が、いっぽうで「なぜそうしなければならないのか」という点がうやむやになっていて、明確な理由の説明を受けていないのです。よってそこそこ手間がかかる「同じ時間帯(時間割)でやる」ことについては「ま、いっかな」という気持ちになりやすいといえます。実際私が高3のときそうでしたから。
ところが、私はセンター試験の当日に、この対策をやらなかったことを激しく後悔したのです。センター試験を受けてみて、初めて「同じ時間帯(時間割)に過去問を解いておく重要性」に気づきました。
なぜ受験生はこの対策をしておかなければならないのか。実はこの理由は、たった1つのキーワードで説明がつきます。それは、
【 脳の疲労度 】
です。
ようするに「脳がどの程度疲れているか」という、その疲れの度合いが、試験を受ける時間帯(時間割)によって全く違ってくるということです。
少し考えればすぐに気づくことですが、多くの受験生は目の前の勉強に励むあまり、試験本番におけるこの「脳の疲労度」という観点が抜け落ちています。
たとえばセンター試験であれば、初日の午前に社会があり、国語は13時からスタートして、80分間問題を解きます。その次は英語(orその他外国語)を受験するわけですが、その英語の試験を受けるときには、すでに午前に社会+国語を80分やってからスタートする形になります。にもかかわらず、たとえば直前の試験対策で英語の過去問を調子がいい午前中にばかり解いていたとしたら、その練習と本番で
【 試験スタート時点での脳の疲労度 】
がぜんぜん違ってくるのです。
したがって、「同じ時間帯(時間割)で過去問を解く」という対策をしていない人は、試験当日になってから、2科目目、3科目の試験スタート時点での疲労度が、ふだん過去問をやるときとは全く違うエネルギー低下状態であることに気づきます。
午後に試験が実施される国語や英語の過去問を、毎回午前中に解いて練習していたような場合は、かなり高い確率でいつもと違う感覚で本番を受けることになるのです。簡単にいえば、いつもよりはるかに脳が疲れた状態でスタートすることになるわけで、普段と勝手が違ってペースを崩してしまいかねないのです。
「試験本番は緊張感もすごいから、最後まで集中できるに決まっている」
と考えるのは、少し自分を過信しすぎているといえます。当然本番では緊張感はかなりあるでしょうが、脳の疲労度が高い場合は、たとえ本番であっても最後まで納得行くレベルで集中できるとは限らないのです。
だからこそ、「試験スタート時点での脳の疲労度」が本番と似たようなレベルの状態で過去問を解くことに、ある程度以上慣れておく必要があるのです。
たとえセンター模試を受けたことがある人でも、せいぜい受けたのは数回程度でしょう。それだけでは「同じ時間帯(時間割)でやった経験がある」という程度で、そのペースで試験問題を解くことに「慣れる」までは至っていない可能性が高いです。よって、あらためて自分でも過去問を本番と同じ時間帯(時間割)で解く練習を何度かしておいたほうがいいのです。
というわけで、「試験スタート時点での脳の疲労度」という視点を見逃していると、本番でいつもと全然違う感覚に陥って、足元をすくわれてしまうリスクを抱えることになるので注意しておいてください。
このリスクを未然に防ぎ、事前に慣れておくことが、「同じ時間帯(時間割)で過去問を解く練習をすべき理由」です。