- 2024-11-18
- 仕事の話, 働き方・キャリアの話, 効率的な時間管理術
こんにちは、中西です。
漫画家の大西巷一さんという方が、
「1日に集中できる仕事時間の限界」
について体験談を語っている興味深い投稿を見つけました。
(厳密には、その投稿をまとめたページ)
歴史漫画を主に描いている方で、最近では「乙女戦争」という漫画がヒットしている先生のようです。
大西さんがスタンフォード大学の労働時間に関する研究を見つけたそうで、その研究内容を見たことがきっかけで、
1日の労働時間をそれまでの12〜13時間から
「1日8時間以上働かない」
というルールに変更して働くことにした体験談になります。
以下、大西さんの投稿。(改行は中西)
「スタンフォード大学のある調査で、1週間の労働時間が50時間を超えてしまうと、1時間当たりの労働生産性が急激に低下し、
55時間以上になるとさらに悪化し、もはやこれ以上働いていても無意味という結果が明らかになりました。
これは実際その通りで、週に70時間以上働いていても、55時間の人と比べた仕事の成果は同じなのです。」
※参考:本記事下部に記載
この研究をベースにした体験談をXで何回かに分けて投稿しておられるのですが、以下にその投稿をまとめました。
個人的に面白かったので、1日の仕事や勉強の上限時間をどうすればいいか気になる方は、ぜひご覧ください。
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わりと最近まで一日12~13時間くらい働く生活をしてたんだけど身体がキツくなってきて、
「週50時間以上働くと労働効率がガタ落ちする」という研究成果の話を耳にしたので
「一日8時間以上働いてはいけない」
というルールでしばらくやってみたら、なんと仕事の進捗がほとんど変わらなかった。
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さらにストップウォッチで測りながら仕事してみたら、純粋に原稿執筆している時間は一日6~7時間くらいが精一杯だった。それ以上は気力と集中力がもたない。
連続で集中できるのは90分くらいが限度。多分今までは12~13時間働いてるつもりでもその半分くらいはネットをダラダラしてたんだと思う。
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結局、毎日の仕事時間は8時間まで(1時間に10分程度の小休止も含む)、
週に1日は完全オフ、残業は週に2時間程度まで、一日4~5時間はのんびりゲームや読書の時間を取る、くらいが一番仕事の能率がいいのかもしれない。少なくとも今の自分の体力では。
今後はそういうやり方で行くつもりです。
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・・・以上ですが、簡単に言うと
「1日8時間以上は、仕事をしてもろくに集中できないから、8時間以上やらないと決めた方が生産性が高い」
ということです。
(正確には大西さんは1時間内に10分の休憩をしているので、その時間を省いた「純粋に原稿執筆している時間」は7時間)
記憶力の良い方は覚えておられるかもしれませんが、
4ヶ月前に人気漫画家の東村アキコさんの超人的な仕事量(複数の連載の同時進行、プロダクション経営、劇場経営など)
の秘密を紹介した時も、全く同じような話でした。
ついでなので、その時紹介したインタビューも転載します。
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──ギャグ、歴史もの、少女漫画に大人の恋愛と、多くのヒット作を生み出していらっしゃいます。まずは現在抱えるプロジェクトを教えてください。
漫画は連載が2~3本で月に原稿を約80枚ですね。例えば『まるさんかくしかく』は、真っ白な状態から2日ほどで仕上げます。
それから芸人のプロダクションとその劇場経営、韓国での漫画連載とドラマ、あとはまだ言えないですが、動いている案件がいくつか。そんな感じです。
(中略)
──漫画はストーリーを作るのに苦しんだりする時間もありますよね?
それはないです、全く。子育ても落ち着きましたし、机に向かって漫画を描くことにストレスはありません。
仕事は平日の昼12時から夜7時までと決めていて、その間はずっと集中してます。
学生や会社員の方も1日7~8時間は授業を受けたり仕事をするわけで、特別なことではないですよね。
それ以外はご飯を食べにいったり料理をしたりドラマや映画を観て、自由に過ごしています。
──オン・オフがきちんと分かれているのですね。集中して疲れた脳はどのように回復していますか?
どんなに忙しくても睡眠は絶対に8時間以上と決めていて、10時間取ることもあります。寝ないと仕事がはかどらず、気分も落ち込み、てきめんに調子が悪くなる。
飲みにいっても1時には帰宅して寝ます。質のいい睡眠をこの20年心がけていますね。家具やインテリアはこだわりませんが、ベッドや枕は良質のものを。なるべくお金をかけています(笑)。
(中略)
漫画家の仕事は自宅でできて、自由で、人間関係のストレスもない。〝ラクなほうの仕事〟と思ってやっているのが大事なのかもしれません。
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・・・ということですが、大西さんと東村さんに共通しているのは、
「仕事時間の上限を7時間と決め、それ以上は仕事をしない」
としっかり決めている点です。
東村さんは、このやり方(と十分な睡眠の確保)で、圧倒的な仕事量をこなし、
大西さんも上限を7時間(休憩を含めると8時間)にすることで、
それまでのダラダラと12〜13時間仕事をしていた時よりも、生産性が高まったとおっしゃっています。
ちなみに、「こち亀」の秋本治さんや、「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦さんも、
全く同じように仕事時間の上限を決め、規則正しく仕事をして、40年以上も人気漫画を描き続ける生活を送っておられます。(確かお二人とも8時間位だったと記憶してます。)
上記の通り、スタンフォード大学の研究でもこのやり方の方が生産性が高まる(週50時間以上仕事をしてもあまり変わらない)ことが認められているわけです。
もちろん、個人差はあるでしょうし、締め切り直前かどうかなどの状況によっても違うでしょうし、仕事と勉強でも違ってくると思いますが、
「1日に集中できる時間は限りがあり、大体7時間〜8時間あたり」
という点は同じになる可能性が高そうです。
上限には個人差があることを踏まえても、おそらく自分が思っているよりも短い可能性が高い。
(スタンフォード大学の研究では、最大でも週55時間)
ちなみに、私も最近はこの考え方でやっていて、1日8時間と決め、その8時間の集中レベル・生産性を最大限に高めることを強く意識しています。
それ以上やることも一応できますが、余力があまり残っていないので、それ以上の時間は結局たいした内容のタスクができません。
それなら、その余力はインプットなどの比較的低いエネルギーでもできること(かつ、そこそこ重要なこと)に費やした方が得策だと思っています。
というわけで、1日の上限時間を決めていないと、いつまでもダラダラと長時間やっているのに、生産性はそれほど高くない状況に陥りやすいので、
1日トータルの生産性があまり納得いかない方は、よかったら参考にしてみてください。
※参考:一日12〜13時間働く生活をしていたが「週50時間以上働くと労働効率がガタ落ちする」という研究成果を元に一日8時間以上働かないことにしてみた結果 – Togetter [トゥギャッター]