- 2024-3-9
- 運動の話
こんにちは、中西です。
鳥山明さんが亡くなってあまりのショックで打ちひしがれていたところに、
今度はちびまる子ちゃんの声優TARAKOさんの訃報が届いて、頭が現実を受け入れ切れない状態です。
私の中でちびまる子ちゃんは初期の90年代に主題歌の「踊るポンポコリン」が大ヒットした頃に時々見ていて、
妹がりぼん(雑誌)も買っていたので、漫画でもたまに読んでいました。
そこからずっと見てなかったのですが、数年前に何かのきっかけで超久々に見てみたら、
ちびまる子ちゃんがあまりにも面白いことに驚き、20年ぶり位でおっさんになってから(Amazon Primeで)しばらくハマっていたことがありました。
まるちゃんの声は独特なので、何年も聞いていなくても、一瞬で脳内再生されますね。
余談ですが、ちびまる子ちゃんのエンディング曲の1つである西城秀樹さんの「走れ正直者」は、私のカラオケのおはこの1つです(どうでもいい)。
それにしても、こんな中途半端にちびまる子ちゃんを見てきた人間ですら、TARAKOさんが亡くなったことにショックを受けているので、普段見ていた人のショックは計り知れないと思います。
漫画・アニメ界で大きな訃報が続いてしまっていますが、
こんな時こそ、何か「漫画のプラスの側面」をお届けできる研究がないか少し調べてみました。
それでちょっと興味深い研究を見つけたので、今回はそれをご紹介します。
結論から言いますと、
【 子供時代にスポーツ漫画を読んでいると、大人になっても身体活動の量が多く、メンタルも良好になりやすい 】
ということが中国の研究で判明していました。
【参照】本記事下部に記載
この研究は、2021年9月に中国で行われた研究で、約1200人を対象にウェブアンケート形式で行われました(男性は約66%)。
子供時代と現在の状況等について回答してもらったそうで、質問の中には、
「子供時代にスポーツ漫画を読んでいたかどうか」
も含まれていました。
このアンケート結果を分析したところ、子供時代にスポーツ漫画を読んでいると、子供時代の活動量(運動量)が多くなるだけでなく、
成人になっても活動量が(子供時代にスポーツ漫画を読まなかった人に比べて)多くなることがわかりました。
さらに子供時代にスポーツ漫画を読んでいると、大人になったときのメンタルも良好な状態を保ちやすいことがわかりました。
まぁ、もともと「運動がメンタルに良い」ことは判明していますので、運動量の多い大人がメンタルの状態が良いのはある意味で当然ともいえます。
ただ、スポーツ漫画を読んでいる子供が、読んでいない子供より活動量が多いと言うのは、想像通りともいえますが、
それが「大人になってもまだ影響している」と言うのは、なかなかすごいデータではないかと。
もちろん少し考えれば、子供時代に運動していた方が、大人になっても運動を続ける可能性が高まる事は想像がつきますが、
こうやって研究ではっきりしたのは貴重です。
私自身も、この傾向は過去にいろいろ人を見てきて、また自分自身の経験からも感じていました。
10代にスポーツの経験がないと、社会人になってから運動習慣を取り入れるのは難しい感じなんですよね。
うちの父ももう70代でもっとウォーキングとか運動をしてほしいのですが、とにかく自主的な運動をほとんどしません。(昔から)
父は学生時代にスポーツをしていませんでしたので、その影響がおじいちゃんになっても続いている可能性が高そうなのです。
逆に、学生時代に運動部に入っていた人は、その後も運動を習慣にできる割合が高い印象です。
こういう例がよくあって、10代の頃にスポーツをしておくのがいかに重要かと言うことを、ある時期から非常に感じるようになりました。
10代で運動する重要性を強く感じていたので、甥っ子や姪っ子が中学生になった時も「運動部に入ってほしいな」と思っていました。
図らずも、私が甥っ子の誕生日に送ったスラムダンクの全巻セットを、その送った甥っ子はスラムダンクに全くハマらなかったのに、
小学5年生の姪っ子がどハマりして、小学生からバスケ部に入り、中学生になってもバスケをやっております。
姪っ子に限らず、スラムダンクを読んでバスケ部に入った人などゴマンといますが、そんな感じで
「子供時代にスポーツ漫画を読む」
というのは、単にスポーツ漫画を楽しむだけでなく、
結果的に運動部に入るなどして、スポーツをやるようになる可能性が高まるわけですね
さらに、それは子供時代にとどまらず、子供時代の運動習慣が、そのまま大人になった時まで引き継がれる(可能性が高い)ということです。
しかも、大人になったときに運動習慣があると言う事は、運動しない人よりもメンタルが安定しやすくなります。
この一連の流れが、今回の研究で判明したということです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、
「子供時代にスポーツ漫画を読めば、大人になってからメンタルが安定する」
ということになりそうです。
別の見方をすると、
【 漫画というのは、それほどまでに長期的に人生に大きな影響を与える 】
ということでもあります。
今回はスポーツ漫画の研究でしたが、スポーツ漫画に限らず、
面白い漫画は子供たちの人生に多大な影響を与えているのは間違いないでしょうね。
前回も書きましたが、人類はこれまで
「人はいかに生きるべきか」
というテーマを「物語」の形式で学んできて(神話・童話・聖書・古典など)、
現代では、それを漫画(アニメ)が担っている部分は相当あると思います。
手塚治虫さんの作品は、そういうメッセージ性が強いものが多かったですが、
鳥山明さんのドラゴンボールも、読者(視聴者)は知らず知らずのうちに、
善悪のあり方・向上心・公共心・諦めない精神・道徳観・倫理観・宗教観・死生観・武士道(的な精神)
といった、およそ人が生きていく上で大事なことの数々を、
ドラゴンボールという死ぬほど超絶に面白い物語を通して、いつのまにか学んでいた可能性は非常に高そうです。
興味深いのは、鳥山先生自身は
「漫画を描くときに、メッセージ性は一切考えない。ただひたすら楽しい作品を描くことだけ考える」
というポリシーで漫画を描いておられたことです。
この漫画を描くときのスタンスは、ワンピースの尾田栄一郎さんにも受け継がれているようで、彼も
「メッセージ性は一切考えない。エンタメに徹する」
と何かで言っていました。間違いなく鳥山先生の影響でしょう。
彼らがどういう意図で作品を描いていたとしても、結果として、漫画家の先生たちの「面白い物語」の徹底追究が、
「人はどう生きていくべきか」
という深遠なテーマについての学びの宝庫になっているのは、極めて面白い現象だと思いますね。
いずれにせよ、世界中の漫画ファンの読者は
「面白い漫画」
から、多くのことを学んでいるのは間違いないでしょう。
そんな「面白い漫画」の世界最高峰が、ドラゴンボールだったということです。
【参照】Can sports cartoon watching in childhood promote adult physical activity and mental health? A pathway analysis in Chinese adults: Heliyon
https://www.cell.com/heliyon/fulltext/S2405-8440(22)00705-8