- 2022-12-4
- 勉強の集中力アップに役立つアイテム
こんにちは、中西です。
このメルマガでは、よく集中力関連のアイテムを紹介することがあります。
最近ですと、集中力を安定させるための暖房器具や防寒グッズなどもよく紹介しています。
その時に紹介したリンク先の販売ページにレビューがあることが多いですが、アマゾンですと、
「低評価のレビュー」
が多くの人に支持されて、上位に来ていることが非常に多いです。
また、私が紹介しているものに限らず、アマゾンだと低評価のレビューがなぜか上位に来ることが多いのは、皆さんもご存じではないかと思います。
今回取り上げたいのは、この「低評価のレビュー」はどこまで信用していいのか?という問題です。
実は、本日私が一番好きな漫画「スラムダンク」の映画を朝一で見に行ったのですが、
見終わった後に帰宅後ネットの評価を見ると、賛否両論の真っ二つに意見が分かれていました。
個人的には、いまだかつて見たことないリアリティのCGアニメ映画を見たという感想で、(公開前に大炎上していた)主人公の声の違和感などのマイナス点を差し引いても、圧倒的に高評価でした。傑作だったと思います。
3人で見に行ったのですが、あとの2人も私とほぼ同じ評価で、もう一回見に行きたいと言っていました。私も(映画館かは分かりませんが)、もう一回以上は見ると思います。
とは言え、低評価のレビューを書いている人の気持ちもわかる部分は十分あるんですよね。
今回の映画はリアリティーの徹底追求など、これまでにない複数の方針で作られているので、映画に期待するポイントがそれと違うと、必然的に評価できなくなると思います。
だから、私は賛否両論に分かれたり、低評価のレビューが一定の割合であることも仕方ないと思っているのですが、問題はそこではなくて、
【 低評価のレビューがあまりにも高く支持されすぎている 】
ことです。これが良くない傾向だと思ったのです。
有名どころの映画レビューサイトが3つぐらいあって、特に気になったのがYahoo!映画と言うレビューサイトなのですが、
Yahoo!映画は、各レビューに「役に立った」という形で賛同できるボタンがあり、そのボタンを押した人の人数がわかります。ちなみにアマゾンのレビューでも、このボタンがあります。
今回のスラムダンクの映画のレビューを見ると、5段階の評価1〜2の低評価をつけているレビューは、高評価のレビューの10〜20倍もの「役に立った」の評価がついている傾向が、見事なまでにハッキリとあります。
高評価の「役に立った」は3〜5人なのに、低評価は50人とか、まさに桁が違う数になっています。
※参考:「THE FIRST SLAM DUNK」 の映画レビュー・感想・評価 – Yahoo!映画
https://movies.yahoo.co.jp/movie/375424/review/?movieId=375424&offset=60
なぜ、これほどまでに低評価ばかり支持が集まるのか?
しかも、これは別にこの映画に限りませんし、もっと言えば、映画に限らず、上記の通り、アマゾン等の商品販売ページでも似た傾向は見られます。
別に、高評価の内容がおかしいわけでもないのに、低評価にばかり票が10倍以上も集まる。バランスとして明らかに不自然です。
そこで少し考えてみたのですが、すぐに理由が分かりました。
これは、行動経済学で言うところの
【 損失回避バイアス 】
だなと。
「損失回避バイアス」と言うのは、
【 多くの人にとって「利益を得る喜び」と「損失の悲しみ」を比較すると、後者の方を大きく感じてしまう 】
と言う人間の特徴のことです。
これは行動経済学の基礎となるプロスペクト理論というものがベースになっていて、プロスペクト理論では、
「人間は損失を避けようとする習性がある」
と考えられています。
ここから2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の先駆者ダニエル・カーネマンが、「損失回避バイアス」を提唱しました。
彼の研究によると、「損失の悲しみ」は「利益を得る喜び」の2倍以上にもなると判明しています。
今回のスラムダンクの映画は、公開前から大炎上していて、私も最初そうだったのですが、
「観に行こうかどうか迷っている人」
がものすごく多い状態になっています。当然、こういう人は既に観た人のレビューを参考にしようとします。
理由は、もちろん「ハズレの映画を観て、映画代や時間を損したくないから」です。
(「原作のイメージを壊されたくないから」と言う理由もあるかも知れませんが、これも「損失」ですね。)
その思いが「損失回避バイアス」となり、「高評価以上に低評価を支持してしまう傾向が強くなる」と言うことです。
しかし、それは「バイアス」ですので、見方としてかなり偏っているのですが、このバイアスの存在を理解していないと、自分が偏った見解に賛同してしまっていることに気づかなくなります。
映画スラムダンクの低評価の異常な賛同者の割合を見る限り、この「損失回避バイアス」にはまっている人が非常に多いと感じます。
もちろん、この映画に限らず、アマゾンなどの販売ページで低評価レビューが賛同者を集め、上のほうに偏るのも同じ理屈ですね。
低評価レビューの賛同数の異常な多さは、損失回避バイアスが強くかかっている可能性が高く、そうであれば、その意見に賛同する事は、
「判断を誤る」
ことになるリスクが一気に高まるわけです。
というわけで、映画でも商品でも何でもそうですが、「低評価レビュー」は参考にはするものの、
その心理的なインパクトほどには、実は正当な評価とは限らないこともあるため、前提として、
【 損失回避バイアス 】
と言うものが、誰にでも強くあることを理解しておくと、判断を誤るリスクが低くなりますので、よかったら頭の片隅に入れておいてください。
それではまた。