※以下はメルマガからの転載です。
こんにちは、中西です。
本日は日曜日ですので恒例の雑談系ネタで。
(このメルマガは日曜日は雑談系のネタになることが多いです)
最近大前研一さんの本を読んでいて絶望的な気分になりました。
今回はその話なんですが、このメルマガは若い中高生を含め、いろんな方が読んでいるので一応大前研一さんについて簡単に解説しておきます。
ほんの少しでもビジネスについて勉強し始めた人なら、多分知らない人はほとんどいないほどの超有名人が大前研一さんです。
大前研一さんがどれほど凄いかと言うのはもはや説明も不要なほどで、逆に説明をしようとすると何から話していいのかわからず途方に暮れる位、
ビジネス界においては、大昔から非常に大きな影響を与え続けている人物です。
世界各国の大学教授を務めたり、著作は100冊以上、そのうち日本中の経営者に影響を与えたベストセラーも多数、
安倍総理や先日亡くなった中曽根元首相からもアドバイスを求められていたり、海外の国家元首クラスにアドバイザーとして関わっていたり、
日本でどこよりも早く動画のオンライン講義のMBAビジネススクールを開講されていたり、
英国エコノミスト誌からは、「現代世界の思想的リーダーとしてヨーロッパ大陸には彼に匹敵するグールー(思想的指導者)がいない」と評価されたほど。
一応プロフィールもコピペしときます。
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1943年、福岡県に生まれる。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。
(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。以来ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を務める。
現在は、ビジネス・ブレークスルー大学大学院学長、経営コンサルタント、大学教授として各国で活躍
経営や経済に関する多くの著書は百数十冊に及び、世界各地で読まれている
世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。
就任している教育機関
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院公共政策学部教授
ビジネス・ブレークスルー大学大学院学長
ビジネス・ブレークスルー大学学長
オーストラリアのボンド大学の評議員(Trustee)兼教授
韓国の梨花大学国際大学院名誉教授
高麗大学名誉客員教授
ペンシルベニア大学ウォートンスクールSEIセンターのボードメンバー
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…と言う感じの方で、国内外のリーダー層や経営者に影響を与えるほどの素晴らしい方で、私自身も大学時代から彼の著作をかなりの冊数読んできました。
私など全く足元にも及ばないほど社会的影響力もありすごい方なのですが、
昔から影響を受けてきたこの大前研一さんの
「ある分野での発言」
に、私はこの数年ずっと絶望的な気持ちになっています。
最近も大前さんの以下の本を読んでいたのですが、
相変わらずまた絶望的な気分にさせてくれました。
どういう話かといいますと、上記の本の中にこういう記載があるのです。
メルマガ読者さんの未来にも関わる極めて重要な話ですので、若干長いですがそのまま引用します。(青字が特に絶望的な気分にしてくれる箇所(。´Д⊂) )
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「日本は、GDP(国内総生産)の2倍近い1100兆円以上の借金(国および地方の長期債務残高)を抱えている逼迫した財政状況を踏まえれば、消費増税は不可避である。
ただし、8%を10%に上げたところで、どうにもならない。2%の増税によって増える税収は年間約5兆円とされるが、それではプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化にも程遠い。
仮に1100兆円を40年間で返すとすれば、単純計算で年間27・5兆円の税収増が必要となるが、消費税2%で5兆円なら、さらに9%上げる必要がある。10%+9%= 19% だ。
しかし、国立社会保障・人口問題研究所の推計(2017年)によると、日本の総人口は2065年に8808万人にまで減少する。
そうなれば消費も大きく減退するから、私の試算では、消費税を 25% 程度にしないと借金は返していけない。軽減税率やポイント還元で景気対策をやっている余裕はないはずだ。
日本は、それが約240% に膨らんでいるのだ。事実上、イタリアどころか、自国通貨が暴落したベネズエラやアルゼンチンと同じような状況なのである。
この国家的な危機から脱して子や孫にツケ送りをしないためには、政治家が日本の財政のシリアスな現状を国民に訴え、
それを消費増税で一刻も早く改善して将来世代が苦しまないようにしなければならない、と真摯 に説明する必要がある。ところが、そういう説明は全くない。」
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…このように書いてあるわけです(゚o゚;;
正直この部分を読んだとき、脱力とめまいで椅子から転げ落ちそうになりました。
私の全信用と命を懸けて断言しますが、大前さんのこの見解は完璧に間違っています。
そしてそんな事は、私が逐一上の内容にツッコミを入れなくても、このメルマガを数ヶ月以上ご覧いただいている方なら分かる方も相当多いかと思います。
上の引用部分だけで、ツッコミどころがあまりにも多すぎるのですが、
「プライマリーバランスの黒字化」
を達成しなければならないと言う前提で大前さんは話していますが、この時点でもはや完全に論外です。
財務省のプロパガンダにものの見事に引っかかっています。
「消費税を25%程度にしなければならない」と言ってますが、消費増税をしたら税収そのものが低下することも理解できていない。
「国の借金1100兆円」は自国通貨(円)建てであり、きっちり返していく必要性など全くないにもかかわらず、これをもって「逼迫した財政状況」と彼は説明しています。
そもそもバランスシートの負債の部だけを取りあげ「1000兆円の借金」というのは、会計上でも間違っているのです。
政府資産は約670兆円もあるし、負債の部にある「公債」「短期証券」のうち約500兆円は政府の子会社である日本銀行の持ち分です。
連結決算すればチャラになります。
えっと逆に、どうやって財政破綻すんの?
ねぇねぇ、誰かやり方教えてよ。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。
現にプロパガンダを広めている財務省自身、日本の格付けをボツアナ以下にした海外の格付け会社に
「日米などの先進国の自国通貨立て国債のデフォルトは考えられない」
と抗議しています。
財務省さまは海外の格付け会社に評価を下げられて、「ムッキー!!日本がそんなわけあるかぁぁー!」と顔を真っ赤にして怒った結果、
「つい本音をポロっともらした」
わけでございます。もうなんつーか、ここまで滑稽だとコントですな。
大前氏は、日本の財政状況について、財務省のプロパガンダに染まったマスコミの報道そのままの認識をしている。
その「国の借金」の貸し手は国民であるにもかかわらず、
「子供や孫世代へのツケ」
と言う、これも典型的なプロパガンダをそのまま真に受けている(もうね、アホかと)。
極めつけは国家破綻したアルゼンチンと同一視している(゚д゚;) ウソヤロ
まだこんなバカなことを言っているとは、本当にビックリします。
アルゼンチンのデフォルトは外貨建て国債(要するに外国からの借金)だから、当然破綻はあり得ます。
しかし日本のような自国通貨建ての借金の場合、破綻することなど不可能なのです。
歴史上、そんなバカげた事態が起こった国は当然一国もありません。今後も絶対に出てきません。
別に他のテーマで大前さんが何か間違ったことを言っていても、全然正直どうでもいいんですけれども、
この国の最も根幹的な大問題における認識を、
「最も基本的なレベルで」「完全に」
間違えておられるので、世の中に与える悪影響が尋常じゃないわけです。
例えばアマゾンのレビューを見てもこの本を皆さん絶賛しており、上記の恐るべき間違いについて指摘ている人は1人もいません。
経営者やビジネスリーダークラスに大前さんを信奉している人が多いので、彼の著作から影響を受けている人は、ほぼ確実に上記の部分の間違いも理解することはできないでしょう。
結果、日本中で影響力の大きい大企業や有名企業の経営者、政治家、インフルエンサーレベルの人たちは見事に彼の上記の発言をそのまま信じることになります。
そしてその誤った認識を様々なメディアでさらに拡散させていく。
それを見た一般の人たちは、当然その間違いに気付くこともなく、日本中で国民が認識を間違え、緊縮財政が続行され、みんなで貧困スパイラルにはまっていくわけです。
私が昨年から指摘していることや紹介してきた本などをすでに読んでいる方は、ここまでの私の話の意味が分かるはずです。
ここまで読んで私が何を言ってるのかよくわからない人は、時間のある時に一刻も早く以下の本のいずれかを読んでください。
▼「10%消費税」が日本経済を破壊する──今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を (晶文社、藤井聡著)
▼「全部無料」「オールカラー」「音声付き」でYouTubeで上記の漫画を公開中
(本が難しい人・本を買うお金が無い人は↑のYouTube動画だけでも見ておいてください)
大前研一さんと言うのは「リーダーのリーダー」のような存在なので、これほど影響力のある人がここまで見事に完璧なる間違いを犯しているのは、あまりにも罪深いです。
実は私が最も尊敬している言論人のMさん(すでに何度かこの方の名前はこのメルマガでも書いているので、誰かわかる人も多いと思いますが今回は伏せます)は、
言論界に10年位前に突然彗星の如く現れた方なのですが、当時まだアラフォーだった彼は、出版界の人たちから「大前研一さんの再来ですね」と言われたことがあるそうです(ご本人が話されてました)。
それに対しMさんは「あんなのと一緒にしないでください」と思っていたとか。私はその意味がものすごくよくわかるんですよね。
といいますか、この意味を日本人全員がわからない限り、現在の国民総貧困化はますます猛スピードで激しくなるため、令和恐慌なんてのはほぼ確定、さらにその先のもっと恐ろしい国民総貧困化が、確実に待っています。
別に煽っている要素はゼロで、現在日本で起こっている状況を、事実のみ冷静に積み重ねていけば、どう考えてもそういう結論にしかなりえませんよ、絶対に。
さぁあなたは、世間的には全く無名で「勉強の集中力」などと言う勝手に自分で作り出した職業で食べている胡散臭い中西が正しいことを言っていて、
国内外から高く評価され、世界中の国家元首のクラスが参考にしているほどのリーダー中のリーダー大前研一氏の方が、実は日本の最も重要な部分において、論外なレベルの間違ったことを言っている
…そんなことが本当にあると思いますか?
答えから言いますと、そんなことが普通にあるんですよ。
繰り返しますが、この1回のメルマガでは大前さんの間違いの詳細を解説するのはあまりに長くなりすぎるので(ここまでも十分長いですが)、
「とにかく今回のメルマガの内容がよくわからない」
「何やら言ってることが難しい言葉でいっぱいだ(>_<)」
と感じる人は(そういう人は多いと思います)、1日も早く消費増税反対ボットちゃんの漫画を読んでください。
このマンガは私が10年間待ち続けた漫画ですから。
私は何度もこの漫画を「救世の漫画」と言っています。
ちなみにこの漫画のアマゾンレビューは大絶賛の嵐ですが、最近サクラが多いアマゾンレビューの中、この漫画の評価はサクラではなく「極めて正しい評価」だと言い切れます。
▼「全部無料」「オールカラー」「音声付き」でYouTubeで上記の漫画を公開中
本当にこの国の貧困問題は、あまりにも闇が深すぎます。
それではまた。