- 2025-8-21
- 目標を設定する
こんにちは、中西です。
前回は「目標は紙に書くだけで実現する」という、
長年自己啓発界隈で言われてきた話の元となったイェール大学の1953年の研究が、
実は同大学の調査によって存在しなかったことが判明した、という話でした。
今回はこの流れで、別の目標達成に関する研究の話をご紹介します。
目標を達成するために必要な要素の一つとして、「やり抜く力」があります。
ところがこれまで、このやり抜く力を測定する客観的な指標は存在しませんでした。
そこで、東京大学の研究グループが、このやり抜く力=グリットを予測する方法を開発する研究を行いました。
※参考:本メール下部に記載
研究グループは、脳の中でも特に「行動を最後まで続ける力」に関係すると考えられる大脳前頭極に注目。
実験では、健康な人たちに難しいパズルを解いてもらい、その難しいパズルをやり抜いた人と途中で諦めた人を比較したようです。
その際、実験前にMRIで「大脳の前頭極」の構造を撮影して記録していました。
この構造の違いが、やり抜く力を測定できるかどうかを調べたのです。
その結果、やり抜いた人と諦めた人を比較したところ、前頭極の構造に違いが見られました。
この違いから、やり抜く力の予測モデルを開発。
さらに、その予測モデルを用いて、2つの長期目標の課題をやり抜けるかどうかを調べたところ、80%以上の精度で予測ができたとのことです。
つまり、大脳の前頭極の構造によって、人のやり抜く力を予測できる(可能性がある)ということ。
興味深いのはここからで、その予測によって「やり抜けない」と想定されたグループの人たちに、
目標を小さなステップに分ける学習プログラム
を使ったところ、ほとんどの人が最後までやり抜いて達成できたのです。
しかもその後にMRIを取り直したところ、前頭極の構造まで変わっていたそうです。
つまり、脳がもともと「やり抜けない」ような構造になっていても、
目標を小さく小分けすることで、脳の構造が変化し、やり抜く力そのものがアップする可能性があるということです。
一般的にも、目標を設定したらそのプロセスに小さな目標を作り、サブゴールを積み重ねていくと良い、というテクニックは知られていますが、
これが脳の構造的にも正しいことが判明した形になります。
というわけで、目標を達成するために必要な「やり抜く力」は、大脳の前頭極の構造で予測できる可能性があります。
しかし仮にその構造が「やり抜く力が低い構造」の人であったとしても、
【 目標を小分けにしてスモールステップに刻む 】
ことで、脳の構造まで変化し、やり抜く力が高まり、目標を達成できる可能性が高まります。
改めて「目標を小分けにするパワー」はすごいということになりそうです。
ちなみに私が推奨してきた「短時間刻みの集中法」も、本質的には目標とする時間を小分けにするテクニックです。
ある意味で、それが脳科学的にも効果が認められた形になるので、その点でも個人的には嬉しい研究結果でした。
※参考:Plastic frontal pole cortex structure related to individual persistence for goal achievement | Communications Biology
https://www.nature.com/articles/s42003-020-0930-4


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