- 2022-11-18
- 効率的な時間管理術
こんにちは、中西です。
Twitterがイーロンマスクに買収されて、色々大変なことになっています。
買収当初は、Twitterのシステムが大きく変わることが話題になっていましたが、最近は、Twitterの社員に注目が集まっています。
理由は、従業員7500人の半分が大量解雇され、さらに残った従業員に対しても、イーロンマスクがとんでもない長時間労働を強要しようとしているからです。
結果、そんな長時間労働は受け入れられないと言うことで、解雇されなかった従業員も大量に自ら離職し始めています。
▼ツイッターで大離職開始、マスク氏の「激務」通告受け(AFP=時事)
上記の記事から一部引用しますと、
『マスク氏は従業員7500人の半数を解雇した後、残る従業員に対するメッセージで、競争が激化する中で成功するためには
「極めてハードコアになる必要がある」
「これは、集中的な長時間労働を意味する。並外れたパフォーマンスだけが合格できる」
と主張した。
従業員は、17日午後5時(日本時間18日午前7時)までに指定のリンクを開いて「新しいツイッター」へのコミットメントを示すよう指示された。
従わなかった場合、給与3か月分の退職金が支払われ、解雇される。』
…と言うことで、要するにイーロンマスクは
「長時間労働を覚悟できない奴は、会社を去れ!」
と言っているわけです。
アメリカと日本の違いや法的な話はともかくとして、私はこのイーロンマスクの対応をみて、
「イーロンマスクが理解できていないこと」
が2つあることに気づきました。その2つとは、
1.労働時間と生産性の関係
2.従業員として働く人間の気持ち
…この2つを彼は理解していないんだろうなと。
1つ目は、
「労働時間が長くなればなるほど、生産性が低下する」
と言う事が、複数の研究ではっきりしているからです。
アイスランドの政府が行った調査でも、労働時間や日数が短くなるほど、生産性が高まり、幸福感も高まることが判明しています。
他の調査でも、労働時間が長くなるほど、自分の主観的な生産性は高まった気分になるものの、実際の生産性は(自分の主観とは全然違い)著しく低下することがわかっています。
こんなデータはいくらでもあり、それゆえに、時代の流れは、週休3日制になりつつあるわけです。
確かにイーロンマスクは天才ですし、彼自身が世界一の金持ちになっても、いまだに
「寝ている時間以外は全て仕事」「睡眠は机の下でとっている」
という超ハードワーカーであり、その点は尊敬に値すると思います。
ですが、経営者と従業員は全く違うわけです。
それが2つ目の
「従業員として働く人間の気持ち」
をまるで理解できていない点につながるのですが、今回のイーロンマスクのTwitter従業員に対する対応を見て、
私はイーロンマスクが「過去に1度も従業員(会社員)として働いた経験がない人間」だろうと確信しました。
彼のキャリアは、PayPalとテスラを作ったこと以外全く知りませんでしたが、調べてみたところ、やはり従業員として働いた経験はなく、学生時代からいきなり弟と起業をしています。
こういう人は、自分個人の成功パターンを従業員に当てはめようとするんですよね。
個人としては天才なのですが、こういう人の下に着くと地獄を見る可能性が極めて高いです。
たしか彼は、火星にも人類を飛ばす計画をしていたと思いますが、こういう事業家としての天才は、事業としての目標を達成することが何よりも重要であり、「従業員の幸福」については全くと言っていいほど考えないタイプだと思われます。
いわゆるサイコパスです。もしくはそれに限りなく近い。
スティーブジョブズもそうでしたが、優秀な経営者にサイコパスは多いのです。
実際、イーロンマスクは
「週40時間労働で世界を変えた人間はいない」
とか言っていたそうですが、この言葉を見ても彼の視野には「従業員の幸せ」などというものは微塵もないと思われます。
もっと言えば、世界を変えるほどの事業のためなら、従業員などただのコマにすぎず、使い捨てで良い…ぐらいに考えている可能性は高いと個人的には思います。
したがって、彼の事業のミッションに心底共感して、そのためならプライベートも何もかも全て投げ出して構わない、と思える従業員でない限り、Twitterでは今後やっていけないはずです。
しかし、Twitterが有名になったのは十数年前ですから、今いる社員の大半は有名になってから入ってきた社員でしょう。
そういう社員と言うのは、志に共感したからではなく「Twitterと言う有名ないい会社に所属している自分」に満足するタイプの人たちが多いので、
イーロンマスクのような強烈なミッション追求型で、従業員に長時間労働を求める会社になると、離れていく可能性が濃厚です。(実際にいま大量離職が発生しているのはそういうこと)
いずれにせよ、長時間労働をすればするほど、自己満足が手に入るだけで、実際の生産性が落ちる可能性が極めて高いのです。
天才のイーロンマスクは長時間労働で生産性も上がるでしょうが、一般の従業員は全く違うわけです。
よって、長時間労働にコミットできる人間以外は全員解雇する(退職させる)と言うイーロンマスクのやり方は、
「従業員として働く人間の気持ちがわからない」
と言う、いい意味でも悪い意味でもイーロンマスクの資質・人間性から来るものであり、今のところこのやり方は悪手だと、個人的には思います。
まあ私はTwitterは1年前から完全に距離をおいたので、Twitterがどうなろうと潰れようと何も影響は無いのですが、
この世界一の金持ちの天才サイコパス経営者のTwitter従業員に対するやり方は非常に興味深いものがあるので、
こんなやり方でマネジメントとしてうまくいくかどうか、またこのやり方でTwitterの業績が大復活するのかどうか、今後注目していきたいと思います。
それではまた。