- 2016-11-27
- おすすめ記事, その他・雑談, 勉強のストレス解消法
こんにちは、中西です。
このブログは、ときどき私の独断と偏見で「おすすめ映画」の話をしているのですが、今回もそのシリーズ。
しかし、今回の映画はこれまで紹介したものとは、おすすめ度がまったくケタ違いだと思ってください。今回の映画はもう本当にマジでやばいです。
もちろんネタバレは無しで行きます(公開されているあらすじくらいは書きますが)。
地球人全員に観てほしい衝撃の傑作映画
まず私の本音を言いますと「おすすめ映画」どころの騒ぎじゃなくて、
「これはもう、地球人全員に絶対観てほしい映画やないか!!!」
と本当に思いました。たぶんすでに観た人の多くも、それに近い感想を持ったはず。そういう映画になります。
おそらく今後しばらくしてからテレビでも放送されるでしょうし、数年後には全国のほとんどの学校でこの映画が視聴されることになるのは間違いないと思います。
世の中に素晴らしい映画は山ほどありますし、私自身も映画は観てきたほうですが、ここまで心を揺さぶられた映画が他にあっただろうかと思い返してみると、たぶん「心が揺さぶられまくった」「衝撃を受けまくった」映画という意味では、これ以上の映画は無いです。
ようは過去最高に、感情が揺さぶられる強烈な映画だったということです。
しかもね、日本のアニメですからね。
ええ、もう分かった人も多いと思いますが、その映画とは
「君の名は。」
・・・じゃなくてm(_ _)m、
「君の名は。」も本当に良かったですが、まさか「君の名は。」の衝撃がかすんでしまうほどのアニメ映画に、このわずかな短期間で再び出会ってしまうとは思いもしませんでした。
そうです、もう分かった方もいるでしょう。その映画とは、11月12日に公開してからものすごい勢いで話題になっている、
「この世界の片隅に」
です。
いや~~~~~、もうね、マジでね、この映画だけは本当にヤバいんですよ。ヤバすぎるんです。
2016年は、「シン・ゴジラ」「君の名は。」だけで十分日本映画が大豊作の年だったといえるわけですが、まさかこの2つを超える大傑作がこのタイミングで出てくるとは誰が想像したでしょうか。
逆に冷めてしまうほどの“異常なほどの大絶賛の嵐”は、ステマではなく本当だった!
実は公開直後から、いくつかのメディアやらサイトやらでこの映画を絶賛している著名人・評論家を何人か見かけたのですが、どれも絶賛の仕方が尋常じゃなかったんですよね。
普通のよくある高評価じゃないんですよ。みなさんすごい絶賛をされてたのです。
映画評論家の町山智浩さんは「今年NO.1の最高傑作の映画」と言う評価、
同じく映画評論家の宇多丸さんは「5000億点の映画。間違いなく日本アニメ史ではなく日本映画史に残る大傑作。すさまじい作品。『火垂の墓』と『トトロ』の2大傑作を融合させたような恐ろしい1本。万人にお勧めします」というかつてない最高評価、
岡田斗司夫さんは「本当に凄い映画。すごく感動したが本当に凄すぎて言葉にならない、感動しすぎて泣くことすらできないレベル。アニメの新しい領域に入った映画。絶対観ないとダメ。全員今すぐ観に行くべき。点数は100点。アニメ以外も含めて間違いなく本年度No,1の映画」、
評論家の古谷経衡氏は「『君の名は。』も『シン・ゴジラ』も10年に1度の傑作だと思うが、『この世界の片隅に』はおそらく100年に1度の傑作。本当に歴史に残るような、もしくは世界遺産になるレベル。本当に絶対観ていただきたい」とまでおっしゃってます。
アニメーション監督・演出家の山本寛さんは
「これは今年ナンバーワンどころの話ではない、紛れもなくこれは『歴史的偉業』であり、もっと言えば、『事件』である。つまり、他のありとあらゆる過去の作品を葬り去るくらいの威力のある『破壊的』な作品なのだ。『この世界の片隅に』をもってアニメが今日終焉を迎えても、誰も後悔はしまい。」
そのほかの著名人の感想では、
「私が今までの人生で観たなかで、もっとも素晴らしいアニメーションである。この作品は、新しい感動を与えてくれた。いまの時代が呼び寄せた、まったく新しい感動だ。これまでに自分が『感動』と思っていたものが色あせてしまうほどの驚きで、目を開かせてくれた作品である。」 三枝成彰(作曲家)
「息を呑む傑作――。『君の名は。』に比するアニメ表現の豊さ。『火垂るの墓』に比する哀しさ。『あまちゃん』に比する愛おしさ。主人公すずさんの声を当てた女優のんさん主演の大傑作として消えることなく、千年先もこの世界の片隅に燦然と輝き残るだろう。」 水道橋博士(浅草キッド/漫才師)
「この『片隅』に生きる市井の人々の暮らしが、心の『ど真ん中』に残って、離れない。
永久に語り継がれるべき、大傑作!!!!」 伊賀大介(スタイリスト)
「大げさでなく、この世界のすべての人に見て欲しい映画です。」 小玉ユキ(漫画家)
「これは文句なしの傑作だ!」 大槻ケンヂ(筋肉少女帯)
知らない人がこれらの評価だけを見ると、あまりにもありえない高評価のせいで「この人たちいくらかもらってんじゃないの?」「サクラだろ」とか邪推されそうですが(笑)、上記の評論家・著名人の皆様の高い評価に対して、私自身の感想を言うと、上の皆様と完璧に同じ意見です。
ここまで評価を聞いても、自分が観てないときは冷めてますから「そこまで絶賛するほどかね?」と思ってしまうわけです。今のあなたのように(笑)
私も観る前はいまいちピンと来てませんでした。内容は戦争映画ってことと、なんだかゆるふわな感じの女の子が主人公っぽいなと。
もう戦争映画はけっこう観てきたし、今さら戦争映画なんてしんどいわ。舞台が広島と呉やし、どうせまた原爆の悲しい映画なんやろと。
ただ誰の評価を見ても「なんかちょっと絶賛の仕方が、普通じゃないな」という印象でしたので、まあ観に行ったわけです。
この映画の何がそんなに凄いのか?~過去のどの映画もスルーした“日常生活”を逆に超リアルに描いたこと~
この映画の良さを観ていない人に文章で伝えきるのはほぼ不可能ですが、それでもあえてポイントを言うなら、
【 ただただ、淡々と、日常生活が描かれている 】
点です。ほとんどこれに尽きます。
これが傑作映画の最大のポイントだと聞いて、観る前にその意味を理解できる人は皆無だと思います。
私も事前情報でこの点は聞いていたのですが、なぜそれがそんなにもすごいことなのか、全くわかりませんでした。
「すごい映画」「面白い映画」というのは、とんでもない展開や、予測不可能なストーリーや、面白いキャラクターや、ものすごいアクションやCGが駆使されている・・・というのが普通です。
「君の名は。」にしても、予想外の展開や映像美・音楽とのマッチングが素晴らしいといった点で傑作に仕上がっていたわけです。
ところが、「この世界の片隅に」は、そんなヒット映画のセオリーを吹っ飛ばすかのように、ただただ、日常生活が続くのです。
あるふつうの家族の「密着ドキュメント」をアニメで観ているような感覚すらあります。
それと、きっとあなたが想像している10倍くらい、映画全編を通して“笑い”もちりばめられています。5~10分に1回くらい笑いがあった印象です。絵もふわっとしているので、ちびまる子ちゃん的ですらあります。
それくらい戦争映画っぽくない、ゆるい「普通の生活シーン」ばっかりなのです。どう考えても、そんなものが映画として面白いわけないじゃないですか。
ところが、これ以上はもう文章ではほぼ説明不可能なのですが、「日常生活が、ただひたすら淡々と描かれている」ことが、これほどまでにとんでもない破壊力を持っているとは、誰が想像できたでしょう。
私なりに理由を考えてみたのですが、こういうことではないかなと。たとえば私の祖母は90代半ばなので、ちょうど主人公のすずさんと同じくらいの世代になります。
ありえないことですが、もしも仮に、私の祖母が祖父と結婚したばかりの、二人が若いころの毎日の日常生活が、隠しカメラによる密着映像としてそのフィルムが何ヶ月分も残っていて、若い二人が普通に毎日生きている映像を見せられたら、ただの日常生活の映像なのに、私はきっと衝撃を受けて号泣してしまうと思います。
この映画はまさにそんな感じで、私たちの祖父母の世代、先人たちの世代が、私たちと同じように、当たり前の日常を普通に生きていたことを、これ以上ないほどリアルな描写ではっきりと気づかせてくれるのです。
あまりにも意外なことに、これほど映像コンテンツが無限に溢れているこの時代に、そんな祖父母・先人たちの「普通の日常生活」を何らかの映像コンテンツとして観る機会が、なんと私たちには今までほぼまったく無かったということです。
そのスッポリ抜け落ちていた穴に、もしかしたらもっとも大切なことかもしれない部分が抜け落ちていたその穴に、この作品が光を当てて、見事なまでのリアルな描写で、まるで本当に過去の密着フィルムを見るかのような映像で、何の押し付けがましさも無く、私たちに気づかせてくれた。
結果、それがあまりにも衝撃的だった。
そういうことなのではないかなと。
主人公すずを演じる女優のんの“普通じゃない普通の声”が、逆に作品にとんでもない奇跡を起こした!
私は映画が始まった直後くらいから、もう「これはヤバい、ヤバい、ヤバい」の連続で、泣きそうになる自分を必死で抑えていたのですが、スクリーンに映し出されていたのは、感動の名シーンでもなんでもない、ただの日常生活の描写なのです。
「俺はなんでこんな普通のシーンでこんなに泣くのを必死でこらえているんだ!?」と、もう自分で自分の感情がわからない状況でした。が、あとでわかったのですが、そういう人はかなり多かったようです。
これが声優として初仕事という女優のんさんの声も、この映画を傑作にしたかなりの要因を確実に占めていたと言えます。
多くの人がのんさんの声を絶賛されていて、映画評論家の多くの方もこの映画が凄い理由の1つに挙げているくらいでした。観たらその意味はわかります。それぐらいに声がすさまじくハマっていたのです。
私は映画におけるキャラの声など全く気にしないタイプですが、声だけでこんなに凄いことになるのかと衝撃を受けました(゚o゚;;声の影響力をここまで感じた映画・アニメも初めてです。
いい意味で素人の声だったのです。ジプリの「素人くささを出す玄人の声」とは違う、本物の素人の声。でも本当にただの素人ではなく、素人臭さを演じているわけでもなく、明らかに何かを宿している“普通じゃない普通の声”が、この映画に底なしのエネルギーを与えたといえます。
「主人公すず」のキャラと「女優のん」さんの声のマッチングは、絶妙という領域をこえて、もはや奇跡的といえるレベルの、恐るべきマッチングでした。
ええ、あなたは今、まったくピンと来ていないのはわかります(笑)。繰り返しますが、私もそうだったので(´-`)
凄すぎる映画は、「予告編」が逆に面白くない説
個人的にちょっと面白かったのは、見終わったあとでこの映画の「予告編」を観てみたのですが、まったくこの映画の良さが伝わっていないΣ(゚Д゚;)。
でもよく考えたらそりゃそうなるはずです。
この映画は「予告編」では絶対にその最大の良さを伝えられません。なぜなら、感動的なシーンや名シーンやCGや面白い話の展開が、この映画のポイントではないからです。
ふつうのアニメで淡々と流れていくごく普通の生活シーンに肝があるので、その一部を切り取っても、予告編はあまり面白くならないわけです。
普通は予告編の方が圧倒的に面白いわけですが、ここまでの傑作になると、もう予告編では良さがまったく伝わらないというのは個人的に面白かったですね。
反戦映画なのに、思想の“押し付けがましさ”まるで無いのが逆に凄い
この作品は、戦争アニメ映画としてこれまで金字塔だった「火垂るの墓」を完全に超えたと思います。しかも、この映画は反戦映画としての思想の押し付けがましさがまったく無いのがすごいのです。
反戦的なメッセージを強く訴えかけてくるシーンがほとんどなく、キャラに思想的なセリフを言わせたり、お涙頂戴の意図を感じさせる部分も一切なし。ただただ当時の日本人がふつうに生きていたことを、そして戦争に巻き込まれていったことを、普通の日常でよくある笑いを交えながら淡々と描写しているからこそ、インパクトが逆に強烈になり、私も含め多くの人が大絶賛しているのではないかと思います。
なんでもないような日常生活が、普通の描写が、これほどまでに人の心を揺さぶるのかというかつて味わったことの無い衝撃を、あなたは映画館で味わうことになります。そして、きっとあなたの予想は裏切られる。
これ以上はもう何も言えません(ノД`)・゚・。
とにかく観に行ってください。
繰り返しますが、私はこの映画を日本人全員どころか、地球人全員に観てほしいと思っているほどです。
きっとこの映画を観た多くの人も、私と同じような気持ちになっているのではないでしょうか。
今とあるサイトを見たら、総評として「全人類が観るべき示唆に富んだ作品」としてまとめられていました。全く同感です。
映画が終わった後のほうが、逆に泣けてくる不思議な作品
余談ですが、私は映画館を出た後、他の人と同様、精神状態がヤバすぎたので、精神のバランスを保つために予定を変更して30分ほど歩いたのですが、その間泣けて泣けてしかたがありませんでした。
今思うと知らない人がその姿を見たら、数分前に女に振られたおっさんにしか見えません(つД<)・゚。。帰り道で涙が止まらないなんて、こんな経験はさすがに初めて。観た人はわかると思うけど。
本作を鑑賞後、ざっとネットのレビューを観ましたが、「映画を観終わってから、日常生活の中で思い出して急に泣けてくる」という感想が多くありました。全く同感なのです。
この映画は、とくに「観終わって、日常生活に戻ってから、ふとした瞬間に思い出して泣けてくる」映画なのです。こんな映画はいまだかつてなかったと思います。
その涙は「悲しみの涙」じゃなく、逆に「嬉し涙」なんじゃないか説
映画館でもまあ多くの人がすすり泣いてましたが、その涙に占める「悲しみ」の割合は、きっとそんなに多くないはず。
むしろ明るい気持ちになれて、生きることの素晴らしさや希望を見つけることができた“嬉し涙”にそれは近いのではないか。
戦争に負けた悔し涙でもなく、悲しみいっぱいの涙でもない。ただ人はどんな状況に置かれても、日常生活を大切にしながら、明るく前向きに生かなあかんと、勝手に、自然に、気づかせてくれる映画。
だから受験生が観ても、時間が無駄になるどころか、翌日からものすごいエネルギーを得られる可能性が高いと思って紹介しています。(ただし観た当日は放心状態になりかねないので、一日の後半に行くのがおすすめ)
戦争映画は、見終わったあとに人間の愚かさに気づかされ、深い悲しみでグッタリしてしまうことが多いですが、むしろこの映画は毎日すぎていく当たり前の日常生活の大切さ・尊さを自然に気づかせてくれ、温かい気持ちにさせてくれる実に不思議な、稀有な、革命的な、傑作映画です。
これ以上の説明は私には無理なので、忙しい人も多いと思いますが、全力で時間をとってこの映画を観に行ってほしいと思いますね。
それではまた。