- 2025-12-1
- スマホの話
こんにちは、中西です。
スマホやパソコンを使う時間が長い現代人にとって、このデジタル機器の利用が
「脳にどの程度の悪影響を与えているか」
は気になるところです。
私の親も高齢になってきたので、特に高齢者にとって認知機能に悪い影響が出ないか心配になることもあります。
巷では今までもそういう話はよくありましたが、今回このテーマについて一つの回答が出たと言ってもいい
大規模なメタ分析の結果
がありましたので、ご紹介したいと思います。
結論から言いますと、
【 デジタル機器の使用は「認知症リスクを下げる」方向に働く可能性が高い 】
ということが大規模なメタ分析で判明しました。※参考:本メール下部に記載
これはアメリカのテキサス大学とベイラー大学の共同研究ですが、
これまでは、スマホやPCなどのデジタル機器と脳の関係には2つの正反対の見方がありました。
一つは「デジタル認知症」という考え方で、スマホやPCの使いすぎが脳を退化させ、認知症のリスクを上げるのではないかという悲観的な説です。
もう一つは「テクノロジー・リザーブ」という考え方です。
スマホやPCなどテクノロジーの利用によって脳で情報処理や記憶、社会参加などが促され、
脳の認知力が高まることで老化を防ぐ
という前向きな説ですね。
どちらが正解かはこれまでハッキリしていなかったようで、研究者によると、
「通常のデジタル機器の使用の範囲で、『使い過ぎることで生じる脳の疲弊』や『デジタル認知症』に至ることを示す、信頼できるエビデンスはなかった」
とのこと。
今回の研究ではこの真相を探るべく、8つの主要論文データベースを徹底的に調査して、大規模な分析が行われました。
条件は「50歳以上」で「スマホやPC、インターネットなどのデジタル機器を日常的に使っていること」。
そして「認知機能の測定」または「認知症発症データ」がある研究に限定しています。
この分析の結果、136本の研究が該当し、そのうち57本(約41万人分のデータ)がメタ分析に使用されました。
対象者の平均年齢は68.7歳で、女性が53.5%を占めていたようです。
で、分析の結果は非常に興味深いものでした。
デジタル機器を利用している人は、そうでない人に比べて認知症や軽度認知障害のリスクが58%も低かったのです。
さらに、認知機能の低下スピードも26%遅いという結果でした。
認知症のリスクが約6割減はすごいですね。
この効果は、年齢や学歴、収入、健康状態などを調整しても維持されており、
デジタル機器の利用が「独立したプラス要因」として働いている可能性が高いと考えられます。
また、研究の質が高いものだけに絞って分析しても、同じ傾向が確認されました。
では、なぜスマホ・PCなどのデジタル機器が脳に良い影響を与えるのでしょうか。
研究では因果関係までは断定していませんが、考えられる要因として
「情報検索や学習による認知刺激」
「SNSやチャットによる社会参加の増加」
「マルチタスク的な処理による脳の活性化」
などが挙げられています。
PCやスマホを使う行為そのものが複数の脳ネットワークを同時に働かせるため、結果的に
「認知予備力」
(=脳の病気や加齢の影響があっても認知機能の低下を抑えることができる個人の潜在的な能力)
が高まるのではないかと推測されています。
つまり、「デジタル機器の使用は脳に悪い」というイメージは誤りであり、むしろ
「認知症リスクを下げる」
方向に働く可能性があることが、約41万人のメタ分析で判明したということです。
認知機能の低下スピードも遅くなりますので、高齢者のデジタル機器の利用は脳の健康維持に有益だといえるでしょう。
この結果は、これまでの一般論(スマホは脳に悪い的な話)と比べるとかなり意外ともいえます。
ただ私自身はスマホやPCを使いながら相当頭を使っている実感があったので、
デジタル機器を通して肉体で言うところの「筋トレ」をしまくっている実感があり、それが「脳に悪い」というのはどうもしっくりこなかったのです。
今回の大規模なメタ分析によると、その私の直感はどうやら正しかったようです。
研究者によると、まだ因果関係の検証には研究が必要のようですが、少なくとも
「スマホ=脳に悪い」
と短絡的に考える状況ではなくなりつつあると言えそうです。
(まあ使い方によってはそういう脳に悪い側面もあると思いますが、普通に使っている分には
「認知症リスクが約6割減」
「認知機能の低下スピードも26%遅い」
という約41万人の分析結果なので、脳にプラスに働く可能性が高そうです)
今後は「デジタル機器を上手に使うこと」が、脳の若さを保つ新しい習慣になるかもしれません。
スマホやPCをうまく使いこなすことができれば、ある意味で脳のアンチエイジングになると考えられます。
繰り返しますが、私の見解としてはおそらく「スマホやPCの使い方」によって、
「脳の認知機能を高める」ことの方が通常は多いですが、「脳に良くない影響を与える場合もある」ということではないかと思っております。
何も考える必要がない、中身の薄い動画ばかり1日ボーっと見ているだけだと、たぶんダメではないかと笑
自分のデジタル機器の使い方を振り返ってみて、
「頭を多少なりとも使っている実感」
があれば、おそらくプラスの方の影響が出る可能性が高いでしょう。
というわけで、成長期の子供は別として、基本的に大人(特に高齢者)はスマホやPCの利用は概ね脳に悪いわけではなさそうなので、
「デジタル機器の使用で認知症リスクが高まらないか?」
など、そこまで悲観的に考えなくても良さそうです。
※参考
A meta-analysis of technology use and cognitive aging.
https://pmc.carenet.com/?pmid=40229575
日常的なデジタル機器の使用は高齢者の脳の健康を守る?
https://www.carenet.com/news/general/hdn/60606


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