- 2025-11-14
- その他・雑談, 働き方・キャリアの話
こんにちは、中西です。
テレビに出られなくなった松本人志さんの復帰場所として、月額1100円のダウンタウン+(プラス)が11月1日から開始されました。
(後で話しますが、私も初日の生配信の直前に入会しました。)
このダウンタウン+の会員数が、サービス開始から間もなく50万人を突破したことが報道され、
芸能界やテレビ業界・エンタメ業界に大きな衝撃を与えています。
11月1日のサービス開始時点で20万人の登録者がいたそうですが、
その後2週間もしないうちに30万人も会員が増えたことになります。
特定のお笑いコンビだけに特化したサブスクで、開始当初からこれだけの人数が申し込んでいるというのは前代未聞で(お笑いコンビに限らず全サブスクでも初めてかと)、
現時点ではサブスクとしてとんでもない大成功となっています。
当初は、成功に懐疑的なインフルエンサーやメディアも多く、Netflixなどと比較して「月額1100円は高すぎる」という声も少なくありませんでした。
それでも、結果的にはそういった声を吹き飛ばすような大成功です。
単純計算で1ヵ月あたり約5億円、年商で60億円という規模になります。
しかも、現時点では「ダウンタウンプラス」と名乗りながら、相方の浜田雅功さんは登場していません。
松本人志さんだけでこれだけの人数になっているというのは驚異的です。
初回の生配信で、松本さんは
「(高いとか散々いろいろ言われたけど)数十万人がもう入会してくれている。勝ったりましたわ!」
と勝利宣言していました。
ダウンタウンのコンビとして登場せず、浜田さんを温存した状態で、これだけの人が申し込んでいると。
今後、浜田さんが登場し、ダウンタウンとして様々なコンテンツを展開していく予定のようですが、そうなればさらに会員数が増える可能性は高いでしょう。
SMAP×SMAPなど数々の有名バラエティ番組を手がけた放送作家の鈴木おさむさんは、
「ダウンタウン+で“笑ってはいけない”をやったら200万人に行くのではないか」
と語っていました。
「絶対笑ってはいけないシリーズ」は大晦日に高視聴率を15年も取り続けたお化けコンテンツですので、本当にやった場合は200万人も夢物語ではないと思います。
私も入会しましたが、最初はだいぶ迷いました。
正直、今回の一連の事案における松本人志さんの対応に疑問を持っていたからです。
公共の電波を40年も利用して莫大な金額を稼いできた人間が、何の会見も開かなかった(説明責任を果たさなかった)ことに違和感を感じていました。
ただ、同サービスが始まる初日、初回の生配信ライブがあると知り、「この場で彼が何を言うのか、それを聞くだけで1100円払う価値があるか」と思って、生配信が始まる直前に入会しました。
というのも、その初回の生配信は、問題が起こってから1年10ヵ月ぶりに公に登場する場であり、非常に難しい対応が求められると思ったからです。
興味のある人が入会すれば良いサブスクとはいえ、問題になった事案にまったく触れずにスルーして何事もなかったかのようにスタートすれば、それはそれでメディアに取り上げられ、疑問を持つファンも出てくるでしょう。
だからといって、がっつり謝罪してしまうと、自身の主張と矛盾します。
しかも、観ている人たちはテレビと違い、わざわざお金を払って松本人志さんに笑わせてもらいたいと思っている人たちなので、
その事案に触れすぎたり、下手にへりくだり過ぎると逆に残念がられる可能性もある。
極めてセンシブルな問題に触れ、かつユーザに納得してもらう対応が求められる非常に難しい局面だったわけで、それを彼がどう乗り越えるかを確認するのは勉強になると思いました。
その“勉強代”として1100円なら、充分安いと思ったのです。
そして、もし自身が起こした問題に一切触れずに、完全スルーしてサービスがスタートするなら、解約しようと思っていました。
結果的に、初回復帰の生配信の内容はどうだったかというと、
個人的にはいくつか不満や疑問もありましたが、事案にも触れ、裁判のことにも触れ、多くの人に助けてもらっていることにも言及しながら、客を暗い気持ちにさせない絶妙なバランスの話の展開をしていました。
サブスクをスタートする復帰初回の挨拶としては、何とか納得できるものでした。
私はこの件についてはおそらく他のファンの方より厳しめに見ていたので、「復帰の挨拶としてギリギリ許容できる」という判断でしたが、
ダウンタウン+に入会した人の圧倒的多数は、充分に納得のいく挨拶だったのではないかと思います。
最初はその生配信の挨拶を見ることが目的でしたが、新しい企画を私が想像していた以上に、最初から同時多発的に始めていて驚きました。
初日からすでに複数の新しい企画の動画も公開されていたので、初回の生配信の対応を見るだけでも個人的には元が取れるのに、
最初の1ヵ月でそれらの新しい企画を確認できるなら、1100円は安すぎました。
個人的には、企画は当たり外れもありますが、そういう“笑いの実験”のようなことを多数行っている点が(昔からですが)、面白いのはもちろん、とても参考になります。
その意味で、やはり仕事における勉強になる部分が相当あるのです。
私自身、「集中力」というテーマでずっと実験的な試みを行ってきましたし、今でも日々実験的な試みを続けています。
それをやり続けてきた結果、この分野では他の人にはない引き出しを多数持てるようになり、
その膨大な実験の中からメルマガやコンテンツのネタが生まれたり、他には無い商品やサービスも誕生してきました。
もちろん、松本人志さんのコンテンツは人によって好き嫌いがあることは承知しています。
ただ私は、笑いのコンテンツとして純粋に面白いと思いますし、何より、今までになかった新しい視点の笑いを取り入れる試みを多数行っている点がすごいと思うのです。
おそらく間違いないのは、世界的に見てもお笑いのカテゴリーにおいては、彼以上に大量の実験的な試みをして、新しいコンテンツを作り出した人は存在しないと思います。
こういう“実験的な試み”を常に行う人や組織が私は好きです。
実験的な試みなので、当たり外れがあるのは当然ですが、イノベーションを生み出すのは、そういう姿勢・メンタリティーで仕事をしてきた人や組織だけなのです。
企業で言うと、研究開発費や設備投資にあたる部分です。
つまり、実験的な試みや試行錯誤や研究自体が未来への投資になっていると言うこと。
やはりその点、松本人志さんは以前から笑いの実験を誰よりもやってきた人物であり
(1番長くやっている「ガキの使い」では35年間、毎週新しい笑いをクリエイトしているので、この番組だけでも、数千の実験的な企画があったはず。元々、そういう実験的なことをするコンセプトの番組で、その中から笑ってはいけないなどの大晦日恒例の国民的番組=イノベーションも生まれた。
加えて説明するまでもなく、漫才の革命、「ごっつええ感じ」でコントの革命、ドキュメンタル、すべらない話、IPPONグランプリ、M1グランプリなどの長年続く人気番組のフォーマットの企画・立ち上げを行っています。
任天堂がファミコンのハードを娯楽文化にまで成長せながら、スーパーマリオのソフトも大ヒットさせたようなもの)
それを60歳を超えても続けているのは本当にすごいことだと思います。(ちなみに彼が尊敬する先輩の上岡龍太郎さんは60歳で引退、島田紳助さんは55歳で引退しています。)
そういう姿勢をデビューから40年貫いている、特定の分野で世界トップクラスの人物の仕事を見ているだけでも、勉強になります。
もう一つの視点は、ダウンタウン+がスタートから会員数50万人突破という大成功を収めたことにより、
今後テレビ局を食いつぶす存在になる可能性が出てきていることです。
特に、テレビのバラエティ番組がダウンタウン+に取って代わられる可能性すらあると思っています。
というのも、初回の配信で松本人志さんが言っていたように、このダウンタウン+というサブスクサービスは、将来的にダウンタウンがいなくなっても続いていく形にしたいそうです。
松本人志さん自身も、65歳ぐらいまでは続けたいということなので、少なくとも3年間は続けるでしょうが、そのあたりで引退する可能性も十分あります。
そのとき、ダウンタウンが引退するからといって、同時に莫大な収益が得られるダウンタウン+を終了させるメリットは、吉本興業にはありません。
むしろ、ダウンタウンがいなくなっても月1100円をユーザーが払い続ける価値のあるサブスクに育てていく可能性が高いです。
そしてもし吉本がそう考えているなら、当面はダウンタウンのコンテンツを配信しつつ、途中から少しずつダウンタウン以外の芸人たちの番組を増やしていくはずです。
サブスクならスポンサーに配慮する必要がないため、芸人たちは言いたいことが自由に言えます。
その結果、テレビよりも本音を語るバラエティ番組が増え、面白いコンテンツがどんどん生まれる可能性が高い。
そうなると、現在50万人の会員数が、鈴木おさむさんの言うように200万人クラスになっても不思議ではありません。
200万人が月1100円を支払えば、単純計算で月商約20億円、年商240億円というとんでもないスケールのサービスになります。
しかも制作資金は投資家や企業から集めており、儲かった分をその人たちに還元するスタイルです。
この企業はスポンサーではないため、テレビ局のようにコンプラのせいで制作に制限を受けるようなマイナスの影響を受けることもありません。
そのため、制作資金に悩まされることもほとんどなく、スポンサーも意識する必要がないので、本当に面白いコンテンツや番組がどんどん作られる可能性が高いです。
当然それは話題になり、会員数が100万、150万と増えるにつれて、その数字を見て新たに入りたくなる人が増えるという好循環も生まれるでしょう。
テレビ局のバラエティ番組と比較されるようになれば、当然、テレビの方がつまらないケースが増えていきます。
最終的には、テレビのバラエティ番組の多くが、ダウンタウン+(あるいはダウンタウン引退後にそのまま続く新サブスクを含めて)に取って代わられる可能性があると思います。
もちろん、バラエティーにもいろいろあるので、ゆるい散歩番組や旅番組、グルメ番組などは、引き続きテレビに残り続けるでしょう。
しかし、ダウンタウン+がダウンタウン以外のコンテンツコーナーとして、そういった“ゆるい番組”も贅沢な資金で大量に作っていった場合、テレビはそっち系の番組すら食われる可能性があります。
そうなると、将来的にはダウンタウンが登場しない興味深いバラエティー番組もたくさん出てくる可能性があるわけです。
松本さんの話を聞く限り、将来的な構想としてそのような展望を持っているように感じられました。
結果的に、数年もすると月1100円を払って制約の無い面白いバラエティ番組を見ている層と、エンタメにお金を払いたくない層が見るテレビ番組との間で、二極化が進むのではないかと思っています。
今後どうなるかはわかりませんが、ひとまずスタートから会員数50万人を突破し、信じられないほどの大成功を収めたダウンタウン+は、
ダウンタウンという特定のコンビのコンテンツにとどまらず、
今後の日本のバラエティ界を牽引していく存在になるかもしれません。
いずれにしても、このサブスクの大成功は、
松本人志さんが数十年にわたり、「笑い」の分野で誰よりも実験的な試みや、膨大な試行錯誤をし続けて、
産みの苦しみを味わいながら、新しいコンテンツを生み出し続け、顧客(ファン)に価値(笑い)を提供し続けた結果の産物
・・・ということで間違いないと思います。
彼には賛否があるでしょうし、入会するかどうかは当然別の話ですが、
ビジネスに関わるすべてのビジネスパーソンは、このサブスクが大成功している本質
(=松本人志氏の数十年にわたる試行錯誤と研究がベースになっていること+今なお新しい試み・実験をし続けていること)
から、学ばなければならない部分があるように個人的には思います。


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