- 2023-9-26
- 働き方・キャリアの話, 在宅ワーク
こんにちは、中西です。
最近コーチングプログラムのメンバーさんと話をしていて、リモートワーク(在宅ワーク)の話になることが何度もありました。
赤ちゃんが生まれたばかりのメンバーさんも複数人いますし、まだ手が離せない年齢の子供さんを持つ方も多数おられます。
また高齢の親御さんを介護されてる方も複数おられます。
やはり子育てや高齢の両親の介護などがある方は、当然ながら出社よりもリモートワークの方が都合がいいことがほとんどだと思います。
そこで久しぶりにリモートワークについて少し調べてみたのですが、最新の研究で、
【 リモートワークは出社して仕事をするより生産性が18%劣る 】
という結果が出ておりました。
▼完全リモートワーク、生産性でオフィス勤務に18%劣る-米大学の研究 – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-04/RYVJ3JDWLU6801
『マサチューセッツ工科大学(MIT)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究によると、
無作為に完全在宅勤務を割り当てられた労働者の生産性は、オフィス勤務の労働者より18%低いことが明らかになった。』
ただ別の研究では「リモートワークの方が生産性が上がった」という結果も出ていたりします。
しかもこの研究はあくまで「完全在宅」との比較なので、在宅と出社を織り交ぜる「ハイブリッド型」の働き方とは比較されていません。
いずれにしろ、リモートワークの生産性がやや劣るというのは、ある意味当たり前ではないかと思います。
問題は総合的に見た時に、どうするのがいいのか?という点です。
というのも、ほとんどの業界で従業員はリモートワークを強く望んでいることが大半だからです。
Amazonの社員ですらリモートワークを望んでいて、先日AmazonのCEOが従業員に出社を要請して、従業員がそれに反発する署名活動をして大きな問題となっていました。
しかも出社させる根拠はデータではなく「判断」だと発表していて、あいまいな根拠で出社を義務付けていることが明らかでした。Amazon側も根拠があいまいなのを隠していません(;゚Д゚)
アメリカの経営者80人と話をしたある経営者によると、経営者の大半は従業員に出社させたいと考えているようです。
これは日本の調査でも同じような結果が出ていました。要するに経営者の多くは、従業員に出社させたいのです。
それは単純に経営者の「監視・管理をしたい」という欲求でしょう。
従業員の幸福を考えているのではなく、ただのエゴ。個人的にはそう見えるケースが非常に多いです。
子供が塾に行ってるだけで安心してしまう親がいますが、成果物(アウトプット)ではなく、とりあえずそういう空間に子供(従業員)がいることに満足する。そんな感じに近いと思われます。
ところが従業員の生産性ではなく「幸福感」という観点で考えると、
「リモートワークをしている従業員の方が幸福感が高くなる」
ことが複数の調査で分かっています。
単なる企業の「生産性」だけで、本当に従業員の働き方を決めていいのか?ということです。
これに対する対応で経営者の人材に対する哲学もかなりわかると思います。
Amazonなんかは事業が絶対重視で、そこで働く人たちは「事業のために存在するコマ」のように考えているのでしょう。
個人的には古い考え方だと思いますが、事業としての効率性は上がりやすいです。少なくとも短期では。
そうやって人をコマのように徹底的に扱うことで尋常じゃない効率性で便利なシステムを作り出し、社会の利便性に貢献できる側面はあります。
一方で、その利便性と引き換えに、Amazonなら運送業者の人が非常に大変な状況に陥っている負の側面もあるわけです。
(余談ですが、運送業界はAmazonの台頭で、ただでさえ人手不足で大変なのに、10月からのインボイス制度で個人の運送ドライバーの4割が廃業を検討しているようです。
インボイスによる声優の廃業検討が3割でしたが、国民のインフラである運送業が4割も廃業検討とはとんでもないことになっています。
余談の余談ですが、そのインボイス反対の50万人以上の署名を、岸田総理はなんと「受け取り拒否」をしました。大変なことになっているので、これについては近日改めてお伝えします)
人材不足の時代になってくると、「リモートワークができるのに無理やり従業員に出社を義務付けるような会社」は選ばれなくなる可能性が高くなります。
逆に言うと、人材がなかなか来てくれない中小企業などは、可能な限りリモートワークにすることで優秀な人材が集まる可能性も高まるでしょう。
実際私が知っているある地方の企業も、社員を完全リモートワークにすることで、従業員から見た立地上のデメリットを補っているところもあります。
賢い中小零細は結構昔からそうやって、大企業がなかなかやろうとしないリモートワークで優秀な人材を集めていましたが、コロナで一度リモートワークが当たり前になって、その在宅で働ける売りが相対的に減少しました。
それが最近になってまた出社回帰している会社が多いので、リモートワークを導入している会社は、働く側から再び高く評価され始めている印象です。
結局在宅で仕事ができない業界・業種は別ですが、リモートワークを導入できるのに意味不明な理由で出社させる会社は、
経営者の頭が悪いか、器が小さいかのいずれかではないかと思いますね<(_ _)>
彼女の居場所を常に把握していないと不安になる超小っちゃい男とかいるじゃないですか笑
従業員がオフィスにいないと不安になる経営者は、そういう男のマインドに似てると思います。(今年一番例えがハマったヽ(´∀`*)ノ)
こちらの記事が、私の考えに1番近かったですね。
▼「出社義務化」が馬鹿げている理由…今はまだ強制する時期ではない | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-274857
様々な研究や調査を見ても、オフィスワークとリモートワークのどちらが正解か、「絶対的な答え」は存在していないのです。
同時に、両方のいいとこ取りをする「ハイブリッド型」が1番いいのではないかと言う結論に近づきつつあります。(最初から言われていたことですが)
その場合、オフィスワークとリモートワークの「ベストバランス」がどこにあるかを、個々の企業や従業員ごとに考えていく必要があると思われます。
いずれにしても、一つ間違いなさそうなのは、
「リモートワークが物理的にできるのに、明確な根拠もなく『完全出社』を強制する会社」
は、従業員の幸せというものをまともに考えていないか、経営者の頭が悪いか器が小さい可能性が非常に高いということ。
企業選びのリトマス試験紙になるように思います。一事が万事なので、そういうところに社風や会社の思想が出てくるんですよね。
今後はリモートワークに対する企業の姿勢や考え方も、企業選びの重要な基準になってくるはずです。
それではまた。