- 2023-7-23
- 経済の話
こんにちは、中西です。
今の日本の最大の問題は、「少子化」である事は誰もが認識していますが、
この問題の最大のポイントは、
【 少子化は、不景気の「結果」として発生しているものであり、不景気の「原因」ではない 】
ということです。
非常に多くの学者・有識者・著名人、一般国民や政治家までもが、この認識をずっと間違え続けているという話を何度もしてきました。
「原因」と「結果」をはき違えて、その問題を解決できるわけがありません。
少子化が不景気の結果として発生しているにもかかわらず、不景気の「原因」だと考えてしまうと、
「少子化はもう避けられない日本の運命だから、今後は日本は衰退するしかない」
と言ったアホな結論にならざるをえません。
そもそも、なぜ少子化になっているのか?については、データを見れば明らかなのです。
1.若者(結婚適齢期の人)の大半が本当はいずれ結婚したいと考えている
2.結婚しない原因のトップは収入の不安
3.正規社員が減少し、非正規社員の増加とともに、少子化が深刻化していった
4.有配偶出生率(結婚した人が子供を産む割合)は、昔から変わっていない
…以上がデータで明らかになっているので、そうであれば、少子化の最大の原因はただ1つで、
【 若者(結婚したい人)の所得の減少・不安定化 】
でしかありません。
そしてこんなのはデータで見なくても、若い時代に貧困の経験や所得が少なくて、不安だった経験のある人なら誰でもわかることです。
(その感覚が全くわからないのが、公金をチューチューしているだけで、どれほど愚かな政策をしても収入が保証されている官僚と世襲政治家の皆さま)
上記は一般の調査だけではなく、政府の少子化白書においても判明しているデータなのですが、
これほどまでに明らかな「少子化の本当の原因」について、政府がまともに言及したことが過去に全くありませんでした。(このメルマガでもそれをずっと言ってきました。)
それが確か1ヵ月ぐらい前だったと思いますが、岸田総理が、突然「少子化の本当の原因」を言い出したのです。
この話もメルマガで取り上げましたが、これまで一言も言っていなかったのに、ある日の会見で
「若者の所得の不安定化が、少子化の原因ですが〜」
と突然岸田総理が言い出してびっくりしました。
何をしれっと「昔からお話ししていた通り」的に言っとんねん!とツッコミたくなりましたが、
それと同時に相変わらず少子化対策ではなく、既に給料が安定して結婚をした家庭への「子育て支援策」でしかないズレた政策をやろうとしていることは、全く変わっていません。
いずれにしろ、岸田総理が突然「少子化の本当の原因」を、歴代総理で初めて言い出したわけですが(それもしれっと突然)、
どうやらこれには裏があったようで、
少子化対策のために設置された「こども政策の強化に関する関係府省会議」で、驚くほどまともな
「少子化の本当の原因」
について、データをベースに言及されていたのです。
この会議後に提出された
「こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_kyouka/pdf/kyouka_siryou1.pdf
と言うPDFの資料があるのですが、こちらを見ると以下のような記載があります。
—————————————–
『(1)若い世代が結婚・子育ての将来展望が描けない
〇 若い世代(18~34 歳の未婚者)の結婚意思は、近年、「一生結婚するつもりはない」とする者の割合が増加傾向であるが、
一方で、依然として男女の8割以上が「いずれ結婚するつもり」と考えている。
また、未婚者の希望する子ども数は減少傾向が続き、直近では男性で 1.82 人、女性で 1.79 人であり、女性では初めて 2 人を下回った。
〇 有配偶率をみると、男性の場合、雇用形態の違いによる差が大きく、正規職員・従業員の場合の有配偶率は 25~29 歳で 30.5%、30~34 歳で 59.0%であるのに対し、
非正規の職員・従業員の場合はそれぞれ 12.5%、22.3%になり、非正規のうちパート・アルバイトでは、それぞれ 8.4%、15.7%である。
また、年収別にみると、いずれの年齢層でも一定水準までは年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高い傾向にある。
〇 実際の若者の声としても、「自分がこれから先、こどもの生活を保障できるほどお金を稼げる自信がない」「コロナ禍で突然仕事がなくなったり、解雇されたりすることへの不安が強くなった」などの意見が出されている』
—————————————–
対策の第一は、
『1.若い世代の所得を増やす
〇 第一に、若い世代が「人生のラッシュアワー」と言われる学びや就職・結婚・出産・子育てなど様々なライフイベントが重なる時期において、
現在の所得や将来の見通しを持てるようにすること、すなわち
「若い世代の所得を増やす」
ことが必要である。
〇 このため、こども・子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、最重要課題である「賃上げ」に取り組む。
また、賃上げが持続的・構造的なものとなるよう、L字カーブの解消などを含め、男女ともに働きやすい環境の整備、希望する非正規雇用の方々の正規化を進める。』
—————————————–
…こんな感じですが、今頃ようやくまともなこと(ただの事実ですが)を言い出しました。
一般人ですらとっくの昔に何年も前から気づいていた事実を、ようやく政府が認識したと言うのは情けない話ですが、
遅すぎたとはいえ、政府の諮問会議が「少子化の本当の原因」に気づいた事はよかったと思います。
「晩婚化が少子化の原因」
などと、まるで若者に原因があるかのようなアホなことを言っていた麻生太郎氏は、国民に謝罪するんでしょうかね(絶対しないでしょうけど)。
上記の諮問機関による資料が提出された日付を見ると、今年の3月31日なので、
岸田総理が突然まともな「少子化の本当の原因」を言い出したのは、それを受けてのことではないかと推察します。
とは言え、相変わらず少子化対策をガチでやろうとすると政府が莫大な財政出動をしなければならないため、
財務省による財政健全化路線を維持するために、少子化対策ではなく「子育て支援策」でごまかす手口は変更はしないでしょう、絶対に。
もう、言ってることとやってることが、めちゃくちゃでございます。
余談みたいな話なのですが、この件でちょっとビックリするようなことがありました。
以前にもこのメルマガでお話しした
「岸田政権の子育て支援策による『第3子の児童手当』は、あたかも高校生まで支給されるかのように世間では認知されているが、
実際は、第1子が高校を卒業した途端に第3子が『第2子』扱いとなり、その後は一切児童手当の増額が支給されなくなる」
…と言う、詐欺としか言いようのないひどい政策を岸田総理はやろうとしています。
しかも、支給される額も、選挙前と選挙後で大きく変わってしまっていて
<児童手当の拡充の変更>
「選挙前」の案
第1子 15,000円
第2子 30,000円
第3子 60,000円
「選挙後」の案
第1子 10,000円
第2子 10,000円
第3子 30,000円
選挙が終わった途端に、第1子は30%以上の減額、第2子はなんと3分の1に減額、第3子も半額にまで減額(゚o゚;;
この時点で、詐欺としか言いようがないのですが、上記の通り、フタを開けてみれば
第1子が卒業した途端に、第3子への支給が止まるので、
【 3番目の子が高校を卒業するまで児童手当を受けられるのは、
「三つ子」
の場合のみ 】
となっているのです(゚д゚;)
岸田総理は国民を舐めてるのですか?と。
そもそも、子供を3人産む家庭自体が、全体の17%しかありません。
そのわずかな17%の中で「三つ子」を産む家庭の割合がどれだけあるのか(゚o゚;;
まあ調べればわかるでしょうが、馬鹿馬鹿しくて調べる気にもなりません。
岸田政権は、少なくとも「少子化対策」に全くなっていない「子育て支援策」ですら、1ミリも本気で取り組む気がないのが、これではっきりとわかります。
これほど深刻な国家の存亡に関わる問題に対して、やる気のなさが異次元すぎて言葉もありません。
財務省というのは、ここまで狡猾に、二重三重四重に、国民を騙してくるんですよ。
で、私が驚いたことと言うのは、上記の話をなんと日本経済新聞が先日報じていたのです。
「第3子への児童手当が『高校卒業まで支給される』と、国民に誤解を与える可能性がある」
と、まともな報道をしていました。
あの財務省の飼い犬の日本経済新聞が、よくこの岸田政権の詐欺的な「少子化対策」の問題点を報じたものだなと。
その報道内容が以下。
(リンクは貼れません。理由は後述)
—————————————–
『第3子の児童手当、「高校まで倍増」に誤解の恐れ
子どもが多い世帯への児童手当の増額を巡り、高校生まで2倍となる「第3子」の扱いに誤解が生まれる恐れが出ている。
3番目に生まれた子どもは第1子が高校を卒業すると「第2子」に繰り上がり、その時点で増額の対象から外れるためだ。
政府は周知を徹底する必要がある。
児童手当は現在、0〜2歳児に月1万5千円、3歳児〜中学生までに月1万円を支給している。第3子以降の3歳児〜小学生は月1万5千円に増額している。
政府は2024年10月分から第3子以降が対象の「多子加算」の増額や対象拡大を始める。対象は0歳児〜高校生に広がり、支給額は2倍の月3万円になる。
「高校生まで月3万円」を受け取れるように見えるが、実際にそうなる可能性は低い。(後略)』
—————————————–
…完全に財務省の飼い犬の日本経済新聞が、政府(財務省)に反するまともな報道をしていて驚きましたが、
さらに驚いたのは、
【 この日本経済新聞が珍しくまともな報道をした記事が、現在削除されている 】
ことです(゚д゚;) マジカ
なぜ、国民にとってこれほど重大な問題を報じた記事を、削除する必要があったのでしょうか?
削除したということは、必ず「削除すべき何らかの理由」があったということです。
記事の中で(国民に誤解を与える可能性が高いので) 「政府は周知を徹底する必要がある」と当たり前のことを言っているのですが、
この報道の何が問題ですかね?
この報道は、唯一「財務省にとって」は大問題でしょうけど。
あ、そういえば、日本経済新聞社の役員に元財務次官が天下りしていましたね。
だから、財務省の財政健全化路線の報道しかできない飼い犬になり下がっていたわけですが、
それでも、日経の記者の中にはまともな人がいたと言うことです。
ところが、まともな記者がそれを報じると、こうやって(限りなく高い確率で上層部からの指示で)潰されると言うこと。
そうでないと言うなら、日本経済新聞社はなぜこの報道を削除したか説明すべきですが、
国民にとって重要な真実よりも「財務省への忖度」を優先する財務省の御用新聞だから無理でしょう。
とりあえず、名称を日本経済新聞から「財務省経済新聞」に変更することをお勧めします。
こうやって国民には、まともに真実が知らされないまま、
政府の国民の苦しみが全くわからない無能な世襲政治家と、クズすぎる財務省の小役人連中にとって都合の良い政策が、
国民を騙しながらどんどん推し進められ、
国民は貧困地獄のループから抜け出せず、
人生と命を彼らに奪われているのです。
岸田総理と政府と財務省と、それに忖度して真実を報道しないマスコミは、「国民の敵」以外の何ものでもない。
残念ながら、これだけが、今の日本における客観的事実なのです。
それではまた。