- 2022-12-11
- 経済の話
こんにちは、中西です。
先進国で日本だけがこれほど衰退してしまったのは、結局のところ、国家の財政に対する認識、つまり
「財政観」
を政治家も国民も、見事に間違えてしまっていたからです。
別にふつうの国民は財政の専門家ではないので、財政の仕組みを詳しく知らなくても仕方がないと個人的には思いますが、
その理解のなさを、財政のプロフェッショナルで、東大法学部出身の「エリート」が集まる財務省の官僚連中につけ込まれ、
政治家も国民もメディアも、彼らに完全に騙され続けてきました。
これが陰謀論でも何でもない、紛れもない事実であり、日本が衰退した最大の要因です。
1つ救いがあるとすれば、10年前は、この事実に気づいている人間が国民の1万人に1人もいませんでしたが、
3年ほど前から、財務省が約25年も垂れ流してきた最大の嘘である
「財政破綻論」(国の借金で日本が破綻する)
の嘘が、一気に知識レベルの高い国民にバレていったことです。
今や「日本は財政破綻する」と言う表現を使う人やメディアは相当減りましたが、それでもまだこの嘘を信じ込んでいる国民は多いですし、
学者や政治家でまだこんなことを言っている人間も少なからずいます。
一般国民で理解していない人がいても、直接的にはほとんど誰も実害を受けませんが、とくに政治家がこれを理解していないと、直接的に多大な被害が国民に及ぶわけです。
その「政治家の無知(勉強不足)」による多大な被害を、まさに今、日本国民が受けている。
問題は、この「間違った財政観」を持っている政治家をどうやって判別するか、です。
実は、私はそういう政治家を瞬時に見抜くことができる特殊能力(?)があるのですが、簡単な見抜くコツがあります。
私が1人で勝手に「地雷ワード」と呼んでいるワードがいくつかあり、その地雷ワードを使った人間は、
ほぼ自動的に「財政観を間違えている」と判断できる
からです。私の経験上、百発百中で当たるので、それらのワードは「リトマス試験紙」だと思ってもらって結構です。
今回は、その「地雷ワード」の1つをご紹介します。それは、
「将来世代へのツケ」
という言葉です。
テレビに出ている著名人で使う人も多いですし、言論人で使う人も多いですし、政治家で使う人も多いですし、メディアの報道で使われることも多いですが、この
「将来世代へのツケ」
という言葉(orこれと同じ趣旨の言葉)を使った人は、その時点で「財政観を間違えている人」だと判断して差し支えないです。
どういう時に使われるかと言うと、
「国債を発行すると、それが国の借金を増やすから、将来世代の子供たちが、その借金を返済しなければならなくなる」
という文脈で「将来世代へのツケ」という言葉がよく使われます。(ちなみに国債の発行=お金の発行です)
しかし、この「将来世代へのツケ」的なことを言った人は、確実に何も理解していないと断言できるのですが、
その理由は簡単で、
「『将来世代へのツケ』など存在しないから」
です。
▼岸田首相会見 防衛財源の増税検討
「未来の世代に対する私たち世代の責任」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2734fef5819a18082a0afca1f305a0ce9a5e0961
記事から一部引用しますと、
『岸田文雄首相は10日の記者会見で、防衛費増額の財源の一部として増税を検討していることについて
「未来の世代に対する私たち世代の責任だ」
と説明した。自民党内で国の借金にあたる国債発行でまかなうべきだとの声が強いことを念頭に、今の世代から負担を行うことに理解を求めた形だ。』
…もうお分かりだと思いますが、我らが日本国民のトップである岸田総理は、
「国債を発行したら“未来の世代”へのツケになる」
と考えていることが、この発言からわかります。言い方を変えると、
「国債の発行は、将来国民が返済しなければならない借金になる」
と彼は考えているわけです。
言うまでもなく、これは100%完全に間違いで、国債は「国民が返済しなければならない借金」などではありません。
何度もこのメルマガで解説してきた通り、国債は返済日が来たら、同じ額の国債をまた新たに発行して、それで実質的に返済したことにできる仕組みになっています。
これを「借り換え」(借換債)と言うわけですが、国債の返済と言うのは、返済日が来るたびに、延々と借り換えし続けることができるのです。
そもそも、政府の子会社である日本銀行が国債を買い取ることができ、その買取り総額がどれだけ増えたとしても、日銀が債務超過になることも物理的にありえないのは、日銀総裁も副総裁も認めています。
そんなものが、なぜ「国民の借金」になるのでしょうか?
この記事を書いた産経新聞も、この総理の発言に対して何の批判もせずに、そのまま
「今の世代から負担を行うことに理解を求めた形だ。」
などと報道していますが、これが日本トップクラスの大手新聞の記者のレベルだと言うことです。
もはやマスコミのジャーナリズムなど完全に死んでいます。
ちなみに、国債を発行してから返済までの期限(年数) は、日本の場合、60年が多いのですが、この
「国債の60年償還ルール」
(国債を60年で返済しなければならない決まり)
なんて意味不明なことをしている国は、世界中で日本だけです。
日本以外のすべての国は、60年どころか、永久に返済しなくても良いことになっています。
で、国債を発行すれば、結果として、
「国債の発行総額」(いわゆる「国の借金」と呼ばれているもの。正確には政府債務残高)
の額は、どんどん膨れ上がって行きます。
それが、今トータル1000兆円ほどになっているわけですが、この
「国債の発行総額がどんどん膨れ上がっていく」
という状況を、財務省の官僚たちが狡猾に印象操作をして、
「国の借金で政府の赤字がどんどん膨らんで、大変なことになっている!それを将来世代が返済しなければならない!
将来世代にツケを残していいのでしょうか!」
という、一見いかにも正しそうな話にすり替え、財務省の官僚たちにとって最も都合の良い「増税をし続ける理由」をでっち上げ続けてきたのです。
しかし実体は借金でも何でもなく、単に政府が国民のために過去の累計でそれだけお金を出してきたと言う
「貨幣の発行履歴」
に過ぎません。この数字はマイナスの事でも何でもなく、むしろ逆で、
「政府が国民のためにたくさんお金を使ってきたんだね。もっとたくさん使っていきましょうね。」
ぐらいの話なのです。
この累計金額は1000兆円どころか、2000兆円でも5000兆円でも、1京円でも、何も問題が起きません。
こんな数字は、地球が滅亡する日まで放っておいたら良いのです。
むしろそれだけどんどん国債を発行したら、経済が間違いなく活性化しますので、日本は大復活します。
これの何が問題なんでしょうか?困るのは、
「国債を発行すれば、税金なんて国民から取る必要が全くないじゃないか!」
という客観的事実がばれることで、相対的に権力が一気に低下してしまう財務官僚だけです。
この程度のカラクリを、鈴木財務大臣も理解していないので、財務省の完全なる操り人形になっていますし、
トップの岸田総理も上記の通り全く理解していないので、
財務官僚たちは今が大チャンスとばかりに、この最も増税を通しやすいタイミングで、一気にこれまでやりたかった増税をやりまくろうと目論んでいます。
その結果が、この惨状。
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<岸田政権(財務省)が
実施・検討中の政策>
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① 消費税の減税の検討凍結
② 社会保障のための消費増税の検討開始 (@税制調査会)
③ ガソリン税減税の検討見送り
④ 防衛費増のためのあらゆる増税の検討開始 (@有識者会議)
⑤ インボイス導入 = (零細事業者における消費納税増税)
⑥退職金課税の増税検討
⑦雇用保険2倍に増額
◯走行距離課税・道路利用税を検討
◯年金掛け金の期間を5年延長検討
◯国保の支払い金額を最高年間104万円に値上げ
◯国民健康保険の高額医療負担金廃止の提案
◯自賠責保険の積立金7500億円のうち6000億円を財務省が勝手に借り、返済できずに保険料値上げ
◯年収200万以上、75歳以上の医療負担を2倍に
◯国民年金を厚生年金で穴埋め検討
◯介護保険から要介護1と2を外すことを検討
◯年金額を引き下げ実施、 0.4%減。2年連続。
◯介護保険の増額を検討
◯介護保険支払い対象年齢40歳未満に引き下げ検討
◯配偶者控除の見直し、 廃止の検討
◯パートの厚生年金加入、企業の規模要件を撤廃の検討
◯大病院選定療養費値上げ実施
(以上、藤井聡教授のまとめ7つ+中西の追記)
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…これをわかりやすく言うと、今の財務省は、
「国民からお金を奪いたい放題」
だということです。
岸田政権は、財務省にとってパチンコでいう「確変」(大当たり)みたいなものでしょう。
財務省の官僚たちは、笑いが止まらないでしょうね。
政治家のツートップである総理大臣と財務大臣の2人が、あまりにも馬鹿すぎて。
そして彼らの無知によって、国民の生活と命と財産は、これから2023年にかけて、さらに破壊され続けるのです。
というわけで、
「将来世代へのツケ」
という言葉を発した政治家は、その時点で全く何もわかっていない政治家であり、「国民の敵」と決めつけて構いません。
こういう何もわかっていない政治家に、これから国民の生活と人生がどんどん破壊されていくことになるので、
この言葉や、同じ趣旨の言葉を使った政治家には、国民として徹底的に、最大級の厳しい批判の目を向けて行ってください。
国民の供給能力(モノやサービスを生産して提供する経済の根幹となる力)が消失し、
隣国にあらゆるものが買収され、実質的に侵略された国民総極貧国家という
【 本当の意味での「将来世代へのツケ」 】
を残さないために。
それではまた。