- 2025-11-22
- ChatGPT
こんにちは、中西です。
先日、AIで初めて作曲をした話をしました。
厳密に言うと、6年ぐらい前に自分で初めて作詞・作曲して作った歌があったのですが、
ド素人すぎて演奏も何もなく、とりあえず詞とメロディーだけ出来上がってる状態でした。
これはそのうちプロに依頼して、ちゃんとした曲に仕上げてもらおうと思っておりました。
歌詞は私自身のある体験から生まれた唯一無二の詞だったわけですが、
それに必死で素人なりにメロディーを載せて作り上げたものを、1人でこっそり隙間時間とかに歌っていたわけです笑
「初の作曲でよくこんな名曲作ったぜ!」とか自画絶賛しながら、1人で悦に浸っていたのですが、
作詞と作曲が出来上がっているだけなので、独り言みたいに歌う分にはいいのですが、第三者に聴いてもらうような状況にはなっていませんでした。
それが、AIの作曲ツールを使ったら、一瞬で第三者にも十分伝えられるレベルになり、
本物のミュージシャンが作ったようなとんでもない曲が出来上がってしまったのです。
ただし、そのツールの使用上、ベースになったのは私の作詞の部分だけで、曲の部分はAIが作りました。
つまりそのAIで作った曲は、作詞自体は一文字残らずすべて私が作ったものなのですが、その詞に合わせた作曲をAIに任せたということです。
結果的に、同じ1つの歌詞で、私自身が作った曲とAIが作った曲の2つの曲ができてしまいました。
AIは同じ歌詞で候補の曲をいくつも出してくれたので、私のオリジナルの歌詞で合計10曲ぐらい出来上がり、その中で一番しっくり来たものを1つ選んだ形です。
で、同じ歌詞で、私が自分でその詞に合わせて作った最初の曲と、AIが作った曲のどっちが私としてはお気に入りかというと、
正直互角か、AIの方が上回っている可能性も高い気がします。
もちろん感性のものなので、厳密にどっちが上かを判定するのは難しいのですが、
例えば私が作った方の曲とAIが作った曲で、同じ私の歌詞でどっちがいいかを街角アンケート1000人とかでやってみたら、
多分AIの方がいいという人の方が多いんじゃないかという気もします。
いずれにしても、AIで作ったその曲は、プロが作った作曲としか思えないものになっています。
前置きが長くなりましたが、実はこの
「人間が作った曲と、AIが作った曲は区別がつくのか」
という問題が以前からありましたが、この答えがほぼ出たという研究をご紹介します。
結論から言うと、最近行われた調査結果によると、
【 人間はAIが作った曲か人間が作った曲かを、全く見分けられない 】
ということが判明しました。
これは音楽サービスのDeezerと調査会社のIpsosが10月上旬に、
アメリカ、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、日本の8カ国で、
18歳から65歳までの成人9000人を対象に実施された大規模な調査です。
調査内容は、参加者に3つの曲を聴いてもらった上で、
「どれが完全にAIによって生成されたものか」
「どれがAIではなく人が作ったものか」
を選ぶように指示されました。
この調査の結果、回答者のほぼ全員と言っていい97%が、その違いを聞き分けられなかったのです。
さらに、聞き分けられなかった人のうち71%がその結果に驚いたと回答し、
半数以上の52%が、自分がAIで作られた曲を人間の曲と区別できなかったことに不快感を示していました。
これはある意味で、人間心理として当然かもしれません。
要するに、自分は「これは人間が作ったものだろう」と思いつつ聴いていたら、それがAIだったとなると、なんとなく騙された気分になるからです。
あるいは、もっと深いレベルで、人間の創造性という、人間の尊厳に関わるような部分をAIに蹂躙されたような気持ちになるから、ということかもしれません。
いずれにせよ、9000人を対象にした大規模な調査で、人間はもはやAIに作られた曲と人間が作った曲の区別がつかないことが、はっきりとしました。
これは私の拙い作曲経験からも、普通に間違いないだろうなと思います。
これは、私のように半分以上趣味みたいな感じで作曲をしてみたいという人にとっては、超がつくほどの朗報ですが、
これまで音楽で食べていた人やアーティストの人たちにとっては、脅威になってしまう可能性の方が高そうです。
作詞さえできれば、誰でも一定以上のクオリティの曲が作れてしまうようになったわけですから。
いや、作曲すら不要で短いプロンプトを書ければ曲が作れてしまうのです。
「〇〇をテーマにした、こんな雰囲気の曲を作って」
という、これだけの指示で”オリジナル”の名曲が出来上がります。理論的には1日100曲の名曲を素人が作ることすら可能です(゚o゚;)
ただ簡単に作れるということは、趣味でやる分には朗報ですが、商売でやる分にはきつくなります。なぜなら、
「簡単に作れるものはコモディティ化(希少性が低下)して価値が低下する」
というのは、資本主義社会における法則のようなものだからです。
今後、残念ながら楽曲というものの価値自体が低下していく可能性が高いのではないかと思われます。
と言っても、これは作曲や音楽に限らない話で、AIによって既存のありとあらゆる業界や職業が、同じ危機に見舞われていくということです。
このAI時代に生き残る方向性があるとしたら、キーワードは「属人性」ではないかと思います。
たとえばAIには曲は作れてもライブはできませんから、ライブを活動のメインにする音楽家・アーティストは生き残れる可能性は高まります。
どこまで行っても「人が歌う生のライブで聴きたい」「人が演奏する生の演奏を聴きたい」というニーズはなくなりませんので、ここは属人性が高くAIに代替されにくいでしょう。
また、詞を書いたら簡単に曲が仕上がるようになったということは、その作詞をする人自体に興味があったり、その人のファンである人が、その曲を購入していくというスタイルなら成立します。
今回私が初めて作った曲も、私のある体験に完全に紐づいている歌詞だったのですが、
そうすると私のことを知っているメルマガ読者さんであれば、多少はどんな曲かに興味を持っていただける可能性は高くなると思います。
一方で、私のことを全く知らない人がその曲だけ聴いたとしても、仮に「とてもいい曲だ」と思ってくれたとしても、
その詞を書いた人間の背景を知らなければ、おそらく興味も薄く価値も低くなるはずです。
これまでも、シンガーソングライターの人で自分の体験をベースに曲を作っていた人は、カリスマになりやすく、熱狂的なファンがいる傾向がありました。
例えば、あいみょんや長渕剛さんや中島みゆきさんや尾崎豊さんみたいな、体験談ベースの曲が多く、メッセージ性の強い歌を歌っている人たちです。
こういう人は属人性が強いので生き残るのはもちろん、そのタイプの人が新たに出てきても、AIには真似できない部分なので、AIに駆逐されにくいです。
その対極とも言えるのが、例えば秋元康さんのようなタイプの方です。
秋元康さんは、自分自身の体験ではなく想像で女子高生になり切ったり、女子大生になり切ったり、とにかく女の子になり切った目線で、想像で作詞していって4000曲以上作ったという人です。
AKB商法への賛否はともかく、女子なりきり型で大量の曲を作って一時代どころか何十年もトップにいた方なので、間違いなく天才だったと思います。
ただ秋元氏の作り方ですと、今はAIでいくらでも女子になり切って作詞自体も量産できてしまえるようになったので今後は厳しくなるはず。
従って、シンガーソングライタータイプのアーティストは生き残るでしょうけど、
秋元康さんのような感じで曲を作っていた人たちは、AIに真似できるという意味で苦しくなっていく可能性が高いです。
実際、少し前に「AIが作った曲」と「秋元康さんが作ったまだ誰も知らない新曲」を街頭でアンケートして、
どちらが本当に秋元康さんが作った曲かを人は判断できるか
という企画がありました。
その番組では、スタジオの芸能人も、秋元康さんの大ファンで元AKBの指原さんも、一般の人も、誰もAIと秋元さんの曲を区別できませんでした。
これは、最初に紹介した海外の9000人の調査と同じ結果だったわけです。
映像ですと、AIが作った映像はなんとなく分かることもまだありますし、イラストでもAIが作ったイラストというのは特徴があるので、まだ見分け自体はできる人も多いです。
しかし、それらも最近は最先端のツールでは、もう全く見分けがつかなくなってきました(余談ですが、この数日で画像生成でも革命が起こって、ついに人間レベルに到達しました)
そしてそれは、音楽だとより顕著に出てしまって、もはや人間はAIで作った曲と人間の曲の区別が、ほぼ全員全く分からないという時代に突入したと言っていいでしょう。
これは全てのジャンルで言えることだと思いますが、その業界・職業で長く働いていた人ほど、この時代の変化を受け入れるのが難しいはずです。
長く働いているせいでプライドがあったり、受け入れ方に偏りがあったりして、変化についていけなくなる可能性が高くなります。
ということは、キャリアの長い人ほど
いかに自分がさらされているリスクを客観的に見ることができるか
が、作曲の分野に限らず全ての分野で、今もっとも求められている資質になるのではないかと思います。
そのリスクの本質が何かを見抜いて、AIリスクを回避する働き方にシフトしたり、うまくAIを活用できた人だけが、今後は生き残ることになるはずです。


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