- 2025-5-18
- ChatGPT
こんにちは、中西です。
ここ数回は、AIとアイデアについて、私なりの考察や体験談をお話ししています。
前々回は、AIによって「アイデアが形になる」までのスピードが爆発的に早まっているという話。
前回は、AIを使ってアイデアを確認する、私のやり方をご紹介しました。
この流れで今回は、今年7月に発表される「アイデアと創造力」に関する論文を、一足先にご紹介します。
結論から言いますと、
【 ノートにアイデアを毎日書くだけで創造性が伸びる 】
ということが、福岡県の久留米大学の研究で明らかになりました。
研究自体は昨年行われたもので、過去の研究と一緒にまとめられ、アメリカの南オレゴン大学で開催される創造力に関する国際会議で、5月17日に発表されました。
久留米大学の公式サイトによると、文学部情報社会学科で2024年度から新たに教育プログラムとして
「アイデアマラソン」
という取り組みが、1年生全員に導入されたそうです。
このアイデアマラソンとは、三井物産の元社員・樋口健夫氏が開発したプログラムで、毎日アイデアやひらめきをノートに記録することで、科学的にも創造性が向上することが証明されています。
もともと2023年までは特定のゼミでのみ実施されていたようですが、2024年度からは1年生全員に拡大されたとのことです。
アイデアマラソンの内容は、学生が毎日1つ以上の気づきやひらめきをA5サイズのノートに記録し、それを週に1回教授に提出するというもの。
教授は、それぞれの学生にフィードバックを行い、創造性をさらに引き出す支援をしました。
余談ですが、私自身もA5サイズのノートが好きで、今でもA5サイズを使っているので、ちょっと親近感がわきました笑
このアイデアマラソンでは、授業ごとに考えるヒントを3つ提供し、学生は書いた数とベストアイデアを提出し、教授がコメントを返したそうです。
創造力の評価は、応用力・生産力・空想力に加えて、思考の速さ・広さ・独自さ・入念さなど、
場面ごとの特性と総合点を測定する「SーA創造性検査」という手法を用いて行われました。
その結果、応用力・生産力・空想力のすべてで大きく向上が見られました。
思考特性では、「入念さ」と「速さ」が大きく向上し、「広さ」と「独自さ」の伸びは小さかったようです。
ざっくり言うと、
【 毎日ノートに1つ以上、思いつきや気づきを書いていくことで、創造力が伸びる 】
という結果です。
つまり、自分の頭で物事を考え、アイデアを絞り出してアウトプットするという訓練によって、脳の回路が発達し、創造力が高まるということだと私は解釈しました。
実験を行った教授によると、「3ヶ月という期間は短かったかもしれないが、一定の効果が見られた」とのこと。
確かに、3ヶ月で創造力が劇的に上がるというのは、そう簡単な話ではありません。
しかし、開始前との比較で特定の項目において創造力の向上が確認されたのは事実なので、やはり
「アイデアを継続的にアウトプットする」
という行為は、創造力を高める訓練になるのは間違いなさそうです。
この研究で個人的に一番気になったのは、「紙のノートで行っていた」という点です。
つまり、スマホやパソコンでアウトプットした場合と比較してどうだったか、という部分については、この研究では検証されていません。
他の研究も踏まえると、「紙に手書きした方が良いアイデアが出やすい」という傾向はあるようです。
できれば、スマホやパソコンでアウトプットするグループとの比較も行ってほしかったところですね。
ちなみに、AI時代において創造力が必要かどうか、という点についてですが、私はどう考えても「AI時代も人間の創造力は重要」だと思っています。
なぜなら、創造力のない人がAIを使っても、その人のレベルのアウトプットしか生まれないからです。
創造力がある人がAIを使えば、より高いレベルのアウトプットができるのは間違いないと思います。
AIが人間を超えるかどうかという議論は昔からありますし、このメルマガでもAGIやASIについてお話ししてきました。
AGI(汎用人工知能)に到達するのはほぼ確実とされていて(というか多分もう半分到達してる(-_-;))、そのときにはAIの創造力が人間を超えている可能性もあります。
しかし、仮にそうなったとしても、「そのAIの力を最大限に引き出せる人間」が生き残るのは間違いないはずです。
創造力が高い人と、そうでない人が同じAIを使って、同じアウトプットになるとはどうしても思えません。
前回お話ししたように、AIに「自分のアイデアについてどう思うか?」と問いかけて対話を重ねていくことで、
より創造力のあるアウトプットにしていくという使い方は、今後ますます広がっていくと思います。
その際にも、やはり人間の創造力や体験・知識・引き出しの量が少ないと、得られるアウトプットもそれなりに限られてくるでしょう。
極端な例ですが、小学1年生がAIを使っても、東大生や社会人のクリエイターが生み出すアウトプットには敵わないのと同じです。
というわけで、AI時代においても人間の創造力は絶対に必要だと私は考えています。
紙のノートかスマホ・パソコンかについては、どちらでも大きな差はないかもしれませんが、とにかく日頃からいろんな形でアウトプットしていくことが重要です。
日本の教育は、暗記型のインプット重視なところがありますが、その学校頭をAI時代に対応できる
「アウトプット型の頭」
に切り替えていけるかどうかが、若い人たちの未来を決める要素になってくると思います。
もし大学がそれを担っていけるなら、今回の久留米大学のような取り組みは非常に意義があると思いますし、今後もこうした方向性が広がっていってほしいと感じます。
※参考
久留米大学「文学部情報社会学科、新教育プログラム「アイデアマラソンノート」で学生の創造性を育成」
https://www.kurume-u.ac.jp/faculty/topics/665d9de3f9bc7e8b297cdda0/
「ノートにアイデア書けば創造性伸びる」 久留米大教授が研究発表へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/f23f56b9db71dec38e469f2631cf03058f9a0e7a


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