- 2025-10-21
- 経済の話
こんにちは、中西です。
本日、高市早苗氏が第104代首相に選出され、日本初の女性総理大臣が誕生しました。
日経平均も史上初の5万に近づき、「積極財政になる!」と日本中が湧いている印象で、前向きに評価している人も多いようです。
確かにこれまでの地獄のような岸田・石破政権に比べれば圧倒的に良いですが、
果たして国民生活にとって最も重要な経済・財政政策がまともに遂行されるのか。
この点について、高市早苗氏は最も重要な財政認識が極めて怪しい部分が多いということで、その危険性についてこれまでこのメルマガでも指摘してきました。
やる必要が全くない「財政健全化」を目指していますし、プライマリーバランス黒字化を否定していませんし、債務残高対GDP比率を減らさないといけないと思い込んでいます。
極めつけは、消費減税を一切しようとしていないことです。
冷静に考えて頂きたいのですが、この30年の衰退・需要低迷・物価高で消費税など撤廃一択にもかかわらず、
撤廃どころか消費減税すら一切しようとしないことが、どれほど狂っているかということです。
この高市総理の重大な問題点を指摘しているメディアも著名人も学者もインフルエンサーも、ほとんどいなくて驚いております。
また、高市総理のこれまでの発言で、「財務省主導の緊縮財政が日本を衰退させた」という客観的事実に対する言及すらも、一度も聞いたことがありません。
他にもいろいろありますが、とにかく彼女の財政認識は、少なくとも国債発行が問題ないという正しい財政認識には全く至っていないレベルです。
確かに積極財政っぽい部分はあるので財務省の路線とは違いますが、
かといってまともな積極財政をやれるような認識には全く至っていないということです。
この彼女の認識に加えて、高市総理がどういう人事を行うかによって、大勢が決まるという話もしてきました。
そして自民党内での人事がまず出ていたわけですが、これも例えば、政調会長に元財務官僚の小林鷹之氏をつけていました。
小林鷹之氏は、積極財政風に見せかけた完全な緊縮思想の持ち主なので、こんな人間に財務省をねじ伏せるまともな積極財政など絶対にできません。
そして最も重要な、税制を決める税制調査会のトップである税調会長には、小野寺五典氏を起用しました。
小野寺氏も、これまで国債発行を否定してきたザイム真理教に洗脳された完全なる緊縮脳の人間です。全く論外の人事だと思います。
他にも正しい認識を持ちながら政治家としてのポジションを守る為に財務省側に寝返って国民を貧困化させた完全なる国賊・麻生太郎を副総裁に、
前々回の財務大臣で、財政認識が間違いというより、そのはるか以前の経済も財政も何も理解していないせいで財務省の完全な操り人形だった鈴木俊一氏を幹事長に起用しています。
(鈴木氏にそんな能力は全くないですが、間違いなく麻生太郎の親戚だから重用したのでしょう。総裁選で自分をバックアップしてくれた麻生太郎を喜ばせる人事をしているということ)
こういう人事を見ても、ため息しか出なかったのですが、
最後に最も重要な「財務大臣」が残っていたので、これを誰にするかで最終的にある程度判断できるだろうとお伝えしてきました。
もし、高市総理と一緒に、これまで財務省の財政健全化推進本部と対抗する「財政政策検討本部」を立ち上げた、正しい財政認識をどの政治家よりも持っている
西田昌司議員を財務大臣に起用したら、一気に話が変わってくる
とお伝えしてきましたが、
本日、財務大臣も発表され、高市総理は西田昌司議員を選びませんでした。
誰を選んだかというと、片山さつき氏です。
片山さつき氏は、曽祖父が埼玉県知事で、父親が東京大学出身で教授など、名家の家に生まれ、学生時代は若い頃から常に学年トップ。
そのまま東京大学に進み、大蔵省の官僚になり、政治家になった人物です。
私はこの手のキャリアの人間に、今の日本を救える政治家は絶対に出てこないと、これまでも断言してきましたが、
片山さつき氏のキャリアだけを見ると、まずこの時点で私の中では完全にダメな方の政治家です。
一般人ならそれでも許されて素晴らしいキャリアなのですが、残念ながら今の日本を救える政治家は、こういうキャリアでは絶対に無理なのです。
これはあくまで私の持論としてお伝えしてきましたが、もちろんキャリアだけでは最終判断はできません。
その人間が財政認識をどれだけ正しく持てているかが重要です。
しかし片山さつき氏は、これまでもザイム真理教の緊縮思想に完全に染まっていることがはっきりしている人間です。
過去の『朝まで生テレビ』の発言でも、60代の一般女性が
「本気で消費を促す覚悟があるなら消費税を下げて」と訴えたのに対して、片山さつき議員は、
「基幹財源として社会保障に充当しているので、消費税は非常に大事だ」
と述べ、消費税の減税を拒否しています。
確かにこの点では、高市総理と考え方が同じですので、皮肉な意味で高市氏と馬が合っていると言えると思います。
そもそも何度もお伝えしてきた通り、消費税は一般財源ですので、「社会保障に充当している」などという事実は存在しません。
ようはこれは財務省の完全なプロパガンダなのです。政治家でしかも元大蔵官僚なのに、そんな基本も理解していないのか、国民に嘘をついているか、です。
また、この一般女性が言うように、消費を促すためには、消費に罰金をかける
消費税を減税するか撤廃する
のが、正しい財政認識うんぬん以前に教科書レベルの常識です。
片山さつき氏は、そんな基本的なことも理解していない、もしくは財務省路線のカルト思想を踏襲しているということ。
また、2022年12月2日の参議院本会議では、片山氏は
「赤字国債でなんとかなるという風潮があること自体が問題」
と述べ、赤字国債発行による政府債務の増加を否定的に捉えていることが伺えます。
この一点だけ見ても、この3年で彼女が考え方を180度ひっくり返すような認識の大転換を行っていない限り、まともな積極財政は否定し続けるということです。
(【追記】上記の部分ですが、この配信直前に高橋洋一教授が高市内閣の人事を解説していたので見てみたら、「片山さつき氏は積極財政に考え方を変えた」と言っていました。
これが本当なら、どのレベルの積極財政に考え方を変えたかによりますが、カルト宗教から今頃ようやく改心したことになります。
だったら財務大臣が認識を180度ひっくり返したわけですから、記者会見を開いて国民に謝罪し、自分は間違っていたことを伝えるべきだと私は思います。
政府の様々な会合や公共の電波で、散々国民を貧困化させる間違った発言をしてきたわけですから。)
そしてこの財政認識が危い点に関しては、実は高市早苗氏も同じです。
彼女も債務残高対GDP比率を小さくすることを念頭に挙げていますので、
この点でも確かに片山さつき氏と高市早苗総理は考え方が一致しているため、高市総理が彼女を起用したのは納得がいく部分はあります。
しかし、これでは国民を救うまともな積極財政ができるはずもありません。二人とも(GDPの6割弱を占める個人消費を上向かせる)消費減税をしない、まともな財政出動もしない、ということですから。
また、片山大臣は以前から財政規律を重視する考え方で知られており、今回も財務大臣に就任することが決まり、財政規律に関する見解も記者から質問されたようです。
本日夕方のロイターの記事によると、片山氏は「政府が財政健全化の目標設定で用いる基礎的財政収支(プライマリーバランス)が今年、来年でプラスマイナスゼロになる」と指摘し、「ネットの債務残高のGDP比を緩やかにコントロールするということで合理的ではないか」と述べました。
そして、「財務省ともそういう統計の議論があるということを議論している」と語ったようです。
何度もお伝えしてきた通り、プライマリーバランス黒字化目標というのが政府の目標にありましたが、そんなものを黒字化する必要は一切なかったわけです。
しかし、その超大問題について、片山氏は質問にまともに回答していません。
つまり、プライマリーバランス黒字化目標についても、財務省と同じように否定するスタンスではないということでしょう。
本当に意味がわからないのですが、高市早苗氏も片山さつき氏も、共に西田昌司議員が作った「財政政策検討本部」という、財務省と対峙する組織に安倍晋三総理と共に所属していたのです。
財政政策検討本部は、簡単に言うと、毎年作られる「骨太の方針」で、プライマリーバランス黒字化目標を方針に入れないよう、いかに撤廃するかということで戦ってきた組織で、そこに何年もいたはずなのですが、
その意図を真に理解しているなら、プライマリーバランス黒字化など全く目標にする意味がないことぐらい、分かっていないとおかしいわけです。
にもかかわらず、高市総理・片山財務大臣は2人とも財政規律を重視してしまっているということは、根本的に認識を間違えている以外に理由が見当たりません。
ただ逆に言うと、それが唯一のかすかな希望とも言えるかもしれません。
つまり、高市総理も片山財務大臣も、共に西田昌司議員の財政政策検討本部に所属して、財務省と対抗してきた側の組織には「一応在籍していた」ということです。
当然、西田昌司議員ともしっかりつながりがあるわけですから、
ものすごく可能性は低いと個人的には思いますが、この女性の総理と財務大臣は、根本的な認識が正しい財政認識に至っていなかったとしても、
「日本経済を何とかしたい」という思いは、どうやら二人ともあるようです。(とくに高市総理。個人的に片山氏にはその思いの強さ・真剣さはまるで伝わってきませんが、言葉ではそれっぽいことを一応言うこともあるようです。)
特に高市総理がその思いを持っているのは間違いないでしょう。
そして、財政政策検討本部に所属していたことで、その関係で財務省と戦うことに2人がコミットしており、
認識は根本的には間違えているけど、積極財政の方向で何とかしようと努力はする可能性があるということです。
正直、私の中ではそんなレベルでは財務省を屈服させて緊縮路線を終わらせることなどできないだろうと思いますが、
少なくともこれまでの鈴木俊一や加藤勝信のような、めちゃくちゃな財務省の操り人形のような財務大臣よりは100倍マシなのは確かです。
(加藤勝信は生活苦の国民が6割・全国の子供が貧困でまともに食べられない状況を作り出しておきながら、自分は毎日数十万円~100万を超える会食をし、幸せアピールの醜悪極まりないショート動画を配信していたような政治家です。その上で緊縮脳で財務省に言われるままの大臣でした。麻生太郎と同じでその方が自分の幸せを維持できるからです。地獄に落ちる前に5億回くらい〇ねばいいのにヽ(*`Д´*)ノノ)
また、私はあまり興味がなかった組織ですが、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」とやらに所属し、正しい財政認識を持っているらしい城内実氏が経済財政の要職についているので、この人事も一定の可能性を秘めているかもしれません。
あとは高市政権は維新と連立しましたが、言うまでもなく維新は新自由主義と緊縮財政の政党ですので論外です。
しかも維新は氷河期世代の敵で究極の国賊・竹中平蔵を今年に入ってから「ガバナンス委員会」の委員長に抜擢しています(゚o゚;)
ガバナンス委員会というのは、党の運営の健全化策を検討する組織で、この維新の人事1つを見ても、
維新が竹中平蔵を重宝し、彼の考え方を踏襲しており、竹中平蔵およびグローバリストの連中とズブズブだというのがよくわかります。
そもそも竹中平蔵が最初にかかわって作った党ですから。高市政権はこういう政党と連立を結んでいる時点で、魂を売っているとしか私には思えません。
あと、藤井聡教授が片山さつき財務大臣を応援するようなコメントを投稿していたのですが、相変わらず意味がわかりません。
藤井氏は、プライマリーバランス黒字化目標は絶対に撤廃すべきという考え方をこれまで誰よりも主張してきましたし(8年前に「プライマリーバランス亡国論」という本も出版)、
メディアで片山さつき氏ともずいぶんバトルをしてきた側なのに、なぜあんなに好意的に評価するような発言をしているのか。
これはもう、やはり少し前からお話ししている通り、藤井教授のこの高市内閣に対する持ち上げぶりと豹変ぶりは、
内閣官房参与のポジションを手に入れようとしている
としか思えません。
別に藤井教授を私は信用しているので、内閣のブレーンとして入り込むために、今は批判のトーンを一切見せないようにしているのであれば、
それはそれで一つの戦略なのかもしれませんが、個人的にはただただ気持ち悪いですし<(_ _)>、逆にそれ以外の理由なら、藤井教授に何が起こったのか全く意味がわかりません。
ということで、ついに日本初の女性総理が誕生して、一時期日経平均株価も5万円に近づいて株も盛り上がっていましたし、国民も期待している人が多いようです。
しかし、高市総理の財政認識と財務大臣片山さつき氏の財政認識が共に極めて危ういという点で、
私自身は山本太郎さんと同じように高市内閣の積極財政は見せかけに終わるだろうと踏んでおり、全く期待していません。
積極財政風に見せかけて、結局国民は救われないという状況が続くと確信しております。
とはいえ、これまでよりは圧倒的に良い政権です。(岸田・石破政権が悪すぎた)
また、高市総理は積極財政の組織に所属はしていたので、その点でもこれまでの総理とは違いますし(安倍さん除く)、
期待はしていませんが、これまでよりはかなりマシな経済・財政政策が行われる可能性はそこそこあると思います。
あくまでこれまでと比較した相対的なものですが、これまでが地獄のような最悪の緊縮財政でしたので、それに比べたら、そりゃ多少は良くなるでしょう。
ということで、日本経済が本格的にV字回復するようなことにはならないでしょうが、高市氏がついに総理になり、これからが本当の勝負です。
国民として、しっかりとこの政権を注視していきたいと思います。


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