- 2023-1-29
- 経済の話
こんにちは、中西です。
岸田首相になってから、間違いなく日本は悪化のスピードが加速しています。
特に、最も重要な経済・財政政策の認識間違い(財政健全化が重要など)と、
その総理の無知から来る認識間違いを、狡猾な財務官僚に見事につけ込まれ、
現在、日本は恐ろしいほどに狂った政策がどんどん進んでいます。
1月23日に衆議院の本会議で行われた岸田総理の施政方針演説の内容を確認してみましたが、結論から言うと、「地獄絵図」でした。
その内容があまりにもひどく、個人的には本当にめまいと吐き気がしました。
その演説で岸田総理が言っている政策や方針は、一見、言葉だけ見ると、なんとなくそれっぽく、かっこいい表現になっているのですが、その中身が何を意味するかを理解できていれば、
「こんなものが実行されていけば、日本の未来は地獄になる」
としか言いようがないものばかりでした。本当に深刻な事態だと思います。
今回は、その演説の内容を何箇所か取り上げ、岸田総理の無能ぶりのせいで、これから日本国民がどれだけ大変な状況に陥るか、お伝えします。
わかりやすくするために、演説の内容から1つずつピックアップして、ツッコミを入れる形式でいこうと思います。
演説の内容は、以下の記事から。
(サブタイトルの「社会を良くする経済ニュース」は、もはや喜劇ですが…)
▼岸田首相、持続的賃上げへ労働市場改革に意欲
年功賃金から日本型の職務給への移行は急務 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
『岸田文雄首相は23日、衆院本会議で行った施政方針演説で、持続的に賃金が上がる構造を作り上げるため、労働市場改革を進める決意を示した。足元で物価上昇を超える賃上げが必要とも語った。』
→「物価上昇を超える賃上げ」を岸田総理は、今年の初めに産業界に「お願い」していました。
要するに、日本中の経営者に「従業員の給料を上げてください」とお願いしていたわけです。
これは政治家、まして総理大臣として論外であり、そもそも政治家が経営者にお願いするものではありません。また「お願い」されてそのとおりに対応する経営者もいません。
政治家がやるべきこと(この場合は大規模×長期の財政出動)を全くやらないで、むしろ逆にデフレの状況で増税を繰り返し、景気を悪化させて、日本中の経営者の足を思いっきり引っ張っておきながら、賃金アップだけお願いする。
控えめに言っても、総理大臣として完全に狂っています。
また、「持続的に賃金を上げる構造を作る」ために、「労働市場改革を進める決意」をしたとありますが、これはまさに自由化を進めて市場での競争を激化させる新自由主義の発想です。
この新自由主義の発想で構造改革が行われ、非正規社員が激増し、今や日本の労働者の4割が非正規社員となってしまい、これが原因で貧困化と少子化が加速度的に進みました。
「労働市場の改革」で、賃金の問題をなんとかしようとするのは、これまでと同じ失敗をまた繰り返すことを意味します。
政府がやるべき事は、労働市場をいじるのではなく、民間にお金が回るように財政出動をすればいいだけです。
1番大事なやるべきことをやらずに(正確には1番やるべき財政出動を、財務省が自らの権力維持のためにやりたくないから)、労働の構造そのものを素人(官僚=政府)がいじっていたら、状況をますます悪化させていくのは火を見るよりも明らかです。
『働く人が学び直しをするリスキリングによる能力向上支援と合わせ、日本型の職務給の確立と成長分野への円滑な労働移動を進める改革を「働く人の立場に立って加速する」と述べた』
→「リスキリング」とは、労働者が新たにスキルを身に付け直すと言うような意味ですが、企業の現場を何も知らない政府(官僚)が「学び直し」を支援したくらいで、企業側が、その人に給料を十分に払うようになるわけがありません。
そんなことが簡単に出来るなら、国民全員がとっくに貧困から抜け出せています。
お金を稼ぐド素人の政府(官僚)がこの手の支援をして、過去まともに成功したためしがありません。
政府がやるべきは「改革を働く人の立場に立って加速する」(?)のではなく、ただただ、シンプルに民間(国民・企業)にお金を出せばいいだけです。
そうすれば、水を得た魚のように民間は息を吹き返し、ど素人の政府が介入しなくても、景気さえ良くなれば民間は勝手に問題を解決していくのです。
『従来の年功賃金から職務に応じてスキルが適正に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給への移行は企業の成長のためにも急務だと指摘。6月までに導入方法を類型化し、モデルを示すと語った。』
→いわゆる「ジョブ型雇用」への移行のことです。
ジョブ型雇用と言うのは、これまでの日本の会社で行われていたメンバーシップ型の雇用(正社員として雇い、職縁にもとづく同じ会社の仲間・ある種の家族的な人間関係で、終身雇用を実態として保証しながら、社員を育てていく形の雇用形態)とは全く違い、欧米型の
「個人のスキルに基づいて、プロジェクトごとに雇う。プロジェクトが終わったら、バイバイキーン!みんなまた会おうね!」
という形の雇用形態です。
かっこよく言えば、映画の制作委員会、つまり、映画の作り方に似ているとも言えます。
映画も1つの映画を作るときに、俳優や様々なスタッフが集まってクランクインし、映画の撮影が終了したら、クランクアップで打ち上げ。
まるで、「学校の文化祭の繰り返し」みたいなもので、文化祭や映画の制作なら楽しいですが、この働き方が、「民間企業のメインストリーム(主流の働き方)」になってしまったら、世の中は「生活が不安定にな人だらけ」になります。
当然、スキルを身に付けられない人は、そのプロジェクトにすら、そもそも参加できません。
国民全員が自分のスキル1本でフリーランス的に食べていけるはずがなく、メンバーシップ型の雇用が消滅して、ジョブ型雇用が主流になるということは、食べられない人が大勢出てきて(あるいは食べるために、自分に全く合わない&低賃金・重労働の仕事につかざるをえなくなり)、社会が不安定化していきます。
ちなみに、昨年9月、岸田総理はニューヨーク証券取引所で講演をした際にも、同様のこと(ジョブ型雇用に移行する給与体系の方針を策定する)を宣言していました。
つまり、もう政府は本気で間違いなく、日本社会をジョブ型雇用に移行させていくと言うことです。この問題の本質を一言で表すなら、
「会社員が安定だった社会は、完全に終わる」
ということになります。あくまで私の見解としておきますが、どう考えても、そういうことにしかなりません。
『昨年の出生数が80万人を割ったことに触れ、「わが国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」と指摘。こどもファーストの経済社会を作り上げ、出生率を反転させなければならないとし、「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と述べた。』
→その前に、まずは国民に「出生数が80万人を割るほどの少子化国家にしてしまったこと」を謝罪すべきでしょう。こうなったのは100%完全に、自民党の緊縮財政が原因なのですから。
「こどもファースト」というのも意味がわかりません。
少子化になった原因は、「給料が上がらず、貧困から抜け出せないせいで、結婚が考えられない人が激増したから」です。
これはデータからはっきりしている否定しようのない事実です。しかもそのデータは、政府が出している少子化白書に明確に掲載されています。
どのデータ・調査結果を見ても共通しているのは、「結婚したい」と言う希望を持つ人が大半なのは男女ともに変わっておらず、結婚できない理由は「経済不安(低収入)」であり、
「結婚した人が子供を持つ割合」は昔から変わっておらず、収入不安から本来の希望より少ない子供しか作れない人が大半だと言うことです。
つまり、少子化の問題は、子供を産んだ後の政府の支援でどうにかなる問題ではなく(政府は子育て支援など常にそこに対策をしようとしますが)、
「収入が低くて(不安定で)結婚できないこと」
が、少子化問題の最大の原因なのです。
それを「こどもファースト」とか、子供を産んだ後の支援しか考えていない時点で、根本的に認識を間違えています。
原因を間違えているのに、その問題を解決できるわけがありません。
長くなるので、その他の岸田総理のズレまくった政策の数々は、以下に転載しますので、よかったらご自身で考えながら突っ込んでみてください。
◯公的セクターや政府調達に参加する企業で働く人の賃金を引き上げ
◯中小企業の賃上げ実現へ、生産性向上や下請け取引の適正化、価格転嫁を促進
◯フリーランスの取引適正化も強化
◯今後も必要な政策対応に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む-物価高対策
◯将来世代への責任として対応-防衛費増の財源
◯国家戦略として資産形成支援、長期的には運用収入そのものの倍増も見据える
◯2025年をめどに全都道府県で自動運転の社会実験実施目指す
…表面的な言葉と雰囲気だけは、なんとなくそれっぽいようにも聞こえますが、まともなのは最初の「公的セクター等の賃上げ」と、最後の「自動運転の実験」くらいで、
後は政策として絶望的で、この国がボロボロになっていくのがはっきりとわかります。
今回、長々と話しましたが、岸田政権がやろうとしている政策を例えるなら、
何日も飲まず食わずで、脱水症状と飢餓で今にも死にかけている人が目の前にいるのに、
真っ先にやるべき水分の補給や、食事の提供をしないで、
「髪の毛が伸びてますね」と言って散髪をし、「眉毛が太いですね」と言って眉毛カットをし、「虫歯がありますね」と言って虫歯の治療をし、「お肌が荒れてますね」と言って肌荒れクリームを塗っている
ようなもんです。一体何をやっとんねんと(゚o゚;;
当然、餓死寸前の人にそんなことを延々としていたら、まもなく、その人は死亡します。
緊急事態なのに、真っ先にやらなければならないことを放置して、問題の本質とは全く無関係なところばかりいじっている。
今の岸田政権がやっていること・今後やろうとしていることは、まさにこれと同じです。
今すぐやるべきことを放置して、問題の本質とは無関係なことばかりしていたら、
人間ならまもなく餓死するように、
国家も近い将来、確実に「餓死」していくことになります。
これは日本という国が「危機に見舞われている」のではありません。
この状況がまるで理解できない、あまりにも無能・無知すぎる岸田総理の存在そのものが、
日本の戦後最大の非常事態なのです。
それではまた。