- 2022-11-23
- 経済の話
こんにちは、中西です。
今日は勤労感謝の日でしたが、皮肉なことに、この祝日にTwitterでは
「所得増税」
がトレンド入りしたそうです。
理由は、ウクライナ侵攻や日本の隣国のリスクから、「防衛力の強化」が必要だと言う話になってきたわけですが、
この防衛力をテーマに開かれた政府の有識者会議が、22日に岸田総理に提出した報告書の中で、
「増税が必要」
と言う結論になっていたからです。
この報告書では、防衛費を増額するための「財源」をどうするかという点について、
「足らざる部分については、国民全体で負担」
「幅広い税目による負担が必要」
となっていて、政府はこれを受けて法人税や所得税の「増税」をする方向で検討が始まったため、それを受けて、Twitterで「所得増税」がトレンド入りしたと言う流れ。
ですが、このメルマガで何度も言ってきた通り、増税をする必要など1ミリもないんですね。
理由は簡単で、「防衛増税」ではなく「防衛国債」と言う形で、政府が防衛に必要なお金を自ら作り出せばいいだけだからです。
政府は自らお金を作り出せるんですよ。「通貨発行権がある」と言う当たり前のことを、なぜかみんな思い出せなくなってしまう。
こんな防衛費なんてものを国民から税金として徴収する意味が全くないわけですが、そのことを指摘しているマスコミやメディアは(私が見た限り)皆無でした。本当に信じられない。
道路や橋などを作るための「建設国債」と言うのを、毎年政府は発行していますが、それと同じように防衛国債を発行すればいいだけなのです。
ところが、この防衛費に関する記事のコメント欄を見ても、ほとんどの人が
「防衛は強化しなければならないから、増税は仕方がないが」
「赤字国債はいくらでも発行できるわけではないから、増税はやむを得ないが、まずは議員の給料を削減するなど、無駄を省くべき」
…みたいなことを言っている人だらけなのです。
要するに「防衛費は国債を発行すれば済む話」と言うことを、ほとんど誰もまともに理解していない。メディアも一切語ろうとしない。
「日本は財政破綻しない」
「国の借金で破綻する事は無い」
と言う事は、多くの人が理解しているのに、
「赤字国債をたくさん発行してはいけない」
「(防衛費を増やすには)増税も仕方がない」
…などと、完全に矛盾したことをみんな言っていると。
私は、この現象の意味がずっとわからなかったのですが、最近ようやく意味がわかってきました。
要するに、みんな表面的な理解として、
「どうやら日本は財政破綻をしないようだ」
と言うことを、大勢の人が言っているので、そこは間違いないだろう、とは理解したと。
でも、その理由を根本から噛み砕いて理解したわけではなく、「日本は財政破綻しない」と言うフレーズのみ、表面的に頭に入れているだけ。
よって、「日本が財政破綻しない理由」を根本から理解していないため、
「赤字国債をたくさん発行してはいけない」
「(防衛費を増やすには)増税も仕方がない」
などと言う完全に矛盾したことを、いまだに考えてしまっていると。
こう考えれば、すべての辻褄が合います。
一般の国民がそれを理解してないのはまだ仕方がないとしても、政治家ですら、大半はこれを理解していないわけです。
そして、その政治家(と国民)の無知を、財務官僚につけこまれているのが今の日本の衰退に直結しているわけですが、
それがいかにひどいものかについて、京都大学の藤井聡教授が具体的に、ラジオで説明されていました。
▼[2022.11.21放送]岸田「大増税」時代がやってきた! ~こうして日本は滅び去る~(藤井聡/KBS京都ラジオ)
https://youtu.be/sEheQfPEW8A
ラジオの内容は、これまでこのメルマガで説明してきた話とほぼ同じですが、上記の放送分からポイントだけ抜粋します。
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■財務省は、政府の税金を検討する税制調査会や(今回の防衛費の報告書を作成した)有識者会議には、「増税が必要」と言う見解の学者や有識者しか、そもそも参加させていない。つまり出来レース。
※中西の追記→元財務官僚で官僚時代に、税制調査会の学者を選出していた高橋洋一教授が、その選考基準について、
「財務省に都合の良い飼い犬の学者しか選んでいなかった」
と暴露されています。
■財務省は、昔からガソリン税の増税をしたくて仕方がなかった。
ところが、ガソリンの燃費が良くなり、税収が少なくなってきたため、財務省に全く刃向かおうとしない岸田総理が総理をしている間に、一気にガソリン税の代わりになる「走行距離税」「道路利用税」などを通してしまおうと考えている。
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…こんな感じの放送内容でした(詳しく知りたい方はリンク先から放送をお聴きください)。
この状況の本質を言うと、要するに
「国民と政治家と岸田総理は、財務省に寄生するエリートのクズ小役人連中に、舐められまくっている」
と言うことです。
エリートと言うのは当然皮肉で、私は彼らを「日本の教育が生んだモンスター」だと考えています。
幼少期から勉強ばかりして東大に入り、東大でもまた勉強ばかりして、そのまま「最も強大な権限のあるお金を扱う組織」の官僚になって権力だけ手に入れ、
世間でお金を稼ぐ人たちの苦労も、不安も、その現場も、その人たちの生活も、1ミリも理解できない連中が、
似非エリートのプライドと強欲だけ極限まで肥大化させ、貧困で苦しむ国民から組織的に富を収奪して、自分たちの権力・利権構造を維持する策略を、30年前に「財政破綻論」と言う形で思いつき、
政治家も、国民も、メディアも、学者も、言論人も、いまだにそのロジックに騙され続けている。
…と言うことでございます。゚(゚´Д`゚)゚。
この状況を突破するには、単に
「財政破綻論は嘘だったようだ」
「国の借金で財政破綻はしないようだ」
と言う表面的な理解にとどまらず、根本的に、その理由を説明できるところまで、みんなが理解しないといけないと言うことになりそうです。
そうでなければ、単に「防衛国債」を発行すれば全てが終わる話を、わざわざ困窮している国民から増税して、「防衛増税」をするなどと言う、
財務官僚だけが得をする狂った政策
ばかりが、彼らが国民の財産をしゃぶり尽くすまで、永久に続くことになります。
先日もお話しした通り、ここまでの流れは、90年前に長期デフレで緊縮財政をやって大不況の地獄に突入した「昭和恐慌」と全く同じパターンをたどっていますので、
経済評論家の森永卓郎氏らが警告している通り、「令和恐慌」に突入していく可能性が極めて高いと私は考えています。
残念ながら、令和に高橋是清(昭和恐慌の地獄を積極財政で救った大蔵大臣)は存在しませんので、我々一人一人がこの問題を根本から理解しなければ、
国力の弱体化がこの30年以上にさらに加速化し、現代型の植民地化である
「国内のあらゆる物(土地・建物・企業・インフラ・労働力・メディア・文化財など)の買収」
が外国勢によってこれまで以上にどんどん行われ、
気づいたときには、この国は日本人のものでは無くなることになります。というか、もうそれ(サイレントインベージョン=静かな植民地化)がどんどん進んでいますから。
この行き着く先こそが、本当の意味での日本の破綻であり、
「財政破綻論の嘘」を信じ込んだ国民によって、最終的に本当に破綻が実現してしまうと言う、
【 最悪のケースの「自己成就予言」が国家単位で実現してしまう 】
…という空前の大惨事が、遠くない未来に訪れることに、必然的になります。
それではまた。