- 2021-8-14
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こんにちは、中西です。
ご存知の方も多いと思いますが、メンタリストDaiGoさんが、過去最大級の大炎上中です。
問題の発言は以下で確認できます。
▼問題発言の動画(切り抜き)※過激発言のため閲覧注意
▼書き起こしの記事(過激内容のため閲覧注意)
メンタリストDaiGo「ホームレスの命はどうでもいい」と差別発言。炎上後も「辛口だから」と言い訳(篠原修司)
既に謝罪をされていて、1回目の謝罪でまた大炎上したため、本日2回目の謝罪をされたようです。
今回は彼の発言内容や、謝罪の内容の具体的な話はしません。内容はご存知の方が多いと思いますし、もし知らない人は上のリンク先等から確認ください。
個人的にこの件からは、反面教師的な意味合いからも、別の意味合いからも、学ぶことが多かったです。
今回は、内容はご存知だと言う前提で、私の思ったことなどを書いてみます。
大きく2つありまして、
1つはメンタル面からの考察、もう一つは経済面からの考察です。
まずメンタル面からの考察ですが、私がこの炎上案件を知って最初に思ったのが、
「弱者への共感能力が著しく欠如している」
と言うことです。
「ホームレスは臭い。寝転んでいて邪魔。いない方がいい」
「ホームレスの命なんてどうでもいい」
「生活保護の人間は価値が無い」
とまで言っています。
なぜここまで共感能力が欠如するのか?
確かに私の感覚ですが、年齢的に中三とか高一位までなら、ホームレスの人たちに対してそういうことを本気で思っている若者は、一定の割合でいるのではないかと思います。
私自身がそうでしたが、その年齢位だと世の中のことを斜めに見たりしている一方、人生経験も社会経験もないのと、経験がないからこそ万能感だけがあったりするので、
自分自身がそこ(ホームレスや生活保護)に行き着くことになる可能性もあると言うことを、全く思いもしないわけです。
おまけに社会の構造もあまり理解していないので、
「頑張って努力をしなかったから、ホームレスなんかになったんだろ」
みたいな、ものすごく浅い自己責任論で、安易に結論づけがちです。(全員では無いですが)
これは完全に無知から来るものですが、個人的に高校1年生ぐらいまでならギリギリ許せるかなと言う感じ。思いっきり譲っても、高校3年生ぐらいまででしょう。
まして社会に出て1年でも2年でも組織で働けば、組織の中にも、顧客との関係にも、上下関係にも、同僚の関係にも、会社の仕組みの中にも、政治の仕組みにも、
自分と関わるあらゆるところに理不尽なことや、納得できないことだらけで、
個人がどれだけ努力してもどうにもならないことも多い事は、嫌でも理解することになります。
ところが、です。
残念ながら組織で働かないまま年齢を重ねる人も中にはいます。
もちろんそれが全て悪いわけでは全くないのですが、これまでこのメルマガで何度も何度も、実名を挙げて批判してきた人物たち(特に嘘をついて国民を貧困化させている経済学者や言論人やインフルエンサー)の中に、
見事なまでに共通点がありまして、その共通点というのが、
「成人して以降、社会人として組織で働く、商売(起業・個人事業)をする、貧困生活になる、などの苦労を全く経験していない人たちばかり」
と言う点だったことです。
例えば、飲食店に金融機関から脅しをかけると言う狂った政策を実行しようとした西村経済再生担当大臣を、私はモンスターだと言いましたが、
その時彼のキャリアを調べてみたら、
灘高校→東京大学→通産省→海外留学→政治家
こんな流れで今に至っていたわけです。これこそがまさに彼がモンスターになった原因の1つだとお伝えしました。
私には正直それが手に取るようにわかるのです。
こんなきれいなキャリアを歩んできた人間に、貧困生活を送っている人たちの本当の苦しみや、商売人の気持ちや、派遣社員の気持ちや、会社員の気持ちや、フリーランスやフリーターの気持ちなど分かるはずがないということです。
(私は幸運にも超就職氷河期で上記全部経験できましたが笑)
もちろんそういうキャリアでも、様々な原因でそれを理解できる聡明な方・素晴らしい方もいるわけですが、
こういう綺麗すぎるキャリアを歩んだ人の中では、一定の割合で人の世の痛みがまるでわからないモンスターが出てくるのです。
メンタリストDaiGoさんは、いじめられた経験があるにしても小学生や中学生時代の話のようですし、
社会に出てからは大変な努力をされたのでしょうが、大学卒業後は1度も組織には入っていないようなので、世間一般の人たちが味わう苦しみや痛みや苦労を、感覚的に実感レベルでは、おそらく理解できないと思われます。
そういうキャリアが悪いと言うことではなく、むしろそういう一般的なキャリアを歩まなかったからこそ、彼は非常に若くして富も名声も得て成功したとも言えますが、
このキャリアが、今回の彼の社会的弱者(生活保護やホームレスの方々)に対する、著しい共感能力の無さの一因になっているのは間違いないと私は思っています。
そして、もう1つは
「人は権力を持つと共感能力が弱まる」
と言う研究結果があることです。
カナダのウィルフリッド・ローリエ大学の研究によると、
人は自分が権力を持ったと認識した瞬間、他者に対する思いやりを失ってしまい、相手の立場で考えることができなくなることが判明しました。
人格が変わると言うよりは、人は自分の権力を自覚すると、脳の構造によって、共感することができなくなる可能性が高まるようです。
パワハラなどが起こる原因の1つもこれだと考えられます。
もちろん全員がそうなるわけではないので、権力や地位が高まっても、その点に注意してまっとうな権力者・上司・上長になる人も多いわけですが、
やはり思想・思考・人格・性格・環境・受けた教育・周囲からの影響・知識不足・経験不足などなど、何らかの要因によって
「自分の権力(地位・立場)が高まったことで、共感力を失ってしまう」
と言う状況になる人が出てくるわけです。
残念ながらメンタリストDaiGoさんは、生活保護やホームレスの方への著しく攻撃的な発言を見る限り、
若くして成功者になってしまったことで、大きな社会的影響力(=権力)を手に入れ、共感能力を失っていた可能性が高いです。
メンタリストなので「人の心を読み取る力」はあったのかもしれませんが、
弱者と同レベルの苦労を成人以降全くしなかったことと、若くして成功してしまったのと、何らかの彼の内面的な要因によって、
「人(特に弱者)の心に共感する力」
は身につけられなかったと言うことだと思います。
加えて彼は思想としては新自由主義者なので、自己責任論と結びつき、
「自分は努力して成功できた。成功しない奴は怠け者。努力しないのが悪い」
と言う考え方につながっていったのでしょう。
今の日本で「自己責任論」を展開することがどれほどまでに愚かで浅はかな考え方かと言うのは、このメルマガで散々解説してきましたので今回はカット。
心理テクニックや効率的なライフハックばかり学んでしまい、人として土台となる古典・歴史・哲学・人間学・修身・道徳・宗教といった分野を、ほとんど学んでこなかったのではないかと推察します。
あるいはそういった部分をしっかり学んでいたら、今回のような社会で到底許されざるおぞましい発言をしてしまう34歳にはならなかったかもしれません。
最後にハーバード大学のマイケル・ サンデル教授の言葉をご紹介します。
「競争の激しい能力主義社会で努力と才能によって勝利を収める人びとは、さまざまな恩恵を被っているにもかかわらず、競争のせいでそれを忘れてしまいがちだ。」
「われわれはどれほど頑張ったにしても、自分だけの力で身を立て、生きているのではないこと、才能を認めてくれる社会に生まれたのは幸運のおかげで、自分の手柄ではないことを認めなくてはならない。」
▼実力も運のうち 能力主義は正義か? | マイケル・サンデル, 本田 由紀, 鬼澤 忍
そういえば、私が大学1年の入学してすぐの時に読んだ松下幸之助の本に、こんなことが書いてありました。
「うまくいった時はおかげさま。
うまく行かなかったときは
自分に原因があると思っている人は
幸せに成功しています。」松下幸之助
努力家で自信家で優秀な人ほど、自己責任論になりがちなので注意すべきですね。
それではまた。