- 2015-5-28
- その他・雑談, 大学生活について考える
こんにちは、中西です。
たった3日前に、
こんな明るい話↓をご紹介したばかりなのに、
今日は、全く逆の話を
しなければなりません。
(でも、結果的には同じ話になります)
ニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、
俳優で演出家の今井雅之さんが
本日未明に亡くなりました。
享年54歳でした。
今井さんがこれまでどういうお仕事を
されてきたかについては、ニュースなどで
いろいろ報道されると思うので省略しますが、
今回はおそらくどのメディアも
報じないであろう今井さんの
“隠れた名作”
について、私から今井さんへの
感謝の意味を込めてご紹介します。
今井さんは代表作の
「THE WINDS OF GOD」関連の作品はもちろん、
俳優なので映画やドラマなどの
映像作品は多数残されているのですが、
唯一といえる“自伝的な本”を
1冊だけ出されているのです。
それが
「若いぼくらにできること
―体験的青春論 (岩波ジュニア新書)」
です。
岩波ジュニア新書なので、タイトル通り
若い人向けに書かれた読みやすい本です。
今井さんの自衛隊時代の話から、
東京大阪間をマラソンで横断するムチャクチャな話から、
厳冬での生死をさまよう体験から、
今井さんの夢の話まで、
ありとあらゆる熱い話がつまっています。
私はこの本に大学1年生のときに出会い、
忘れもしない東村山の4畳半の
ボロアパートで読みました。
それまでテレビで今井さんの顔くらいは
見たことがありましたが、
まさかこれほどすごい過去を持つ
俳優さんだとは思っておらず、
読んだときは本当に衝撃を受けたものです。
本を読みながらこれほどテンションが上がって、
熱い気持ちになり、自分の青春時代の送り方について
猛烈に考えさせられた本は、
この本が最初でしたし、
結果的に、これが最後でした。
つまり後にも先にも、私の中で
この本以上に「青春のエネルギー」に
満ちていると感じる本は無かったのです。
それくらい20代前半くらいまでの
若い人全員に読んで欲しい名著なのですが、
残念ながらこの本がそれほどの名著だと
知っている人は、世の中にほとんどいないと思います。
この本を読んでからも大学時代に
膨大な本を読みましたし、
社会人になった後もたくさん本を読んできましたが、
今まで読んできた本の中で、
今井さんのこの本ほど
「とてつもない青春のエネルギーが充満している、
やる気がわいてくる本」
を見たことがありません。
これを読んで元気にならない人は
きっといないと思います。
それくらいの本なのです。
これは今井さんが亡くなったから言うのではなく、
本当に今井さんのこの本ほど
若い人がやる気と元気をもらえる、
尋常じゃないエネルギーに満ちた、
笑いと感動と涙にあふれる
自伝的な体験談もないからです。
もし高校生・大学生にたった1冊だけ
本を勧めるとするなら、
この本だと言い切れるほど
本当にいい本なので、
ぜひ現大学生はもちろん、大学受験生も
読んでみて下さい。
受験生でもこの時期ならまだ時間がありますから、
自分の大学時代に想いをはせてワクワクする意味でも、
受験のエネルギーをもらう意味でも、
勉強を2~3時間ほど止めて、
この本を読むことを強くおススメします。
(ただしネットでも中古本しかもう無いようなのでお早めに)。
この本の中でいまだに
忘れられない言葉があります。
引用ではなく記憶で書きますが、
それは今井さんがこの本の中で
「僕は自分が主演・脚本・監督で作った映画で、
アカデミー賞を獲る!何年かけても。」
と宣言していたことです。
それがどれほど途方も無い夢かも
十分理解した上で、そう宣言されていました。
結果的にその夢は叶わなかったことになりますが、
彼の代表作「THE WINDS OF GOD」や彼の生き様は、
下手なアカデミー賞の作品以上に
多くの人の心に生き続けることになるのは
間違いないと思います。
そんな若者必見の名著の存在を
このまま埋もれさせたくないですし、
どうしても一人でも多くの人に知っていただきたく、
本稿を書かせていただきました。
今井さんは、他のどんな俳優さんよりもエネルギーに溢れ、
誰よりも人間の生と死に向かい合い続けた、
本当に愛の深い方だったと思います。
そして誰よりも、本物のユニークな俳優さんでした。
今井雅之さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
「若いぼくらにできること
―体験的青春論 (岩波ジュニア新書)」
P.S
上記の本文のメルマガで
今井雅之さんの本を紹介しましたが、
メルマガ配信時点では数十冊も
アマゾンに出品されていて、
1円本もたくさんあったのに
(私も再読するために
1円で買っていたのですが)
メルマガ配信後、あっというまに
売り切れてしまって
1時間もしないうちに、
1冊が2000円ほどの
プレミア価格になってしまっていました。
中には4,000円くらいで
売っているバカもいましたが。。
うちの読者さんが購入されるより前に
ちょうどあのタイミングで全国で
多くの人が購入したのと、
もう1つは業者が買い占めたと思われます。
中古本の業者とか転売やっている個人・企業で
こういったニュース性のある人の商品を
買い占めて高値で売る、という商法があるのです。
でも今日見たときは新品が定価で売っていましたね。
よくわかりませんが、いま注目されているので
売買が活発化しているのでしょうきっと。。
今井さんのあの本は昨日まで
“隠れた名作”でした。
マイナーな本なので私はまさかそんなに
岩波ジュニア新書が売れるとは
思っていなかったのですが
まあ注目が集まっているときには
そういうことになるのかもしれません。。
素晴らしい本なのでたくさんの方に読まれると
いいのにと思うのですが、
そこを商機にしている人がいるのは
あんまりいい気がしません。
が、そういうところに商機を感じるセンスも
実はけっこう重要だったりするので複雑です。
3年ほど前に世界的に有名な「7つの習慣」のコヴィー博士が
亡くなったときに、思いっきりキャンペーンをしていた
会社があったのですが、
最初その商魂にちょっと引いてしまったものの、
冷静に考えれば「それもアリ」というより
「そうすべき」だったと考え直しました。
ちゃんと礼節を持って販売されてましたしね。
人生いたるところに青山あり、
ビジネスいたるところに商機あり。
個人的に今井さんの本には思い入れが強かったので
心情的に商機にする気には全くなれませんが、
私は教育者はぜんぜん無理でも
未熟でも経営者ではありたいと思うので、
そういう感性・センス・嗅覚って必要だなと
あらためて思った次第。
なんだか変なところで勉強になりました。