- 2026-5-15
- 石油危機・イラン戦争
こんにちは、中西です。
大前研一さんという、ビジネス界ではかなり有名な経営コンサルタントの方がいます。
BBT大学院(ビジネス・ブレークスルー大学)というところの学長もされていて、オーストラリアのボンド大学の教授もされておられます。
もともとはマッキンゼーというコンサル会社の人ですが、日本支社長を務め、その後は日本を代表する経営思想家のような形で海外でも知られている方です。
書籍も多数出されていて、私は大学時代にこの方の本を何冊か読みました。
社会人になってからも、20代の半ば頃だったと思いますが、この方が最初に書いたデビュー作の『企業参謀』という40年前の古い本があり、書店になかったので、わざわざ図書館で探して読んだこともありました。
ただ残念ながら、15年ぐらい前に財政破綻論者であることが分かり、そのあたりからこの人の情報を読む気が失せてしまいました。
その後は、本も記事もほとんど見なくなっておりました。
そんな大前研一さんの記事を久々に見つけたのですが、通常の記事なら多分読まなかったと思います<(_ _)>
ただ、石油の備蓄に関する記事だったので、読ませてもらいました。以下、一部引用します。
公開日は5月12日で、タイトルは「『石油備蓄200日』で持ちこたえれば勝ち」。
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「石油備蓄200日」で持ちこたえれば勝ち
(前略)
停戦できずにホルムズ海峡が封鎖されたままなら、日本経済はジリジリとダメージを受ける。
トランプ大統領の機嫌を取っている場合ではない。
日本の石油備蓄は約205日分あるといわれる(2026年5月8日時点)。
【資料】石油備蓄の状況(推計値の速報)
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl001/pdf-oil-res/oil_daily.pdf
今輸入が止まっても秋まで持つ計算だが、備蓄タンクを残量ゼロにするわけにもいかず、どこかの段階で節電、節油に舵を切ることになる。
1日数時間の計画停電や、ドイツ並みのガソリン1リットル400円超えもありうる。
イランのアッバス・アラグチ外相は、日本の輸送船のホルムズ通過を支援する用意があると話している。
海峡を封鎖するイラン革命防衛隊と政府がどこまで連携しているのかわからないところはあるが、アラグチ外相は駐日イラン大使を務めた経験のある親日家であり、本来はこのパイプを活かして石油やLNGの確保に動くべき局面だ。
もっとも、今回のエネルギー危機が国家の存亡を左右する事態に発展するかといえば、私は楽観視している。
2026年11月の米国中間選挙で共和党が大敗すると見ているからだ。
トランプ大統領は大敗しても、決して負けを認めないタイプだ。ただ、一方で飽きやすい一面があり、すべて投げ出して辞職する可能性もある。
その場合はJ.D.ヴァンス副大統領が大統領に就任する。
ヴァンス副大統領はトランプ大統領以上に危険な人物だが、イラン政策に関しては慎重派で、大統領になれば停戦の可能性が高い。
イスラエルが引っかき回して戦闘状態が続いたとしても、ヴァンス政権は日本がイランと直接交渉しても妨げはしないだろう。
ペルシャ湾から日本まで船で約20日。遅くても年内には日本にペルシャ湾からの石油が届く。
日本はそこまで耐え忍べばいい。
日本の個人金融資産は2300兆円超。資産課税などで召し上げて補助金に回せば、経済活動を止めることなく富の移転もできる。
もちろんそこまでいかないことが望ましいが、奥の手があると思えば冷静でいられるだろう。
トランプ大統領は遅かれ早かれ退場する。日本はアフター・トランプの世界を想定し、危機を乗り切るべきだ。
※この記事は、『プレジデント』誌 2026年5月15日号を基に編集したものです。
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……という内容でした。
私の感想としては、トランプ大統領のことや、中間選挙の予想、アラグチ外相のことなど、同意できる部分も複数あります。
ただ、根本的に重要な部分で、非常に疑わしいと言いますか、納得できない記載が複数ありました。
まず、このメルマガの読者さんであれば、すぐにピンとくる部分があるのではないかと思います。
それは、経産省が出している資料をもとに、石油の備蓄日数を5月8日時点で205日とそのまま判断していることです。
リンク先の経産省のデータを見ればわかりますが、以前からずっとそうで、この資料には「残りの日数」しか記載されておらず、
何万バレルが残っているかという具体的な「残りの量」が一切書かないのです。
いかにも、事態の深刻さを隠蔽したがる経産省や高市政権のやり口だなと思います。
3月から5月中旬まで1日ごとに、国家備蓄と民間備蓄と産油国共同備蓄がそれぞれ何日残っていて、合計何日かは出ています。
しかし、なぜそれを「〇日分」と換算できるのかという根拠となる、石油の実際の量については一切記載がないのです。
こんな国民を舐めたふざけた資料もないと個人的には思っています。
国民の命と国の経済全体に関わる極めて重要な資料にもかかわらず、
備蓄の残り日数と同時に、残りの具体的な量が何万バレル(もしくは何万キロリットル)なのかを数字で書かないというのは、資料としては異常だと思います。
大前氏はそこを一切疑わずに、経産省の資料をそのまま鵜呑みにして「石油備蓄は205日」というのは、いかがなものかと個人的には思います。(結論的にはこれは最初から間違っているというか嘘だったのは、散々解説してきた通り)
大前さんは、高市政権や自民党や政府というものが、その部分で嘘をつかないとでも思っておられるのかもしれません。
しかし、これまで自民党や官僚がついてきた膨大な数の嘘を考えれば、あるいは現在の危機を自分事として真剣に考えるなら、
こんな残り日数だけ記載して根拠を明示しない資料で納得できるはずがないのです。
少なくとも私は、この経産省の資料だけで安心できる要素など全くないと考えています。
もう一つ、大前氏は
「ペルシャ湾から日本まで船で約20日。遅くても年内には日本にペルシャ湾からの石油が届く。日本はそこまで耐え忍べばいい」
と書いています。
しかし、「耐え忍べばいい」とか、ずいぶんと乱暴な物言いだなと思います。
中小企業や零細企業の人たちが倒産、廃業、失業している苦しみを、全く理解できていないのではないかと思います。
もともとこの人は、大手企業などへのコンサルをメインにしている人なので、
そういう中小零細企業・個人事業者の人たちや弱者の苦しみという部分を、全く目にもかけていないような部分があります。社会に出た時からエリート中のエリートの方なので。
ある意味で大前さんらしいと言えばそうなるのですが、年末までこのホルムズ海峡封鎖の状態が続いたら、
どれだけ多くの中小零細企業や個人事業主の方が大変なことになるか、全く理解できていないのではないかと思います。
少なくとも年末まで続いたら、日本中の中小零細企業の方々や、そこで勤務している人たちが路頭に迷ったり、職を失ったりすることになるのは、火を見るよりも明らかです。
と言いますか、先日も紹介しましたが、すでに現時点で首をくくろうとしている社長さんらもいるのですから。
「耐え忍べばいい」と簡単に言える時点で、そういったことは全く眼中にないのかもしれませんが、
その意味で、虚言癖の高市総理と「見えていない部分」が全く同じだと感じます。
また、驚いたのは、
「日本の個人金融資産は2300兆円超。資産課税などで召し上げて補助金に回せば、経済活動を止めることなく富の移転もできる」
という部分です。
一体何を言っているんだろうと思います(゚o゚;)
確かに国内の個人金融資産は2300兆円ほどありますが、その資産に課税をして、国民から資産を奪い取って、
それを「財源」にして補助金を出せば、経済活動が止まらなくてすむじゃないか、と言っているわけです。
申し訳ないですが、経済音痴というか、マクロ経済をわかっていないというか(もともとそうなのですが)、こんなレベルの人だったんだなと、残念を通り越して呆れてしまいました。
それを「奥の手」とか言って、秘密兵器としてそういうやり方もあるみたいに言っています。
しかし、そんなことが許されていいわけはないでしょう。
それで経済活動がうまくいくという考え方も意味がわかりません。
企業を助けるために、国民の金融資産を奪うということですが、そもそも、そんなことをしなくても財源など
「国債を発行すればいいだけ」
の話なのです。
そんな簡単なこともわからず、日本人の金融資産から政府がお金を奪い取って、それを財源に経済を成り立たせるという狂った発想は、戦後の財産税を彷彿とさせます。
それで一体、当時どれほどの国民が貧困の地獄に陥ったか、全くわかっていないのでしょうか。
結局のところ、財政認識というものを根本から間違えていると、ここまで考え方が狂ってしまうということです。
繰り返しますが、政府は自分でお金を作り出せるわけですから、国債を発行して国民や企業にお金を配ればいいだけなのです。
それを「国の借金だ!」とか、「将来世代のツケになる!」「子供や孫に借金を残していいのか!」などといかにも国債発行をしないことがモラルある大人の態度みたいな主張を展開して、
大半の国民はそれに騙され、嘘が拡散されて政府が緊縮財政を実行してきたのが、この30年だったわけです。
経済学の根本的な認識間違いや財務省のプロパガンダによって洗脳されてしまったせいで、国債発行=通貨の発行ということにも気づくことができない。
「政府がお金を作り出せばいい」という超絶に簡単なことにも気づかないわけです。
「そんなことをしたらインフレになる!」という財政破綻論者によくある主張も、ビジネスや実体経済を理解せず、経済をお勉強だけで認識した人の典型的な誤認。
(透析医ドクターパパ氏すらこの誤認をしていました。経済学を机上で勉強すればするほど、「貨幣数量説」という経済学のファンタジーを信じることになります。私はこの間違いを中学生でも分かるレベルで完璧に説明できますが、長くなるので今回はカット)
おでんみたいなメガネをかけた経済オンチの自称学者も「打ち出の小づちは無いんだ!」と上から目線で偉そうにほざいておられました。
しかし、財政分野で世界トップのUCLというイギリスの大学は、数年前にMMT(現代貨幣理論)が本当に正しいのか徹底分析した結果、
その正しさを認め、論文の最後に「打ち出の小づちはある」ことを明言しました(正確には「魔法の金のなる木はある」という表現でしたが)。
弱者の痛みをまるで理解できない、財政認識を間違えた学者や有識者とされる人間たちがいます。
そうした人たちは、使える税収が多いほど自分たちの権力につながる財務官僚たちのプロパガンダにもまんまと洗脳され、国民を救える政府の力を誤認してきました。
そして、小学生でもわかる「政府は0からお金を作り出せる」という行為を、
「やってはいけないこと」「簡単にはできないこと」「打ち出の小づちみたいなうまい話は無い」
などと、まるで政府支出がモラルに反することかのような理屈で否定してきたのです。
そういえば慶応大教授の小幡績も「国民は甘えている」とかテレビでほざいておられました。自分は国民の税金から補助金が入って運営されている大学から給料をもらってる分際で。
こういう経済オンチの学者・政府・財務官僚・評論家・インフルエンサーらが、政府の支出は借金になり、将来世代のツケになる悪いことだと、
30年にもわたり完全なる「誤情報」を拡散させまくってきた。
結果、国民を貧困化させ、日本を衰退させてた。これがファクト。
上記の記事でも、国債発行で済むものを、税が財源だと思い込んでいる典型の大前氏が言っているように、
「個人金融資産に資産課税をして国民から資産を奪う」
ようなことをしたら、国民が貧困地獄を見ることになります。
彼は「そうしないと財源を作り出せない」と思い込んでいるわけです。その前提があるから、資産課税などという発想になる。
戦後に財産税という形で、歴史に全く同じ大失敗が存在しているのに、また同じようなことを繰り返そうとしているということです。
記事タイトルの「『石油備蓄200日』で持ちこたえれば勝ち」を見た時に、嫌な予感しかしませんでした。
ただ、大前研一氏がこの石油危機をどう考えているのか少し興味がわき、久々に彼の論考を読んだわけですが、
複数の点にわたり、あまりにも粗い論考で、改めてガッカリしました(ノ_-。)
これだけ粗い思考しかできないから、財政破綻論の間違いにも気づけないのだろう、ということが改めてよく分かりました。残念です。
ということで、今回の石油危機に関しては、著名な専門家や世間的には一流とされている人たちが、ことごとく信用できない言説を発信しまくっています。
「誰が言っているか」で鵜呑みにするのではなく、「何を言っているか」を自分の頭で考えて判断しないと、事態の深刻さを見誤る可能性が著しく高いです。
歴史上いつでもそうでしたが、誰も経験したことがない前例のない未曽有の事態では、知名度や権威などは全く当てにならなくなりがちです。
80年前の敗戦の間際にも、政府やマスコミは「わが日本軍は敵艦を撃沈し勝利し続けている!」と大本営発表を続けていましたが、
一部の勘のいいおっちゃんらは「俺ら庶民から鉄を集めるくらいだから、絶対ヤバいだろこれ」と気づいていた人もいたそうです。
そんな感じで非常時においては無名の素人や一般人、庶民の主張・直感が正しいという逆転現象が起こりやすくなりますので、
政府・マスコミ・有識者らの一見正しそうに聞こえる「大本営発表」や「誤情報」を鵜呑みにしないよう、くれぐれもご注意いただきたいと思います。


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