- 2025-9-2
- ChatGPT, 働き方・キャリアの話
こんにちは中西です。
2025年も3分の2が終了し、残り3分の1となりました。
この調子であっという間に2025年が終わりそうです。
AIによる大きなパラダイムシフトが起こるとされている2026年・2027年がどんどん近づいています。
これは以前紹介した「AI 2027」というレポートから導き出された、今後約2年半ほどの間に起こるAIによる革命が、
ハーバード大学をはじめとするAIの研究者やAIの起業家らによって論文として発表され、今年に入って世界中に衝撃を与えていました。
この「AI 2027」の内容は極めて衝撃的で、月単位で何が起こるかまで予測されておりました。
私の予想では、月単位までは当たるかどうかはともかく、大づかみに見れば大体この流れで世の中が進んでいくと思っています。
そうすると、やはり一番怖いことの一つは、職を奪われる人が、間もなく(2027年末までの間)に続出するということです。
現時点でそれを肌で感じている人と感じられていない人に分かれていると思っていて、
この認識の違いが、社会人の今後の人生を左右するほどのインパクトをもたらす可能性があるのではないかと考えています。
そこで今回は、AIが頭脳労働の筆頭ともいえるトップエリートの科学者たちにとって、どのような影響をもたらすかを調べた研究がありますのでご紹介します。
この研究は、アメリカの大手企業で材料工学の分野に携わっている研究者1018人を対象としたもので、
企業の研究開発部門における成果
を、AIツールをランダムに割り当てて比較しました。
その結果、AIを利用することで新しい素材の発見数が44%アップ、特許出願数が39%アップ、
製品プロトタイプ数が17%アップ、研究開発効率は15%ほどアップしました。
また、発見された素材は質と独創性がともに高く、より革新的な特許や製品に結びついたということです。
さらに研究者の時間配分としては、これまでアイデア出しに約40%の時間を費やしていたのに対して、16%未満に減少しました。
つまり、アイデア出しの時間が6割ほど減ったということですね。
また、評価をする時間が74%増加しました。実験の時間も増加したようです。
つまりAIはアイデア出しを自動化した結果、科学者たちは候補の評価や実験に時間を集中することになったようです。
そして注目すべきは、トップ10%の科学者たちは成果を81%もアップさせた点です。
一方で、下位の研究者たちの成果や効果はほぼ見られませんでした。
ここからわかるのは、AIは優秀な研究者をさらに伸ばす補完的なツールになるということです。
一方で、問題点も発覚しました。
それは、科学者たちの仕事の満足度が82%も低下したことです。
理由としては、「創造的なアイデア出しを奪われた」と感じたからだということでした。
つまり、アイデア出しをAIが基本的に担当し、それに対する評価や実験を科学者が行った形になるため、
ざっくり言うと「創造的な要素をAIに奪われた」ということになります。
その結果、自分自身がアイデアを生み出して研究成果を出しているという実感がなくなり、満足度も82%も低下したということですね。
これは科学者に限らず、ほぼすべての職業で起こっていることではないかと思います。
まとめると、AIは研究開発において新しい素材の発見や特許、製品開発を大きく加速させます。
しかし、そのAIの恩恵を最大限に得られるのは、トップ10%のエリートの研究者だけだったということです。
さらに、AIはアイデア生成を自動化してしまうので、研究者の最も創造的な部分が奪われることにより、やりがいや満足度が著しく低下するという結果となってしまいました。
だからといって、「自分のやりがいを重視するためにAIを利用しない」となると、
他の研究者や他の企業・組織に競争で負けてしまうということになりますので、このジレンマは結構深刻な要素かもしれません。
また今回の研究で、AIの恩恵を最大限に得られるのはトップ10%のエリートの研究者だけだったわけですが、
これは他の業界、他の職種にも当てはまる可能性が高いのではないかと思います。
そうなると、以前からお話ししていたAIによる格差というのが、やはり発生して、それは非常に大きな差となって現れてしまう可能性がありそうです。
一方で、AIは下剋上を可能にするツールとも言えるため、これまで仕事や人生がうまく行か無かった人や、環境が不遇な状態にいた人たちが活用することで、のし上がる・人生を逆転することも可能になってきます。
いずれにしても、すべての人にとって平等にAIが恩恵を与えてくれるわけではなく、
うまく使える人と使いこなせない人、全く使わない人との間で、大きな格差が発生するのは間違いなさそうです。
それにしてもクリエイティブな仕事の創造性が奪われて
「(仕事や研究の)プロセスが楽しめなくなる」
というリスクがあるのは、やはり今後問題になりそうな気がしますね。
※参考
Recent AI paper cites evidence that AI positively impacts scientific R&D
https://www.technologylawdispatch.com/2024/11/artificial-intelligence/recent-ai-paper-cites-evidence-that-ai-positively-impacts-scientific-rd/


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